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Clang Modulesについて

Last updated at Posted at 2015-02-24

ClangにModulesという機能を知り、公式リファレンスを要約いたしました。

公式リファレンス
http://clang.llvm.org/docs/Modules.html

0.Clang Modulesの機能について

  1. ヘッダーをコンパイルし、バイナリー表現のモジュールに変換する。

  2. 1度モジュールに変換したヘッダーは、変更しない限り再度コンパイルされない。

  3. モジュールに変換したヘッダーは、includeされると自動的にモジュールがimportされる。

  4. モジュール同士は独立しているため、マクロがincludeされることによるソースコードの破壊を防ぐことが出来る。

  5. Objective-Cの場合は、明示的にモジュールを以下のようにインポートできる。

    @import Foundation;
    @import AVFoundation; //AVFoundation.framworkのリンクを追加する必要がない。
    

    Note
    Xcode 6からは自動的にModulesが有効となっているため、
    #import <Foundation/Foundation.h> は自動的に裏で@import Foundation;と書き換えられている。
    ゆえにフレームワークのリンクの追加が必要となくなった。

#1. ヘッダーをモジュール化する

1-1 Clang Modulesを使用する方法

  1. module.modulemapファイルを作成し、ヘッダーファイルと一緒に配置する。
  2. -fmodulesオプションをつけてコンパイルする。
$ clang -fmodules main.c -o main.o

上記のようにソースコード側でモジュールを使用するための記述は一切いらないため
他のコンパイラで使用されるコード

1-2 module.modulemapファイルとモジュールマップ言語

ヘッダーをモジュール化するには、
module.modulemapファイルにモジュール宣言を行う。

module.modulemap

/*モジュール宣言
  a.hファイルをモジュールAに変換
*/
module A {
    header "a.h"
}

//モジュール宣言
module B {
    header "b.h"
}

//モジュール宣言
module Set {
    header "s1.h"
    header "s2.h"
}

上記のようにmodule.modulemapファイルに、
モジュール宣言を行うことでヘッダーをモジュール化する。
また複数のヘッダーファイルを1つのモジュールへと変換することも可能。
Clangは、モジュールに変換されたヘッダーファイルがincludeされると自動的に該当するモジュールをimportする。

1-3 モジュールマップ言語

1-3-1 モジュール宣言

基本構文

[explictオプション] [frameworkオプション] module module-id [属性] {
    /*モジュールメンバ*/
}
 

module-idはユニーク名である必要がある。
モジュールメンバには以下の宣言が行える。

  • header
  • umbrella directory
  • umbrella header
  • submodule
  • export
  • Use

モジュール宣言の例

module.modulemap

module Hello {
   //コメントも可能
   header "hello.h"
   export *
}

hello.hファイルをモジュールHelloへと変換する。

1-3-2 header宣言

header declaration

機能

該当モジュールにヘッダーファイルを変換する。

基本構文

header "ヘッダーファイル"

hedaer宣言の例

module.modulemap
module Module {
    header "a.h"
    header "b.h"
}

モジュール機能が有効であれば、
a.hファイル、b.hファイルがincludeされると、
Clangは自動的にModuleモジュールをimportする。

1-3-3 umbrella directory宣言

umbrella directory declaration

機能

ディレクトリ内にあるヘッダーファイル一覧を全てそのままモジュールに追加する。

基本構文

umbrella "ディレクトリ名"

umbrella directory宣言の例

module MyLib {
    umbrella "MyLib"
}

MyLibディレクトリ配下のヘッダーファイルが全てMyLibモジュールに追加される。

1-3-4 umbrella header宣言

umbrella header declaration

機能

ヘッダーファイルにincludeされているヘッダーファイルをそのままモジュールに追加する。

基本構文

umbrella header "ヘッダーファイル"

umblrella header宣言の例

module SDK {
    umbrella header "SDK.h"
}

SDK.hでinculdeされているheaderファイルが全てSDKモジュールに追加される。

1-3-5 submodule宣言

submodule declaration

機能

モジュール宣言内部にモジュールを宣言する。
explicitオプションなどが使用できるようなり、
Objective-Cの場合は、明示的に「.」演算子を用いてサブモジュールのみ
importを行うことが出来る。

基本構文

モジュール宣言と同じ。

submodule宣言の例

module MyLib {
    /*サブモジュールSub1の宣言*/
    module Sub1 {
        header "a.h"
    }
    /*サブモジュールSub2の宣言*/
    module Sub2 {
        header "b.h"
    }
    /*explicitオプションが使えるのはサブモジュールのみ*/
    explicit Sub3 {
        heaser "c.h"
    }
}

