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現役ソフトウェアエンジニアが感じる開発現場の変化

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はじめに:コーディングの主役が変わり始めた

AIコーディングエージェントが登場してから、開発現場は「コパイロットとして人間を支援する」フェーズを越えて、「AIが実装の主役を担い、人間が方向付けと品質を担う」フェーズに移りつつあります。

現場にいると、体感としていちばん大きい変化は“速く書ける”ことではなく、「何を・なぜ作るか」と「どう守るか(品質・セキュリティ)」の比重が急に増したことです。

1. “書く”が減り、“決める・確かめる”が増える

大手IT企業でもAIによるコード生成比率が増えている、という話題がたびたび出ています。

たとえばスポティファイでは、トップエンジニアたちが昨年12月以降、AIの活用により手動でのコーディングを一切行っていないとの発表をしています。

[https://www.businessinsider.jp/article/2602spotify-developers-not-writing-code-ai/:embed:cite]

ここで重要なのは、「AIが書く=エンジニアが不要」という単純な話ではなく、エンジニアの価値が“実装そのもの”から“意思決定と品質保証”に移っている点です。

  • 実装:AIが高速に叩き台を出す
  • 仕様解釈:人間が意図と制約を言語化し、AIに渡す
  • レビュー:人間が安全性・保守性・変更容易性を担保する
  • 運用:監視やインシデント対応、SLOなど「現実のシステム」を支える

実装コストが下がるほど、相対的に「間違えたときのコスト」が目立ちます。だからこそ、レビューと運用、そして“そもそも何を作るか”が前に出てくる。

2. 「エンジニア職がなくなる」不安はどこから来るか

「AIがコードを書くなら、エンジニアは要らないのでは?」という議論は定期的に出てきます。

ただ、現場にいるとこの問いは少しズレているようにも感じます。

エンジニアの仕事は元々、コードを書くことだけではありません。

  • 曖昧な要求を、実装可能な形に落とす
  • 不確実な状況でトレードオフを選び、説明責任を果たす
  • 既存システムの制約を踏まえ、変更の安全性を設計する
  • 障害やセキュリティリスクに備え、継続的に守る

AIが得意なのは「それっぽい実装」を高速で生成することです。一方で、目的の合意形成、リスクの見積もり、運用の責任分界、組織の意思決定――こういった領域は、まだ人間の仕事として残るどころか、むしろ重要度が上がっています。

3. 越境が“推奨”から“必須”へ:PM領域に踏み込むエンジニア

現場で強く感じているのは、越境を恐れないことの重要性です。

具体的には、エンジニアがプロダクトマネージャーの領域へ踏み込み、PRD(Product Requirements Document)を起点に、分析・検証・優先度づけまでやる場面が増えています。

理由としては、

  • 実装のボトルネックがAIで薄まる
  • 代わりに「何を作るか」を決めることがボトルネックになる
  • 仕様の曖昧さが、そのままAI出力の“ズレ”として増幅される

AIに任せられる範囲が広がるほど、上流の言語化能力(目的・制約・受け入れ条件)がそのまま生産性になります。

その為エンジニアは、要件の定義・分解・合意に深く関わる必要が出てきます。

4. 品質レビューの価値が上がる:速く作れるほど“壊す”のも速い

AIが実装を主導し始めると、品質レビューが一段と重要になります。

理由は単純で、「出力が増える=確認すべき量も増える」からです。

さらにAIの出力は、テストが薄い、境界条件が弱い、セキュリティ観点が抜ける、といった“人間が無意識に避けてきた地雷”を踏むことがあります。

結果として、レビューの観点がコードスタイルから、より本質的な品質へ移ります。

  • 仕様に対して正しいか(ビジネスロジック)
  • 例外系・境界条件をカバーしているか
  • 監査ログやアクセス制御、データ保護が十分か
  • 変更容易性(将来の改修コスト)を下げているか
  • 観測可能性(ログ/メトリクス/トレース)を入れているか

「レビューできる人」が不足すると、AIで作るスピードがそのままリスクになります。

5. これから比重が増える仕事:越境・レビュー・運用・意思決定

AIが実装を担える範囲が広がると、エンジニアの仕事は「書く」から「作り続ける」へ重心が移ります。

現場の一次体験として、今後いっそう比重が増えるのは次の4つです。

  • 越境:PRDの解像度を上げ、分析・検証・優先度づけに関わる
  • 品質レビュー:仕様/境界条件/セキュリティ/保守性の観点で守る
  • 運用:SLO/監視/インシデント対応で“現実のシステム”を支える
  • 意思決定:不確実性の中でトレードオフを選び、説明責任を持つ

実装が早くなるほど、判断のミスや品質の穴は「より速く」「より大きく」影響します。

だからこそ、エンジニアの価値は、越境して前提を整え、レビューで守り、運用で回し、意思決定で方向をつけることに集約されていくと感じています。

おわりに:エンジニアは“書く人”から“作り続ける人”へ

AIが実装を担う時代、エンジニアの役割は消えるのではなく、再定義されていくと感じます。

  • AIに書かせるために、目的と制約を言語化する
  • 生成されたものを、品質・セキュリティ・保守性の観点で守る
  • 越境して、プロダクトの意思決定に関与する
  • そして、作ったものを“作り続ける”(運用し続ける)

コーディングがコモディティ化するほど、人間の価値は「越境」「判断」「責任」の側に寄っていく。

恩恵を最大限に享受し、新しいエンジニア像を作っていけるよう、今までの考え方・やり方に固執せず、変化を受け入れ対応できるよう意識したいと記事を書きながら考えています。

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