この記事は LITALICO Engineers Advent Calendar 2025 17日目の記事です。
こんにちは。LITALICOのITサービス部ITインフラグループに所属している @ytytyt です。
ITインフラグループでは、全国拠点のネットワークやシステム、全社横断で使う各種サービスの設計や運用管理を行っています。私自身は業務でネットワークを触ることはほぼなく、システムで利用するサーバ構築や社内で利用しているSaaSの設定等を担当しています。
今回は、ITインフラグループ全員で最近取り組んでいる社内ネットワークアンケートの取り組みについてお話しします。
きっかけ
7月に行われたエンジニアリング本部の全体会にて、『ユーザーに向き合う』ことについて考える機会をいただきました。
ITインフラグループがユーザーに向き合うとは具体的にどういうことだろう?と話し合った結果、「不便さを我慢している人たちを救えるようになる」ことが重要だと考えました。
その我慢の代表例が、社内からの「ネットワークが重い」という声でした。
これまでネットワーク機器に対してアラートによる死活監視を行っておりました。ステータス上は大きな異常が見られないこともあり、「ネットワークが重い」という声が聞こえても具体的に実態を把握することができていませんでした。
そこで、どのようなことにお困りなのか・業務にどのような影響が出ているのかといった定性的な情報を集め、ITインフラグループで持っている定量的な情報と突き合わせることで解像度を上げようと考えました。
本社だけでなく、全国各地に存在する拠点からも「ネットワークが重い」という声をいただいています。どこから手を付けるか話し合い、今後各拠点に効率的に横展開できるよう知見を貯めるためにも、まずは自分たちに近く設定変更が行いやすい本社から着手することに決めました。
定性データの収集
まずはいつどこで誰がお困りなのかという情報を得るため、本社内にネットワークに関するアンケートを設置することにしました。
ここで意識したのは、アンケートに回答する際の手間を可能な限り最小限にすることです。
PCを開いて連絡してもらうのではなく、問題が発生したときにその場で連絡いただけるよう、私用スマホからでもQRコードを読み込むことでアンケートに飛べるようにしました。
アンケートの項目についても、可能な限り正確な情報を取得したいという思いもあったのですが、まずはアンケートに回答いただくことが何よりも大事だと考え、何度もブラッシュアップして必要最小限に項目を減らし、どのようなお困りごとが起きているのかにフォーカスするようにしました。
お名前やメールアドレスなどもPC番号から逆引きすることができるので削っていき、30秒で回答できるようなアンケートを目指しました。
本社(15階、20階)の各島それぞれに、アンケートへの導線となるQRコードを記載したポップを設置しました。
デザインチームに素敵なポップを作っていただきました ![]()
アンケートの回答
アンケートを設置してから1週間で30件もの回答をいただきました(ご回答いただいた皆様、本当にありがとうございます!)。
特にアンケート設置初日は想定したよりも多くのご回答をいただき、今までどれほどお困りだったのかを改めて実感した次第です。
いただいた回答データを分析したところ、回答の約7割が本社20階に集中していました。
業務はできるがストレスがあるといったお困り具合で、具体的な症状としては「Google MeetやZoomといったWeb会議中に音声が途切れる・映像が固まる」「GoogleDriveやスプレッドシートが開かない」といった声が多く寄せられました。また、「窓際の席に行くと悪い」「特定のスペースがつながりにくい」といった場所に関する回答や、特定の時間帯に「音声が途切れる」「画面共有が固まる」といった回答もいただけました。
回答を受けての取り組み
短期的には、無線APの送信出力調整やチャネル変更といったチューニングを行っています。また今後の改善に備えて調査・分析手段を整えている最中です。中長期的にはL2スイッチ・無線APのリプレースおよび、無線AP配置の再設計を進めていく予定です。
無線APのチューニングは、ネットワーク回りにお強いITインフラグループの面々でヒアリングや調査・設定変更を行っています。
私はGoogle Meetの品質ログを分析できるようにしたので、その話を少ししたいと思います。
回答のなかで「Google Meetが重い」というご意見が多くみられました。
今後の改善前後での効果測定を行えるようにするために、Google Meetの品質ログを分析したいと考えました。そこで、GoogleWorkspaceのログをBig Queryにエクスポートするように設定しました。
分析においては平均値ではなくパーセンタイル値を重視しました。APPROX_QUANTILES 関数を使用して p95や p99.5の遅延、パケットロス率を算出するようにしました。

ただ運用を始めて1週間ほどでBigQueryのストレージ容量が想定よりも肥大化してしまいました。
Google Workspaceのエクスポート機能はMeetの品質ログ以外にも多くのデータを含んでしまうため、現在はエクスポートを停止し、Meetに関するデータのみを残しています。
今後何らかのアクションを行った際に改めてエクスポート機能を有効にし、何らかの数値上での改善がみられるかどうか比較していく予定です。
おわりに
インフラ運用をしていると『どのような情報を監視するか』『どのように検知するか』につい目が向きがちでしたが、数値でわかる定量的な情報だけでなく、『どのようなことにお困りなのか』『業務にどのような影響が出ているのか』といった実際の声に耳を傾けることが大事だと改めて感じました。
また、今回の取り組みではグループのメンバーそれぞれの得意分野を生かして知見を共有できたように感じています。私自身ネットワーク領域を担当としておらずわからないことも多いのですが、一人では解決できない課題にも、グループ一丸となって取り組めていることを嬉しく思います。
社員の皆さんが快適に働ける環境を目指して、引き続きみんなで力を合わせて改善を続けていきたいです。
