皆さんこんにちは。クラウドエンジニアのおゆ(@yu40ta_engineer)と申します。
本記事は、駆け出しエンジニアによるAWS ソリューションアーキテクト-アソシエイト-(以下、SAA)資格の合格体験記です。
勉強し始めたのは2019/5/20、1回目の受験が2019/6/21(646/1000点で不合格)、2回目の受験が2019/08/27(895/1000点で合格)なので、SAA合格までの学習期間は約3ヶ月。
学習時間に換算すると50時間ぐらいですので、早い人なら2〜3週間でこなせる範囲かと思われます。
入社1ヶ月目に受けたSAA試験に見事玉砕した経験も踏まえて、再現性の高い試験対策の方法をお伝えします。
最新版の SAA-C02 にも対応した内容 (合格ラインは変わらず720/1000点)ですので、ご参考くださいませ。
はじめに、本記事の目的のご紹介と簡単な自己紹介をさせてください。
(0)前提
本記事の目的
- AWSのメインサービスを一通り使えるようになる。
- その結果として、AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト-(SAA)試験に合格できるようになる。
本記事の対象読者
- AWS未経験者
- AWSSAA資格の取得を目指している方
- 駆け出しエンジニア
- インフラに苦手意識があり克服したい方
- 英語が苦手なので、極力日本語で試験を受けたい方
手っ取り早く対策法が知りたい!という方は (2)使用した教材 からお読みください。
(1)自己紹介
筆者スペック
- 私立文系大卒の28歳男性
- 前職は介護士→人材営業でIT知識はほぼ皆無
- 前職では Excelのピポットテーブル作成 や VLOOKUP関数 を扱うぐらいなら出来る程度のレベル
- 某プログラミングスクールで2ヶ月間学習した後、AWSやGCPを扱うクラウドエンジニアとして転職
クラウドエンジニアとして就職したのは 2019/5/7 からだったので、
いわゆる実務未経験の駆け出しエンジニア状態からのスタートです。
知識レベル
スクールのカリキュラムで AWS使ってアプリをデブロイ したことがある程度
要は「Webシステム構築ナニモワカラナイ」状態でした。
受験のきっかけ
一言でいうと「ひよっこエンジニアがポジションを確立していくための戦略」の一環です。
合格することで自分の自信にも繋がりますし、他人の目から見て分かりやすい評価指標をもてることは重要だと考えていました。
意識高そうにごちゃごちゃ言ってますが、要は錯覚資産ですね。
また、人気のIT資格ランキングやAWSのシェア、Gartnerのレポートの内容を見ても
クラウドを扱える人材の市場価値は今後さらに高くなっていくことが確定していたので、受験を決めました。
同タイミングで、会社から「入社5ヶ月以内にSAA資格を取得すること」をオーダーされていたので、
「あ、じゃあSAA資格取らない理由がないですね!」となったわけでございます。
参考記事
- 人気沸騰のIT資格、取得したい資格ランキング
- AWS が 9 年連続で、ガートナーによるマジッククアドラントの Infrastructure as a Service (IaaS) 分野においてリーダーに選ばれる
- Gartner Forecasts Worldwide Public Cloud Revenue to Grow 17.5 Percent in 2019
(2)使用した教材
総額:2万円弱
※私の出費総額です。実際は1万円強ぐらいで対策可能だと思います。
動画
ハンズオンが学習の要です。
Udemyは頻繁にセールしますので、セール時を狙って買いましょう。
1200〜1800円ぐらいの価格で購入可能です。
A.これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座(SAA-C02試験対応版)
ハンズオンメインで学べるUdemyの動画教材。出題範囲やベストプラクティスなども確認できます。
また、ハンズオンで使用するサービスは課金の発生するものも少なくないのですが、
この動画では、章の終わりに「このサービスはお金がかかるので必ず停止しておきましょう」と教えてくれるという圧倒的親切さも兼ね備えています。
B.手を動かしながら2週間で学ぶ AWS 基本から応用まで
こちらの教材は「新規購入停止中」のようです(2021/12/03 時点)
代替教材としては以下が良いかと思いますので、ご参考ください。
超初心者が最も簡単にAWSアーキテクチャ構築を学習する講座
https://www.udemy.com/course/aws-play/
動画で用意されたphpファイルをLinuxコマンドでいじりながら、AWSの基礎と応用について学べる教材です。
同じ動画をハンズオン学習するよりも、別の動画でおさらいする方が学びや気付きが増えて効果的です。
C.【SAA-C02版】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)
得意分野/不得意分野を明確にして効率よく学習するために、模擬試験を解きましょう。
