個人開発したiOSアプリ「Limitime」をApp Storeに公開して、約2か月が経ちました。
8月15日にリリースして、ダウンロード数はようやく100を超えました。
100DL。
大きなサービスから見れば、ほとんど誤差のような数字です。
ただ、広告予算も知名度もほぼない個人開発アプリで、
「知らない誰かが100回インストールしてくれた」
と考えると、自分にとってはかなり大きな数字でした。
前回、リリースから約3週間経った時点でこんな記事を書きました。
前回の記事では、アプリを作ることよりも、
「作った後にどうやって知ってもらうか」
のほうが想像以上に大変だった、という話を書きました。
それからさらに約1か月。
- ASO
- Apple Ads
- App Storeのスクリーンショット
- UI/UX改善
- 対応デバイス追加
- LP・SEO
- アプリ内導線
- 検索キーワード
などをひたすら触ってきました。
2か月経って、少しだけ見えてきたことがあります。
今回はその続きです。
技術記事というより、今回も個人開発の記録です。
まず、2か月で100DL
リリース直後は、本当にダウンロードされませんでした。
0DLの日も普通にあります。
App Store Connectを開いて、
「今日も0か……」
となる日もありました。
最初は、
「アプリが悪いのか?」
「需要がないのか?」
「スクリーンショットが悪いのか?」
と考えていました。
ただ、前回の記事でも書いた通り、そもそも表示回数が少なければダウンロードもされません。
そこでこの2か月は、
アプリを改善することと同じくらい、どうやって見つけてもらうか
を考えてきました。
その結果、最近では広告を出していない日でも、1日に3〜5DLされる日が出てきました。
ものすごく小さい数字ではあります。
でも、
0〜1DL/日
だった状態から、
3〜5DL/日
が見えるようになった。
個人的には、この変化のほうが100DLという数字そのものより面白いです。
ASOは思っていたより重要だった
この2か月で一番触ったのは、たぶんASOです。
ASOはApp Store Optimizationの略で、App Store内のSEOのようなものです。
具体的には、
- アプリ名
- サブタイトル
- キーワード
- 説明文
- スクリーンショット
- コンバージョン率
あたりをずっと見ています。
最初は、
「減煙アプリなんだから『減煙』で出ればいい」
くらいに考えていました。
でも実際には、それだけでは入口が狭い。
Limitimeは現在、
- 減煙
- 節煙
- 禁煙
- 喫煙記録
- 喫煙管理
といった複数の検索意図を意識しています。
特に最近は「喫煙記録」を強化しています。
「タバコを減らしたい人」だけではなく、
「とりあえず自分が何本吸っているのか知りたい人」
もアプリを使えるからです。
実際、「喫煙記録」では検索順位が15位前後まで上がってきました。
ここで感じたのは、
機能を増やすだけでなく、アプリへの入口を増やすことも重要
ということです。
「自分は何を作ったのか」を何度も考え直した
開発している本人からすると、Limitimeは
「BLEで加熱式たばこと接続して、使用後にデバイスをロックするアプリ」
です。
技術的にはそれで正しい。
でもユーザーからすると、BLEはほぼどうでもいい。
欲しいのは、
「吸いすぎを減らしたい」
「次の1本まで間隔を空けたい」
「何本吸ったのか自動で記録したい」
という結果です。
だからApp Storeの説明もかなり変えました。
最初は機能説明が中心でした。
今は、
意志だけではなく、仕組みで喫煙ペースを管理する
という部分を中心にしています。
これは個人開発をしていてかなり難しいところです。
作った本人は、どうしても「機能」を説明したくなります。
でもユーザーが知りたいのは、
「それで自分に何が起きるの?」
です。
スクリーンショットも何回作ったか分からない
App Storeのスクリーンショットもかなり作り直しました。
最初は、
「機能が分かればいい」
と思っていました。
でも最近は、
検索結果で一瞬見たときに何のアプリなのか分かるか
をかなり意識しています。
