この記事は 転職(その2) Advent Calendar 2016 の 16日目の記事です。
自己紹介
こういう話は前提条件が重要だと思うので、職務経歴書もどきの自己紹介をします。
- ソフトウェアエンジニア9年目
- 大学に8年くらいいたので現在30代半ば
- 理物的な大学院修士課程修了
- 新卒未経験で中小SIer入社
- 自社内案件のみ
- 新卒平均学歴が理系修士課程修了くらいでポテンシャル重視の厳選採用の会社。
- 大手からの研究開発委託とか医療系の重症系とか高度なやつばかりで、事務系(小売とか金融とか)は一切やらない感じの会社。技術的チャレンジを重視していたよう。
- 今は DeepLearning とか xxxLearning 分かる人が異常に多いので分析コンサル業みたいなのもやってるとか。
- 丸4年後に小売系事業会社のIT部門に総合職のエンジニアとして中途入社
- シェルと PHP で EC や EC系アプリのバックエンドをやりまくる。
- EC・アプリ関連は企画のメンバーとめっちゃ距離が近くて、その仕事をしている時はベンチャー感が非常に強くて、良かった。今思えばサービス開発意欲の原体験的になっている。
- 一方で電話やFAX多くてFAXの使い方わからないと軽くdisられる環境(つらい)
- ノイズキャンセルヘッドフォンがぼくを守ってくれました。
- クラシックな事業会社の良し悪しを肌で感じました。在籍時にこんな長い記事書いてた。
- 丸4年ちょっとで、toC のWebサービス企業に転職
- キャッチアップやフィットに正直なところ不安があったけど、何とかやってます。
- 半年以上経った。
- Golang ゴリゴリ書いたり若者の成長を見たり促進したりしてニヤニヤする仕事をしている。
- イマココ!
どんな人に参考にして欲しいか
Web系以外の企業に在籍し、ソフトウェアエンジニアをしている人。
Web系企業の定義は諸説ありますが。
ただし、本記事は筆者の在籍経験がある企業の主観的な良いところ悪いところを中心としたまとめというひとつの具象なので、全ての状況には必ずしも当てはまらないのはご留意下さい。
しかし、なんらか参考になる部分はあると信じています。
良かったこと
優秀な人がより多い
学歴経歴職種問わず優秀な人が多いなっていうのは本当に思いました。
若い人も優秀な人が多くて、この人と同い年の時、完全に学生寮でごろごろしていたなーと思うと、すまなかったという気持ちになります。
優秀な人が多いので、良い刺激を受けて自分のレベルアップ速度も上がった気がします。
休息を取れる日が増えた
ベンチャーに行ったのに何を言っているのだ、と言われそうですが、これは本当です。
業界によりますが、事業会社は割と標準で休日が少ない業界もあり(祝日ノーカウントとか)、現職の同僚に前職の休日数や休日のカウントの仕方を伝えると、かなり驚かれます。
なかなか休日などの制度は変えづらいので、内製エンジニアを雇用するアグレッシブな事業会社でもこういったところは難しいのだなと思いました。
疲労が減った
休息が増えたからでは、というのもありますが、単純な時間カウントで普通に36協定前後ぐらいの時間は働いています。
あくまで主観ですが(疲労も主観か)、成果に厳しくも上下関係無くみんながお互いに気持ちよく働けるようにという心がけが強いので、そのおかげなのかなと思っています。
あと普通に朝に強くなりました。
やるべき事に集中しやすい
ビジョンやミッションがはっきりしているので、どういうものを作ってどういう価値を提供したいかという方向性がはっきりしていて、今している仕事に本質的には疑問を持たずに取り組みやすいところはいいと思う。
ミクロな職場環境の話もすると、以前の職場はオフィス内の隣接部署の喧噪など直接業務と関係無い部分での阻害要因がかなりあったなど、細々としたことが色々あったため、それらが一切存在しないので集中があまり削がれず、集中を保ちやすくなりました。
給料が増えた
割と驚くほど増えて、昇給ペースも成果次第だがかなり早く、お金だけが人生ではないとはいえ、お金をないがしろにしていいわけはないのでこれは素直にモチベーションの一部になります。
悪かったこと
仕事が好きになりすぎてる
あえて悪かったことを挙げるならこのくらいで、ワークとライフの融合度が上昇した感じがします。
まだまだ時間の使い方が下手なので、ちょっと趣味にかける時間とかが減ってしまったので、上手いこと付き合っていかないと中期的には人生にも仕事にも良くないなと思っている。ここは調整していきたいところ。
転職どうしたらいいの
したくなったらすべき時だろうし、その上で出来ることを全てやったら去るべし、とは思いますが、勢いで飛び出してよりつらい思いをする人もいると思いますので、SI->事業会社->Web の遷移をした時の振り返りから、こうしたらいいのではという雑感を記します。
SIer がいやになったので SIer 以外に転職したい
もしWeb系に行こうとしているなら、Web系で使うような知識や技術で何かコードを書いていたりするのでなければあまりおすすめしません。
