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AIが正解を出す時代に、「正解がない仕事」の価値が上がる気がした

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最近、個人開発中のアプリのLP用に、Blenderで3D動画を作っている。

といっても、自分はBlenderをほとんど使えない。

モデルを置いて、ライトを設定して、カメラを動かして、キーフレームを打って……みたいな操作を自分でやっているわけではない。

AIに指示して、BlenderのPythonを書かせている。

映像を見ながら、

「もう少し被写体を目立たせたい」

「ここはテンポを落としたい」

「この場面をもっと印象的にしたい」

「機能の変化が伝わりやすい見せ方にしたい」

みたいなことを伝えると、AIがコードを書いてBlenderを動かしてくれる。

自分ではBlenderをほとんど操作できないのに、それなりの3D動画が出来上がっていく。

便利だなと思う一方で、何回か修正しているうちに、少し変なことに気づいた。

AIに「作らせること」より、

出来上がったものを見て、何が違うのかを説明することの方が難しい。


「なんかダサい」はAIには伝わらない

最初に出来上がった動画を見たとき、

なんとなく安っぽく感じた。

でも、

「なんか安っぽいから、いい感じにして」

だけでは、なかなか思った方向にはいかない。

そこで映像を見ながら考える。

  • 被写体が背景に埋もれていて、印象が弱い
  • 映像のテンポが一定で、見せ場がない
  • 重要な情報が小さくて、何が起きたのか分かりにくい
  • 本当に見せたい部分より、その前段の説明が長い
  • 状態の変化が視覚的に伝わりづらい

こうやって「なんか違う」を分解して伝えると、AIは一気に修正できる。

そこで思った。

AI時代に強いのは、

センスがある人というより、センスを言語化できる人なのかもしれない。


バックエンドは「評価軸」を決めやすい

自分はもともとデータエンジニア寄りなので、バックエンドやデータ基盤を作る仕事をしてきた。

もちろん、バックエンドに唯一の正解があるわけではない。

ドメインモデルをどう切るか、どこまでを一つのサービスとして扱うか、どの業務ルールをどこに持たせるか。

こうした設計には、普通に判断の余地がある。

ただ、要件がある程度決まった後の「良し悪し」は、比較的定義しやすいように思う。

例えば、

  • レスポンスが速い
  • 障害に強い
  • セキュリティ上の問題が少ない
  • コストが低い
  • 監視しやすい
  • 保守しやすい

といった評価軸を置ける。

さらに、

「レイテンシが何msになったか」

「エラー率が下がったか」

「テストが通るか」

「インフラコストが下がったか」

のように、改善したかどうかを数値やテストで確認できることも多い。

つまりAIからすると、

一度ゴールや制約が決まれば、正解に近づくためのフィードバックループを回しやすい。

これはデザインとの大きな違いなのかもしれない。


デザインは「何を正解にするか」から決めないといけない

一方、デザインはかなり違う。

例えばLPを作るとして、

余白を広く取るのが正しいのか。

情報量を増やすのが正しいのか。

アニメーションを派手にするのが正しいのか。

静かに見せるのが正しいのか。

親しみやすくするのか。

高級感を出すのか。

どれも間違いではない。

A案も成立するし、B案も成立する。

そして、どちらを選ぶかによってプロダクトの印象そのものが変わる。

ここには、

「レイテンシ100ms以下」

みたいな分かりやすい評価関数がない。

だから人間が、

「このプロダクトでは派手さより静けさを優先したい」

「ここは説明するより、触ってみたいと思わせたい」

「競合より目立たせるのではなく、余白を使って高級感を出したい」

みたいに、

何を良いとするかを先に決めないといけない。

AIはその後の実装をものすごい速度でやってくれる。

でも、

「何を良いとするのか」

までは自動では決まらない。


AIが強くなるほど「正解がある仕事」は自動化しやすい

ここまで考えて、仕事を少し違う軸で見るようになった。

「技術職か、クリエイティブ職か」

ではなく、

正解を定義しやすい仕事か、正解そのものを考える仕事か。

という軸。

正解を定義しやすいものは、AIと相性がいい。

入力があって、出力があって、評価できる。

間違っていれば修正できる。

何度でも試行できる。

逆に、

  • デザイン
  • ブランド
  • 新規事業
  • プロダクト企画
  • マーケティング
  • コピーライティング

みたいな領域は、

そもそも「何が正解か」が事前には分からないことが多い。

ユーザーに刺さるかもしれない。

刺さらないかもしれない。

今までにないものだから、過去の正解も存在しないかもしれない。

ここでは、

正解を知っている能力より、

自分なりの評価軸を作る能力

の方が重要になる。


エンジニアも「作れる」だけでは差がつかなくなるのかもしれない

少し前まで、

「コードを書ける」

「インフラを構築できる」

「3Dを作れる」

「Webサイトを作れる」

という能力そのものに大きな価値があった。

もちろん今でも必要な能力だと思う。

ただ、AIによって「作る」という部分のコストは明らかに下がっている。

自分がBlenderをほとんど使えないのに、3D動画を作れている時点で、それをかなり実感した。

そうなると、人間側の価値は少しずつ、

作れること

から、

何を作るか決めること

そして、

出来上がったものの良し悪しを判断すること

に移っていくのかもしれない。


「正解を出す人」から「正解を決める人」へ

AIはこれからもっと賢くなる。

コードも、インフラも、デザインも、動画も、今よりずっと簡単に作れるようになると思う。

そうなったとき、

人間がAIと競争して「正解を出す速度」を上げ続けるのは、たぶんかなり厳しい。

AIは速い。

大量に試せる。

疲れない。

過去の知識も大量に持っている。

でも、そんなAIに対して、

「いや、この方向じゃない」

と言えるのは人間なのかもしれない。

そして、

なぜ違うのか。

何を大事にしたいのか。

どんな体験を作りたいのか。

それを言葉にできる人が、AIを使って一気に形にしていく。

AIが正解を出す能力を上げれば上げるほど、

逆説的だけど、

正解が存在しない場所の価値が上がっていく。

そんなことを、BlenderをAIに触らせながら考えていた。

技術が進めば進むほど、

最後に残るのは意外と、

センスとか、価値観とか、審美眼とか、

今まであまり数値化できなかったものなのかもしれない。


今回、AIと一緒に作っているもの

この記事で触れたBlenderの動画やLPは、個人開発しているiOSアプリ「Limitime」のために作っています。

加熱式たばことBluetoothで連携し、使用後に一定時間デバイスを使えない状態にすることで、次の1本までの間隔を作るアプリです。

今回書いた「AIが作る部分を担うほど、人間は何を良しとするかを考える必要がある」という感覚も、この個人開発を続ける中で感じたことでした。

「禁煙するつもりはないけど、吸いすぎは少し抑えたい」

そんな人に届けばと思って作っています。

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