App Storeでは、ユーザーが説明文を全部読んでくれるとは限りません。
むしろ、
1枚目のスクリーンショット
↓
アプリ名
↓
評価
↓
残りのスクリーンショット
くらいで判断されることも多いはずです。
だから、
「何ができるか」
ではなく、
「なぜ使うのか」
を先に見せるようにしました。
このあたりは、エンジニアリングとは全く違う頭を使います。
Apple Adsも実際に触ってみた
Apple Adsも試しました。
ここでも面白かったのが、
検索キーワードによって全然動きが違う
ことです。
たとえばIQOS関連のキーワードはタップされる。
でも、必ずしもインストールされるとは限らない。
逆に検索ボリュームは小さくても、目的がアプリと合っているキーワードではコンバージョンしやすい。
また、完全一致を中心にしたところ、ほとんどダウンロードされなくなったこともありました。
部分一致に戻すと、また動き始める。
広告を出す前は、
広告を出す → 表示される → ダウンロードされる
くらいに考えていました。
実際には、
検索語
↓
広告表示
↓
タップ
↓
App Storeの商品ページ
↓
スクリーンショット
↓
インストール
というファネルになっています。
広告だけ良くてもダメでした。
アプリの商品ページまで含めて全部つながっています。
対応デバイスも増やした
リリース後、アプリそのものもかなり変わりました。
最初は対応できるデバイスが限られていましたが、その後、
- IQOS ILUMA iシリーズへの対応拡大
- Ploom AURA対応
などを追加しました。
BLE接続についても、
- 再接続
- 使用検知
- デバイス状態
- バックグラウンド
- 接続安定性
などを何度も修正しています。
Ploom AURA対応も、最初からすんなり動いたわけではありません。
実機を触って、
通信を調べて、
実装して、
リリースして、
問題が見つかって、
また直す。
完全にこの繰り返しです。
リリース前は「完成したものを公開する」と思っていました。
今はむしろ、
公開してから実機とユーザーにテストしてもらっている
くらいの感覚になっています。
もちろん最低限動く状態で出す必要はありますが、
全部完璧になるまで公開しない、
というのも個人開発では難しいのかもしれません。
「使える人を増やす」と「入口を増やす」は別だった
対応機種を増やせばダウンロードも増えると思っていました。
もちろん、それもあります。
でも2か月やってみて、
少し違うと感じています。
対応機種を増やすのは、
アプリを使える人を増やすこと。
ASOを改善するのは、
アプリを見つけてもらえる入口を増やすこと。
スクリーンショットを改善するのは、
見つけた人に興味を持ってもらうこと。
UIを改善するのは、
インストールした人に使い続けてもらうこと。
全部違う問題です。
以前は全部まとめて、
「ユーザーを増やす」
と考えていました。
今は、
認知
↓
検索
↓
App Store表示
↓
インストール
↓
初回設定
↓
デバイス接続
↓
継続利用
のどこで落ちているのかを考えるようになりました。
データエンジニアの仕事でもパイプラインを分解して考えますが、プロダクトも似たようなものなのかもしれません。
SEOは想像以上に時間がかかる
App Store以外からもユーザーに来てもらおうと思って、Next.jsでLPも作りました。
Search Consoleにも登録して、記事を書いて、構造化データやmetadataも触っています。
ただ、2か月やって感じるのは、
SEOはかなり時間がかかる
ということです。
サイトを作ったからといって、翌日からGoogle検索でアクセスが増えるわけではありません。
記事を書いても、すぐ上位表示されるわけでもない。
一方でApp StoreのASOは、変更によって検索順位やインプレッションが動くことがあります。
少なくとも今の規模では、
「まずApp Store内で見つけてもらう」
ほうが優先度は高そうだと感じています。
SEOは長期戦として続けます。
100DLしても、まだ何も分からない
100DLまで来ました。
では需要があるのか。
まだ全然分かりません。
100人がダウンロードしても、