A(これだけでOK!〜)の付録の模擬試験はAの学習内容を問う内容が中心のように感じたため、
最新版の試験内容に対応したこちらを合わせて買うか、WEB問題集を買うのがオススメです。
書籍
書籍選びはそこまで重要ではなく、ハンズオンの補強程度に考えておくと良いです。
いずれも2500円程度。
A.徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト教科書(通称:黒本)
定番の黒本ですね。網羅的な内容でまとめられていますが、付録の模擬試験がやや易しく感じました。
B.AWS認定アソシエイト3資格対策~ソリューションアーキテクト、デベロッパー、SysOpsアドミニストレーター(通称:白本)
勝手に白本と命名。タイトルの通り、他のアソシエイト資格の取得も目指すなら有用です。
模擬試験は付いていないので注意。資格対策のみにとどまらず、AWSの体型的な理解にフォーカスされている1冊です。
章ごとにチュートリアル用の情報がまとめられており「手を動かして理解したい!」という方や「何をハンズオンすればいいか分からない!」という方に特にオススメ。
C.この1冊で合格! AWS認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト テキスト&問題集(通称:黃本)
黄色いので黄本とします。Aのような網羅的な内容に加え、最新試験への対策ポイントが丁寧にまとめられています。
特に図解が分かりやすく、頭にスッと入ってきやすい工夫がされている印象を受けました。
SAA取得にフォーカスして学習するなら、現時点ではこちらの対策本が最もオススメです。
WEB問題集
AWS WEB問題集で学習しよう
1回で7問出題され、120回以上(問題数にして840問以上)トレーニングできます。
プランごとに受けられる問題数が決まっているのですが、私は 90日間/プラチナプラン(当時4600円程度) を購入し、1周しました。
対策本の模試試験 or AWS公式の模擬試験どちらか1回 + WEB問題集 の組み合わせが理想的ですね。
合格後に発見しましたが、別サイトで 無料のWEB問題集 もあるようです。
Amazon AWS 資格取得のための演習問題集(完全無料、オリジナル)
(3)学習の流れ
当時の私の学習フロー
- 5/20-6/21 受験1回目(不合格)
- Udemy(A)→対策本(A/黒本)→Udemy(A)の模試,対策本(A)の模試(合計30時間ぐらい)
- 6/22-8/27 受験2回目(合格)
- Udemy(B)→対策本(B/白本,C/黄本)→Udemy(C)の模試→WEB問題集(合計20時間ぐらい)
当初はAWSナニモワカラナイ状態でしたので、都度調べながら進めていました。
分からない単語や概念の理解に費やした時間を含めると、55〜60時間ぐらいでしょうか。
また、新人エンジニアとして実務をこなしながら学習していたこともあり、3ヶ月とややスローペースになりました。
今考えるオススメの学習フロー
Udemy→対策本1冊→模試→WEB問題集の流れで、適宜Blackbeltのスライド資料を参照する方法が最も効率よく学習できます。
これまでにご紹介した教材を踏まえると「Udemy(A)→対策本(C/黄本)→対策本(C)の模試・Udemy(C)の模試→WEB問題集」となります。
私は対策本3冊読み、模試は対策本の付録を含めると3回ほど受けましたが、正直言って遠回りでした。
※AWS公式の模擬試験は、本番と比べ2〜3段階レベルが低いので、操作や雰囲気に慣れる目的であれば良いと思います。
具体的な学習の進め方は以下の通り。
1. 試験ガイドで試験範囲の確認(最初は流し読みでOK)
2. Udemyの動画教材で実践しながら、対策本を簡易リファレンス的に使用する
3. 一通りハンズオンを終えたら、対策本の残りを読み切る
4. 対策本に付録されている模試を受けてみる
5. 少しでも迷った問題、間違えた問題、正解したけど正解の根拠が説明ができない問題をサービス別にまとめる
6. ハンズオンまたは対策本で復習(※1)
7. 模試とWEB問題集を行き来して、苦手分野の克服と問題の出題傾向を掴む(※2)
主要サービス(VPC,EC2,ELB,AutoScaling,EBS,RDS,S3,Route53,Lambda,DynamoDB,SQS,SNS,IAM,CloudWatch,CloudTrail,KMS等)とアーキテクチャの基本パターン(VPC,EC2,サブネット,セキュリティグループ,インターネットゲートウェイ,NATゲートウェイ)については、確実に押さえておきましょう。逆にここを疎かにすると死にます。ハンズオンを通して何度も実践することになるので問題ないと思いますが、意識して学習しましょう。
アーキテクチャの基本パターンについては、こちらの書籍もオススメです。
Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂版
ハンズオンで3時間ぐらいでサクッと学べる手軽な入門書です。