コードがまともにかけて設計力もあるという方なら大丈夫かもしれません。Web系企業でも、前職がSIだったという方は結構居て、比較的かたくしっかりした開発ができる点が重宝される場合があります。
また、きょうびこういう考え方は賛否はあるのですが、C/C++を正しくがっつり仕事で使っていた人は基礎力が高い人が多く、Web系の技術はすごい勢いで習得出来ると思いますので、その辺を考慮する会社もあるかもしれません。
ただし、Web系、もっというとその会社の文化に合わないとそもそも採用されないと思います。
新卒を大量に取っているような大手のWeb系でも、使用している技術について未経験で、そこへの適性が読み取れないエンジニアは職務経歴が輝いていても採用されないと思います。
あえて採用ラインのハードルを下げている企業さんに採用されたとしても、給与が大幅に下がるであろうし、それをよしとするかというところがあると思います。
まずはWeb系の技術を個人で触ったり、その界隈のイベントに出るなどして情報と知人友人を増やしたり、自己研鑽と自己の相対化をして冷静になることをおすすめします。
ただし、もう心身がぼろぼろの場合はさっさと辞めるなり休職して、体制を整えた方がいいと思います。そんなレベルで嫌になる前に生存戦略を考えられるといいなと思います。
現実的には、よりましなWeb系と共通の技術を使うSIer、または事業会社の内製エンジニア(社内SEでなく開発をする)を目指すのが良さそうに思います。
事業会社は内製開発の必要性を強く感じつつも、エンジニアの獲得と定着に苦心しておられる企業さんが多いので、Web系と比較して採用の可能性は高いと思います。
事業会社がいやになったので転職したい
このケースは一概に言えない感じはあります。
事業会社はITが絡まない既存の大きな事業もある会社ですので、よそ様の仕事を代わりに行うSIや、自社のサービスを成長させるWeb系企業とはまた違う趣があります。
あまりにも多様なので本当に一概には言えないのですが、その上で書きますと、内製開発なのにSIっぽい働き方になってていやになってきたのであれば、まず社内の仕事の進め方を変えるために動いた方がよいと思います。
内製開発が本業側の人から評価されないような環境であれば、なんとかそちら側の人の理解を得られるように動いた方がよいと思います。
他にも環境により色々なことがあると思いますが、自社内のことなのでなんとか解決策を模索することが望ましい、ということは共通して言えます。
これらを通して、環境が改善したら継続して在籍すればよいのかな、と思います。
それでもダメなら転職を検討すればよいのですが、ここで内製開発の要素技術がクラシックすぎると転職が難しくなってきますので、生存戦略としてWeb系で使われる技術を本番環境で使っているような状態に導いておくとグレートです。
おそらく事業会社のかためのところでも、ガチガチのSIerさんよりは自由度が高いケースが多いと思いますので、一旦外に出てしまった人が人月的な世界に戻ることはあまり楽しい人生に繋がらないと思います。
ですので、独立系や技術力の高く自社製品やコア技術があるSIerや、Web系企業を念頭に転職を検討するとよいのではないかと考えます。
結局はここで技術力が求められるので、前節で述べたように社外の知人を増やすことと、自己研鑽と自己相対化は同様にしておいた方がいいのは間違いないです。
筆者のダイレクトな経験ですが、事業会社で事業に向き合いながらソフトウェア開発をしていた経験とそこからくる考え方は、Web系の企業文化と思ったよりマッチするようで、転職活動時に現職以外にも高評価をいただけた会社さんがいくらかありました。
Web系企業がいやになったので転職したい
これは筆者が経験無く、なんとも言えません。
共通していえるのは、同様に研鑽と相対化と人脈形成を怠らずにしておく、という点でしょうか。
Web系を渡り歩く先輩方はたくさんいるので、そちらのみなさまの意見を参考にして頂きたいと思います。
まとめ
上記を踏まえて、ざっくりいいたいことまとめです。
再掲ですが、 現在 Web系以外の企業 で働いている向けです。
- 転職はしたくなって、現職でやれること全部やったなと思ったあたりがすべき時。
- ただし病むくらいまで疲れていたらすぐに辞めるか休むかする。
- どんな状況でも自己研鑽と相対化をしておく。
- 事業会社のソフトウェア開発のメンタリティはWebサービス開発と通じるので、SIで働く人がWeb系に行きたい場合、中間状態として事業会社で働いてみるのは非常にアリな選択。長期間マッチしたらそのままいていいと思う。
- 転職にあたりカルチャーマッチも必要だが、コードが書けないのは完全に話にならないので、プログラマが下流の仕事という概念を持っていたらその考え方を今すぐコンクリに詰めて東京湾に沈めてコードが書ける上での技術力をつけること。
チラシの裏をちょっと整形した程度の乱文で大変失礼しました。
これがSIerや事業会社の中でくすぶりかけている方々へのヒントになれば幸いです。