100人が使い続けているわけではありません。
ダウンロード数より、
- セットアップ完了率
- デバイス接続率
- 翌日も使っているか
- 1週間後も使っているか
- 実際に喫煙本数が記録されているか
のほうが重要です。
最近はダウンロード数より、
インストール後にどう使われているか
のほうが気になっています。
最初の頃は、
「1DL増えた!」
だけで喜んでいました。
今は、
「この人、ちゃんと接続できたかな」
「その後も使っているのかな」
というところまで気になります。
悩みが一段階進みました。
そして初めて問い合わせが来た
個人的に、100DLより印象に残っている出来事もありました。
ユーザーから問い合わせが来たことです。
それまでApp Store Connectの数字としてしか見えていなかったユーザーが、急に「人」になりました。
当たり前ですが、
ダウンロード数の向こう側には、実際にアプリを使っている人がいます。
個人開発だと、この感覚はかなり面白いです。
自分のPCで書いたコードが、
知らない人のiPhoneに入って、
実際の生活の中で使われている。
2か月経った今でも、これは少し不思議です。
AIで開発速度はさらに上がった。でもボトルネックは別の場所にある
前回の記事でもAIについて少し書きました。
この2か月で、その感覚はさらに強くなりました。
コードを書くこと自体はかなり速くなっています。
AIを使えば、
- React Nativeの実装
- SQL
- BLE周りの調査
- UI案
- エラー調査
- LP
- SEO改善
- コピー案
- スクリーンショット案
まで、一人でもかなり広い範囲を触れます。
ただ、それでも難しいのは、
何を作るべきか
誰に届けるべきか
どういう言葉なら伝わるのか
です。
AIは実装速度を上げてくれます。
でも、
「この機能をユーザーは本当に欲しいのか?」
という問いの答えは、最終的にはユーザーを見るしかありません。
むしろ実装が速くなったことで、
「何を作るか」の重要性が以前より上がっている
ようにも感じます。
2か月やって、一番変わったこと
アプリを作り始めた頃は、
良いアプリを作る
↓
App Storeに公開する
↓
ユーザーが使ってくれる
と思っていました。
今は、
仮説を作る
↓
実装する
↓
リリースする
↓
見つけてもらう
↓
使ってもらう
↓
数字を見る
↓
仮説が間違っていることに気づく
↓
また直す
という感じです。
特に、
「良いものを作る」と「使ってもらう」は別問題
ということを、この2か月でかなり実感しました。
そしてさらに、
「ダウンロードしてもらう」と「使い続けてもらう」も別問題
です。
個人開発、やることが多すぎます。
次は1000DLを目指す……というより
次の数字としては1000DLがあります。
ただ、今は単純にダウンロード数を10倍にするよりも、
「Limitimeを必要としている人が、ちゃんと見つけられて、ちゃんと使い始められる」
状態を作るほうが重要だと思っています。
そのために今後は、
- 「減煙」以外の検索入口を増やす
- 喫煙記録としても使いやすくする
- セットアップをもっと簡単にする
- App Storeの商品ページを改善する
- 継続率を見る
- 対応デバイスを増やす
あたりを続けていく予定です。
2か月前は、
「アプリを作れるか」
を考えていました。
1か月前は、
「どうやったらダウンロードされるか」
を考えていました。
今は、
「どうやったら使い続けてもらえるか」
を考えています。
たぶんまた2か月後には、別のことで悩んでいると思います。
それも含めて個人開発なのかもしれません。
まだ100DL。
でも、0から100までは結構面白かったです。
Limitime
この記事で紹介したアプリ「Limitime」は、加熱式たばことBluetoothで連携し、喫煙後にデバイスを自動でロックすることで、次の1本までの間隔を作るiPhoneアプリです。
公式サイト
アプリの仕組みや対応デバイスなどを詳しく紹介しています。
App Store
Limitime - 減煙・節煙・禁煙サポート
興味があれば、サイトを見たり実際に使ってみてもらえるとうれしいです。