※1 主要サービスはBlackbeltも見ておくと、さらに理解が深まってGood(サービス別資料がオススメです)。
ホワイトペーパーは現時点では必要ありません(一気にプロフェッショナル資格取得も目指す場合は必読)。
非常にボリュームも多く、学びはじめの方々はもれなく強烈な眠気に襲われます。
どうしても使いたい場合は Well-Architected Framework を少しずつ読んでおきましょう。
※2 問われているのは「可用性なのか、セキュリティなのか、負荷分散、パフォーマンス、コストなのか」など、すぐに分かるようにしておきましょう。
○○(要件)とくれば、○○(サービス)と反射的に連想できるレベルまで取り組むことが、試験対策においては重要です。
(4)試験当日
受験形式(ピアソンVUEかPSIか)
- オススメはピアソンVUE
- PSIは日本語表現が怪しい(申し込み時の注意事項にも誤訳がありました)
- Kiosk受験の場合は現地のオペレーターに監視される
- また、オペレーターによっては英語で質問しないといけないので、教室受験が無難
- ピアソンVUEは日本語表現が自然な印象でした
最近ではオンライン受験もできるようになったので、場所を選ばず更に受けやすくなりましたね。
問題の解き方
-
1問1分目安で解く
- 試験時間はたっぷり130分あるので、見直し含めて2周できる余力を残しておく
- 消去法で解く
- 迷う or 分からない問題には見直すフラグを立てておく
- 日本語表現が怪しいと思ったら、英語に切り替えてみる(英語がちょっと読める方向け)
受験環境(ピアソンVUE)
- 遮音用のヘッドフォン
- 水性ペン
- メモ用紙
その他(余談)
周りの受験態度を気にしないための工夫も重要です。
私の場合は
- 隣のおじさんの今にも死にそうな咳
- パーティションから垣間見えるおじさんの横顔
に悩まされましたが、ヘッドフォンやモニターを見る角度でなんとか回避できました。。。
(5)結果
スコア
- 1回目(6/22):646(不合格)
- 2回目(8/27):895(合格)
全ての分野で「十分な知識を有する」という評価も得ることができました。
感想
さすがに3ヶ月ここまでやって合格しなかったら精神的にしんどかったと思います。
私の場合は、少し遠回りしたことで効率的な学習方法に気付けたので良かったです。
また、独学しながらも先輩エンジニアにいつでも聞ける環境にいたのは学習の大きな支えでした。
今年中には残りのアソシエイト資格(SysOpsAdministrator,Developer)も取得したいと考えています。
(6)おわりに
ざっくりまとめると
- ハンズオンでの理解は必須
- 対策本は1冊でOK
- WEB問題集または模試をひたすら解く
といった感じです。
特にハンズオンは不可欠です。
何故なら、資格学習を実務で役立つものにすることが本質であり、資格学習をゴールにしてほしくないからです。一生懸命学習したのに、実務になるとまるで分からない…というのでは非常にもったいないです。
また、ハンズオンをすっ飛ばして対策本だけで学習しようとすると全く理解できずにもがき苦しむことになるので、AWS構築経験者やインフラ周りの経験者以外はハンズオンを中心に据えて学習することを強くオススメします。
とはいえ、分からない単語が頻出する方もいらっしゃると思いますので、適宜Webの基礎をおさらいしながら理解を深めていってください。
Webの基礎復習&補強には、こちらの書籍が非常に役立ちました。
イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb技術の基本
ロードバランサーってなに?可用性ってなんぞ?というレベルの方はSAA学習と併行して読み進めると理解が早まります。
また、AWS SAA試験では幅広い分野からまんべんなく問題が出題されます。
試験対策としては当たり前の話ですが、得意分野よりも苦手分野を伸ばす方が点数の底上げに繋がります。そのため、現在地と伸ばしどころを確認する意味でも、WEB問題集と対策本の模擬試験がオススメです。
AWS公式の模擬試験は、本番と比べ2〜3段階レベルが低い印象なので、操作や雰囲気に慣れる目的であれば良いと思います。
反射的に問題を回答できるようになったら、試験に臨むための準備は整ったと言えるでしょう。
さいごに、AWS SAA資格学習の最大のメリットは「顧客要件を満たす選択をするための思考トレーニングができること」にあると言えます。
「顧客の要件を満たすためには、どのようなサービスを選択すべきか?パフォーマンスやコストのバランスは最適か?サービスを連携することでどのような効果を得られるのか?」といった点です。
最近の実務では、構築前の顧客要件をチェックしたり、提案同行を依頼されたりすることが増えたため、思考や知識の引き出しを増やしておいて良かったと感じています。
皆さんも体系的な知識を身に付けながら、クラウドで遊び倒しましょう!
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Twitter:@yu40ta_engineer
以上、ご拝読ありがとうございました。