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OpenChain Japan WG Tooling Sub-WGの活動について

Last updated at Posted at 2019-12-04

Tooling SWGとは

(Japan WG Tooling Sub WGという名前は長いので、この記事ではTSWGとします)
OpenChain Japan WGでは、さまざまな活動が行われていますが、TSWGの目的は、OSSコンプライアンスのための活用できるツールの情報を「(できるだけ)日本語で紹介」して「ツールを使いたい人のハードルが下がると良いな」という気持ちで活動しているWGです。2019年3月から活動しています。

なぜツールが重要か?

OSSコンプライアンスを一言で説明すると、「OSSライセンスを守って正しく使う」ということになります(リスク云々の話はあえてしません)。そのためには、OSSの入手、利用(開発)、成果物リリース、運用・保守までの一連のプロセスで、OSSライセンスを意識しなければなりません。各プロセスですべきことを簡単にまとめると、次のようになります。

手順 やること
入手 OSSライセンスや著作者などを確認
利用 独自実装部分とOSS、OSS間の依存関係でライセンスの矛盾がないか等を確認
リリース 利用したOSSを記録し、提供する各種ドキュメントやソースコードを用意
保守 問い合わせに対応。脆弱性などの不具合への対応

これらの作業を手作業で行うのは、次のような理由でとても大変です。

  • OSSライセンスの種類が多数ある
  • 組み合わせることができないOSSライセンスの組合せが存在する
  • 一つのOSSのソースコード群が必ず一つのOSSライセンスに対応するとは限らない

ツールを上手く活用することで、OSSライセンスの確認や、管理の手間を大幅に削減することが可能となります。また、ツールのアウトプットを標準的な形(例:SPDX)で蓄積することで、ツール間の情報流通を簡単に行うことができるというメリットもあり、結果としてOSS活用のハードルが下がる可能性もあります。

TSWGができた訳

OSSコンプライアンスのためのツールは多数ありますが、それらツールに関する情報のほとんどは英語で記述されており、日本語で気軽に情報交換できる場がありませんでした。とはいえ、日本にも海外の開発者と一緒にツールに関する活動に関わっている人もそれなりにいるため、「日本でOSSコンプライアンスのツールを活用しやすくする目的のために、最先端のツール開発状況や利用方法について、気軽に情報交換できる場を作ろう」というモチベーションで始まったのがTSWGです。

TSWGの活動内容

TSWGの活動の主軸は、「参加メンバ間でツールに関して議論する」です。その活動の成果として、次のようなものを想定しています。

  • ツールに関する入手可能な情報をまとめる
    • ツール紹介
    • セミナー開催
  • 情報の流通過程とツールのマッピング作成
    • 不足部分(機能)の明確化
    • ツールが管理するデータ流通手段の検討
  • 関連コミュニティへの参加と提案
    • OpenChain本体のReference Tooling WG
    • SPDX
  • 活動に賛同するメンバ拡大のためのプロモーション

今までの活動

TSWGは、現在2ヶ月に1回くらいのペースでF2Fミーティングを開催してます。今までに開催したF2Fミーティングでは、次のような情報共有や報告がありました。

回  内容
第1回 今後の活動方針について議論
第2回 SPDX Toolsの紹介SW360の紹介
第3回 OpenChain仕様を考慮したSW360運用ClearlyDefinedプロジェクトの紹介FOSSologyのCLIとREST APIの利用方法紹介
第4回 OSS読み解きについて、tl;trの紹介、OpenChain Reference Tooling WG立ち上げについて、Open Source Summit North America参加報告
第5回 FOSSology - Install from sourceのススメ、FOSSologyとScancodeの精度比較論文の紹介、Open Chain Reference Tooling Workgroup ミーティングの報告

JTSWGメンバの活動成果

今までのF2Fミーティングの内容は、OpenChain Project WikiのJapan WG Tooling SWGのページからダウンロードすることが可能です。その他に、Japan WGから次のような成果を公開しています。

上記URLを参照していただくと、Japan Tooling SWGのページではなく、FOSSology、SW360それぞれのプロジェクトのアップストリームに登録されています。OSS開発の基本はアップストリームファーストですので、TSWGに関連するOSSプロジェクトが存在する場合は、アップストリームに直接貢献するように活動しています。

また、OpenChain Projectでは、7月にReference Tooling Work Group (RTWG)立ち上がりました。こちらは、以前からShareing Creates Valueという名前で、OSSコンプライアンスに関する活動を行っていたものが、OpenChainに合流したものになります。現在、日本のTSWGのメンバの一部はRTWGと一緒に活動して、最新の情報をTSWGにフィードバックしています。

これからのJTSWGの活動

直近では、12月19日(木)に第6回Tooling SWG F2Fミーティングが開催されます。さらに翌日の12月20日(金)もTSWGとは名付けていませんが、ツールに関するイベントを開催します。両日ともに、FossologyとSW360のメンテナー、Michael C. Jaeger氏を招いて講演いただきます。詳細は、下記の通りです。

  • 第6回Tooling SWGミーティング
    • 日時:12月19日(木) 9:00〜12:00
    • 場所:東芝 浜松町ビルディング39階 3908会議室
    • 内容
      1. SW360ハンズオン
      2. 他ツールからSW360へのマイグレーション
      3. 企業におけるOSSコンプライアンスツールのロールアウト事例
    • 申し込み方法など
  • FOSSologyハンズオン

上記は英語のセッションですが、TSWGは「基本的に日本語OK」の場ですので、日本語で質問いただければ、(誰かが)英語に翻訳します。お気軽に参加ください。

おわりに

今回は、OSSコンプライアンスのためのツールに関するサブワークグループ(Tooling SWG)の紹介をさせていただきました。TSWGへの参加は、ツールに関心のある人であればどなたでも可能です。是非、下記のメーリングリストに参加いただき、F2Fミーティングに顔を出していただければと思います。

明日のテーマは?

明日は、サプライチェーンでのライセンス情報授受の仕組みに関わる「組織間のライセンス情報授受」SWGを、伊藤さんに紹介いただきます。
組織間でライセンス情報を交換しやすくするためには、どのような情報を用意するか、またそのフォーマットをどのようにすると良いかを議論し、積極的に提案を行っているSWGです。お楽しみに!

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