19
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

エンジニアチームマネジメントで意識したこと

Last updated at Posted at 2025-12-14

この記事は、 セゾンテクノロジー Advent Calendar 2025 の 15日目の記事です。シリーズ2では HULFTDataSpider の開発メンバーによる投稿をお届けします🕊️

背景

私がエンジニアチームマネジメントをする上で意識していることを書こうと思いますが、マネジメントと言っても様々あると思うので、解像度を上げるために少しだけ私の経歴について書かせていただきます。興味ない方は飛ばしてください。

①2011年~2017年(エンジニア)

2011年、大学卒業後セゾン情報システムズ(現セゾンテクノロジー)に新卒入社して、メインフレーム上で動作するHULFTの開発を担当。z/OSやアセンブラ、COBOLといったいわゆるレガシー技術を中心として、約7年間エンジニアとしてHULFT開発に携わる。当時、人事のトップが「なんで今さら新人をメインフレームに配属するんだ!」と言っていたのをすごく覚えているが、私としては最高に楽しく、とても大きく成長させてもらった7年間だった。

②2018年~2020年(HULFT開発マネージャー)

HULFTを中心とした、DataMagicやHULFT-HUBなどの関連製品を横断的に維持開発するSustainチームを発足。年齢層は20代から50代まで様々で最終的なメンバーは社員だけで25名。全社で課メンバーの平均が7,8名くらいなのに対して異様に多いチームだった。各製品の歴史や文化があり、それらを横断的にマネジメントすることがポイント。ここが私のマネージャーの始まりであり、最も苦労した時期。

③2021年~2023年(HULFT/DataSpider開発部長)

DataSpiderを開発していたアプレッソが吸収合併され、同じ開発部へ所属することになった。HULFT開発とDataSpider開発が所属する開発部門の部長に任命される。今までと大きく歴史や文化も違うし、私もDataSpiderのことはあまり知らないし、DataSpider開発の方も私のこともよく知らない中で、どうやって部門として一体感を出させるのかを考えることが難しかった。

④2024年~現在(HULFT開発部長)

HULFT開発とDataSpider開発の所属する部門が分かれたことで、再びHULFT開発を担当する。次のステップとして新たにフルスタックエンジニアになること、そしてその先にはフルサイクルエンジニアチームになることを宣言し、開発部内にPdM(プロダクトマネージャー)、UXデザイナー、データアナリストを任命。ビジネスとしてPdM/PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)がどう協働していくべきかをビジネスサイドと話しながら推進中。ここもまた文化や考え方が違っているので難しい。

エンジニアチームマネジメントで意識したこと

少し前置きが長くなりましたが、今回は上記②(HULFT開発マネージャー)の時代に意識したことを書いていきます。③や④に通ずることも多いですが、私が初めてマネージャーになり、結果としてこういうところを意識してきたなというところを当時を思い出しながら書いていきます。

マネジメントにこうしたら正解というのはないので、あくまで私が意識してきたこと、結果良かったなと思うことを書いていきます。

管理とマネジメント

エンジニアチームのマネージャーといえど、会社内では管理職(課長)と呼ばれることも多く、はじめはどうしても「管理しなきゃ!」と思っていたことが多かったです。これがどの文脈においても間違いとは思いませんが、最終的にマネージャーの役割は「エンジニア一人ひとり、そしてチームとして最高のパフォーマンスを出すこと」と定義してメンバー一人ひとりと接していくことで私自身やメンバーの意識や発言、行動は変わってきたと思います。

HRT

エンジニアのみなさんにはもう当たり前になっていると思いますが、HRT(「Humility(謙虚)」「Respect(尊敬)」「Trust(信頼)」)を意識しました。管理しようとすると報連相しろとか、作業指示出してメンバーにやってもらうとか、そういうことばかりに意識が向きそうですが、幸い私のチームは若い方も含めてプロフェッショナルの方も多かったので、そこは謙虚に接し、常に尊敬して(レガシー上がりの私にとってはJavaやC、Linuxで開発しているのは本当に尊敬)、エンジニアリングに関しては全幅の信頼を寄せて接してきたつもりです。(実際のメンバーだった方がこれを読んでどう思うか怖いですが笑)

役割の違い

マネージャーにはどうしても目標設定や評価がついてくるので、「上司」「上の人」「偉い人」のように言われることも多いですが、あまりそれを考えたことはありません。確かに決裁権は持っているので、多少そういうところはあるかも知れませんが、あくまでマネージャーとエンジニアは役割の違いであり、そこを互いにきちんと理解して適切に役割分担をして目標に向かってやっていくことは重要だったと思います。マネージャーの役割は上述したように「エンジニア一人ひとり、そしてチームとして最高のパフォーマンスを出すこと」と「1年先、3年先の未来を創造すること」と考えています。