Objective-Cにおけるサブモジュールの明示的importの例

main.m
@import MyLib.Sub1;

explicitオプション


サブモジュールに対してのみ指定することが出来る。
上記指定することで、ルートモジュールが**@import**でインポートされても
explicit指定しているサブモジュールはインポートされない。

explicitサブモジュールを使用するためには、直接モジュールIDを指定してインポートするか
他のモジュールにてexportされている時のみである。

上記の例では、

@import MyLib;

でMyLibモジュールをインポートしてもモジュールSub3はインポートされない。

1-3-6 暗黙的submodule宣言

inferred submodule declaration

機能

submodule宣言において、module-idに ワイルドカード (*)を使用することで、
umbrella宣言で追加したヘッダーファイルをそのまま同じ名前でモジュール宣言を行う。

基本構文

module トップモジュール {
   umbrella宣言 
   
   module * {
     module-member
   }
}
```
> umbrella宣言はdirectory, headerどちらでも構わない。
> 


#### 暗黙的submodule宣言の例

module MyLib {
 umbrella header "sdk.h"
explicit module * { }
}

> 上記では
> sdk.hでincludeされている各ヘッダーファイル名がそのままモジュールIDとなり、
> モジュールが自動的に宣言される。

例えば上記の例にて
sdk.hで以下のヘッダーファイルがincludeされていた場合、

#include "a.h"
#include "b.h"


上記は以下と同じことになる。


module SDK {
explicit module a {
header "a.h"
}
explicit module b {
header "b.h"
}
}


### 1-3-7 export宣言について 

*export declaration*

#### 機能

該当モジュールがimportされた場合は、exportで指定したモジュールも
一緒にimportする。

#### 基本構文

expoert 他モジュール名


#### ヘッダーをモジュール化することによる問題

モジュール間同士は互いに独立しているため、
各ヘッダーを別々のモジュールに定義すると、リンクエラーが発生する可能性がある。

以下例

```const.h
 const int CONST_VAL = 10; 
a.h
#include "const.h"
main.c
#include  <stdio.h>
#include "a.h"

int main(void)
{
    printf("VAL = %d", CONST_VAL);
    return 0;
}
module.modulemap
/*
const.hファイルをモジュールCに
a.hファイルをモジュールAに変換する。
*/
module A {
    header "a.h"
}                
module C {
    header "const.h"
}

上記の実行結果

clang -fmodules -o main main.c

スクリーンショット 2015-03-14 18.53.48.png

モジュールCをインポートせよというエラーが出ている。

export宣言の役割

そこで以下のようにexport宣言を行うことで、
モジュールAをインポートした場合、モジュールCもインポートすることが出来る。

module A {
    header "a.h"
    export C
}
                        
module C {
    header "const.h"
}

上記では明示的にモジュールCをexportしているが、
以下のように*を使用することで、
a.hファイルでincludeされているヘッダーファイルのモジュールを
自動的にインポートする。

module A {
    header "a.h"
    export *
}
                        
module C {
    header "const.h"
}

#2. モジュール化することによって解決する問題

既存のheaderのincludeの問題とモジュール化することによって解決すること解決しないことにつて

2-1 headerのincludeが抱えている問題

  • コンパイル時間の拡大性

コンパイラーはヘッダーがincludeされるたびに前処理とテキスト解析を行う。
従ってheaderファイルがM個あり、それぞれN個のファイルにincludeされていた場合、上記のinclude処理数は M x Nで拡大していく。

  • 脆さ
  • マクロ宣言による他ソースファイルの破壊
  • マクロ宣言のコンフリクト
  • マクロ宣言のundef命令における強制的な削除
  • 慣例的な回避策
  • とてつもなく長いマクロ名(大文字)
  • __アンダースコア名はシステムによる予約名とされていること
  • ツールのビルドの難しさ
  • ライブラリー同士の境界がはっきりしていない。
  • c, C++, Objective-Cどの言語のヘッダーか分からない。

2-2 モジュールによって解決されること

  • コンパイル時間の拡大性

モジュールのimport処理の場合は、pchファイルと同じようにヘッダーファイルを1回コンパイルしてバイナリー化するため、
処理はヘッダーのコンパイル処理とモジュールの組み込み処理に分解することが出来、
処理数はM + Nへと減らすことが出来る。

  • 脆さ

モジュール間同士は独立して、影響を及ぼさない。

  • ツールのビルドの難しさ

モジュールはどの言語に所属しているヘッダーファイルか記述することが出来る。

#3 モジュールのインポートは自動的に行われる。

Objective-Cの場合は、フレームワークのリンクを追加する必要がない。

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