はじめに
2025年12月25日(クリスマス)未明から、世界的に複数のオンラインサービスで大規模な障害が相次いで発生しました。
最初に異変が確認されたのは PC ゲームプラットフォーム Steam で、その後 Amazon Web Services(AWS)や Cloudflare など、インターネットの基盤を支えるクラウド/CDN 事業者にも障害報告が拡大しました。
本記事では
・影響を受けたサービス
・発生から復旧までの時系列
・考えられる原因
・技術的背景
・今後の教訓
を整理します。
影響を受けた主なサービス
オンラインゲーム・プラットフォーム
Fortnite、Rocket League、Apex Legends、Counter-Strike、Battlefield、Elden Ring などでログイン不能や接続エラーが発生しました。
Steam では
・ストアが表示されない
・所持ゲーム一覧が取得できない
・購入処理が失敗する
といった症状が報告されました。
コンシューマーゲームネットワーク
PlayStation Network や Xbox Live でも部分的な障害が確認されました。
特にクロスプラットフォームタイトルで影響が顕著でした。
クラウド・インフラ基盤
AWS と Cloudflare で障害報告が急増しました。
これらに依存する Web サービスや API が連鎖的に利用不能になりました。
ソーシャルメディア
SNS 自体は稼働していましたが、関連ワードがトレンド入りし、憶測と混乱が拡大しました。
障害の時系列(JST)
・1:00頃 Steam の接続エラー報告が増加
・3:30頃 Steam 障害報告がピークに達する
・6:00頃 一時的に復旧したように見える
・9:00頃 Steam 障害が再発
・10:00頃 Epic Games 系タイトルで障害発生
・11:00頃 AWS・Cloudflare の障害報告が急増
・13:00以降 主要機能は順次復旧
完全復旧までには数時間を要しました。
考えられる原因
Steam 側の要因
ウィンターセールによるアクセス集中や、外部インフラ障害の影響が考えられます。
クラウド・ネットワーク側の要因
Cloudflare では複数拠点でネットワークメンテナンスが実施されていました。
AWS は公式に「自社サービスは正常」と発表しています。
BGP ルーティング異常
過去の事例から、経路誤配信(ルートリーク)やハイジャックによる通信断の可能性も否定できません。
DNS トラブル
名前解決障害は広範囲なサービス停止を引き起こします。
今回の直接原因かは不明ですが候補の一つです。
サイバー攻撃説
現時点で攻撃の証拠は確認されていません。
過去の事例では設定ミスや内部要因による障害が多く報告されています。
関連技術の整理
AWS
世界最大規模のクラウド基盤。
単一障害点になるリスクがあるため、マルチクラウド戦略が重要。
Cloudflare
CDN・WAF・DNS を提供するインターネットの玄関口。
設定ミスが広範囲障害につながる。
DNS
サービスの電話帳。壊れると「サーバは生きているのにアクセスできない」状態になる。
BGP
インターネット経路制御の根幹。誤設定は世界規模障害を引き起こす。
WAF
アプリ層防御装置。ルールミスで正常通信まで遮断されることがある。
教訓
・単一クラウドへの依存はリスク
・フォールバック経路と冗長化が重要
・公式ステータスを常に確認できる体制を持つ
・SNSの噂に振り回されず一次情報を確認する
まとめ
今回の障害は、インターネットが高度に相互依存している現代ならではの事例でした。
一つの障害が連鎖的に波及し、無関係に見えるサービスまで停止します。
エンジニアは
「大規模障害は必ず起きる」
という前提で、設計・運用・監視・情報収集体制を構築する必要があります。
今回の事例が、耐障害性を考えるきっかけになれば幸いです。