メンバー一人ひとりと向き合う

口で言うのは簡単ですが、これが一番大変でした。しかし一番重要だったと思います。2018年くらいは社内でも1on1という言葉がようやく浸透してきたくらいでしたが、今は当たり前に慣習ついています。しかし社内でも意味なくただ1対1で話すことを1on1と呼称してやったつもりになっている例も多いかなと思います。私は2つの仕掛けでメンバーとの2wayコミュニケーションを図ってきました。

月次アンケート

匿名ではなく実名でのアンケートを実施し、結果は私の受取り方と意見に対する回答を添えて匿名で返しました。意見収集にアンケートって結構当たり前な方法かも知れませんが、これは結構メンタル的につらい。つらいけど、毎月欠かさずやってきたことでメンバーの状況や考え、アイデアもここで集まったので結果としてやって良かったと思っています。ちなみに実名式にしたのは、回答の真意を確認するためにはその人との対話が必要であると考えたためです。アンケートで気になることは本人と直接話して真意を理解することに努めました。

Bi-monthlyで評価面談

当社は上期下期に分かれているので、全社員の目標設定と評価面談は年に2回です。私のチームではこれを2か月に1回のサイクルで実施しました。主な理由は以下3点です。

  1. 評価面談は「やった結果の面談」になりやすいので、こうしてもらいたかったと言っても結局は後から言ったもん勝ち。これをやめたかった。
  2. アジリティが求められる組織では2か月前の目標はもう古いかも知れない。常にやってきたことと、こちらからの期待値を合わせることで、方向性の不一致をなくすようにしたかった。しかし月1だと多いので、2か月に1回に。
  3. 正しく自己評価ができるエンジニアになってもらいたかった。自己評価をアピールと勘違いしている人も多いが、結局年に2回の自己評価では自己評価能力は向上しない。年に6回実施することでその能力を向上させたかった。

報告させるのではなく、つかみにいく

「みなさん自身よりもみなさんのことを理解しているマネージャーになる」ということを宣言して、全員のアクティビティをSlackやメール、カレンダー、打ち合わせでの一言一言から情報を得ることに徹しました。行動や発言で気になったこと、素晴らしかったことはメモしておくとか、時間ある時に全チャンネル眺めるとか。というのもあり、原則SlackのDMは禁止にしたり。下手すると「監視されている」と思われそうですが、私のチームではそういう雰囲気にはならなかったです。全部を報告しなくても、あの話ね!という感じになれたのも良い点だったかなと思います。

Power to Edge

最新の技術情報などの情報共有は結構盛んに行われているチームでした。一方、他部門や会社(経営)情報など、マネージャーであるために知り得る情報を、私しか知らない状態を極限までなくし、メンバーに常に発信共有することで、メンバー一人ひとりにエンパワーしていくことをPower to Edgeと呼んでいます。ただ単に、これ見ておいて!と資料のURLを共有するのではなく、そこに私の所感や発信の意図を付け加えることで、これがエンジニアへのエンパワーになると信じてやり続けました。これが当たり前になるには時間はかかりましたが、結果として視座も上がり、視野も広がってきたと思います。

徹底的な可視化

チームとしての現状やチームとしてのビジョンを定性的な表現だけでなく、きちんとメトリクス化して数値で見せていくことを意識しました。例えば、チームのアクティビティをバグ対応、機能開発、調査研究の3レイヤーに分けて比率を明示したり、リリース回数やチームへのエンゲージメントを出してみたり、今思うと全然形にはなっていませんが、Four KeysやSPACEに近いような思想もあったかも知れません。その他、エンジニアがあまり興味のないP/L表ベースで活動状況を示唆してみたり、製品の利用状況や売上状況など、自分たちの周りのことを全員が定量的に語ることで主観・妄想だけの会話をなくし、客観・事実をベースとして、そこに主観や一人ひとりの思いを持って意思統一ができるようになったと思います。

最後に

私には時代に対する偏見は全くないという前提で、働く人が昭和平成の2世代が混在してきて、今は一番中間管理職がつらい時代とも言われているらしいです。時代への偏見はありませんが、これはなんとなく分かる気もします。正解のないマネジメントはつらいこともたくさんありますが、私はその100倍の楽しさがあると感じています。今回は私が意識したことをつらつら書いてみましたが、マネジメントをされているたくさんの方と多くのお話ができると嬉しく思います。

19
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
19
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?