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AIにどこまで渡せるか — MODAYで実際にAIに渡せなかった作業

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Last updated at Posted at 2026-05-11

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元記事: https://moday.me/blogs/journal/ai-driven-brand-experiment

AIにどこまで渡せるか — MODAYで実際にAIに渡せなかった作業

なぜこの実験をやっているか

MODAY を始めた動機には、まだ書いていなかったものがある。
「申し訳ございませんTシャツが面白かった」「リモートで曜日感覚が薄くなる」
というのが半分。もう半分の動機を、ここでちゃんと書いておく。

それは、AI 時代の事業の作り方を、自分が早く掴んでおきたい ということ。

普段は EC コンサルをやっているので、事業の現場は見ている。
その上で、生成 AI が出てきてからの 2〜3 年、自分の中でずっと引っかかっていたのが
結局、AI に事業をどこまで運転させられるのか」という問いだった。

ニュースも論文も、人の話も、たくさん読んだ。それでも答えが出ない。
当然で、これは読んでわかる類の問いじゃない。やってみないと分からない

言ってしまえば、MODAY は Tシャツを売るブランドであると同時に、
個人がやれる範囲の社会実験 でもある。
AI と人間がこれからどう付き合っていくか、答えはまだ誰も持っていない。
なら自分のブランドで試してみよう、というだけのこと。

実験する場としても、ちょうど良い大きさだと思っている。
在庫ゼロ・1人運用・グローバル展開・3日で立ち上げ。
本気のお金が動き、本気のお客さんが買い、本気の発送が起きる。
趣味プロジェクトや社内検証だと、判断が緩む。
緊張感のある場で計測しないと、答えは出ない。

なので、棲み分けない。なるべく全部 AI に渡す

「ここは自分でやった方が良かった」は今のところゼロ

3日やってきて、「これは AI に任せるんじゃなかった」と思った瞬間が、
いまのところ無い。

スタック選定、デザイン生成、ストアの構築、Webhook の実装、翻訳、文章作成。
どこも Claude が出したものを、ほぼそのまま採用してきた。後悔がない。

ただ、これは「Claude が完璧だった」のではないと思う。
たぶん、自分の判断軸そのものも Claude に渡している から、
後悔のしようがない、というのが正確なところだ。

判断軸を自分が握っていれば、
「あのとき自分はこう判断するつもりだった、でも AI の出力に流された」
と思える瞬間が来る。
MODAY ではその瞬間がまだ来ていない。良い意味でも、悪い意味でも。

それでも AI に渡せなかったもの

棲み分けない、と言いつつ、実際の構築では渡せなかったものが4つある。
引き算で並べていく。

1. プロンプトを投げる主体性

これがまだ無くせていない。
「次に何をやるか」を考えて、Claude に投げる最初の1文だけは、
毎回自分が書いている。

これを Claude に渡せたら、たぶん次のステージに行ける。
が、いまはまだやれていない。

2. 銀行口座と決済審査

Shopify Payments の審査、Stripe の本人確認、海外送金の口座開設。
ここは人間にしかできない領域。
代表者の本人確認書類を出して、自分の名前と顔で契約する。

3. 各サービスの申し込みと課金登録

Gelato、Render、fal.ai、Make.com、Anthropic API。
それぞれにアカウントを作って、クレジットカードを登録して、
有料プランに上げる。
この作業だけは、毎回自分でダッシュボードを開いて、自分でカードを入れている。

4. API キーを発行して繋ぐ手前まで

Claude Code に API を叩かせるためには、その API キーが必要になる。
キーの発行ボタンを押すところまでは、自分の手でやる。
発行したキーを .env に貼るところから先は、もう Claude Code の領分。

この4つが、3日間の実作業で、自分の手が物理的に動いた領域だった。
それ以外は、ほぼ全部 Claude が動かしている。

プロンプトを投げる主体性も、いずれ渡したい

4つの中で、一番渡したいのが「プロンプトを投げる主体性」のところ。

理想は、Claude Code が 「次にやるべきはこれです」 と提案してきて、
自分は OK か NG かだけ返す、という形。
事業の方向性そのものを AI 側に持たせていきたい。

これは技術的にはたぶん、もうやれる。
Agent 的な構成にすれば、Claude Code が自分でタスクを切って、
自分で実装して、次のタスクを提案する、というループは組める。

ただ、MODAY の今の段階では、まだそこまで踏み込んでいない。
最初の一歩を出す方向を、自分で決めたい欲がまだ残っている、
というのが正直なところ。ここを手放すのが、たぶん次の課題

残り3つは「AIが苦手」だからじゃなく、「制度的に入れない」だけ

ここがこの記事で一番書きたいところで。

銀行、決済審査、サービス申込、課金登録、API キー発行。
これらが人間に残っている理由は、「AI に判断能力がないから」ではない。

単に、AI には法人格も個人格もないから、契約の当事者になれない
それだけ。

技術的には、Stripe の本人確認も、Gelato のアカウント作成も、
いま Claude Code に「やって」と頼めば、できる気がする。
フォームに必要事項を入力して、画像をアップロードして、メール認証をクリックして。
ブラウザを操作するだけの話なので、Computer Use 系の機能を使えば実装は可能だ。

でも、それをやっても、契約者として登録されるのは「私」 だ。
Claude が私の名前で契約しているだけで、責任は私が負う。

ということは、この3つに残っているのは「AI の限界」ではなくて、
社会の制度がまだ追いついていない領域」ということになる。
AI 自身が事業者になれる日が来たら、ここも全部 AI に渡る。

棲み分けじゃなく、引き算

「AI と人間の棲み分け」という発想自体が、たぶん3年後には古くなっている。

「ここは人間がやるべき」「ここは AI に任せるべき」と最初に線を引くと、
その線が制約になる。
線を引いた瞬間に、「AI にどこまでやれるか」の答えは見つからなくなる。

いま MODAY でやっているのは棲み分けではなくて、
なるべく全部 AI に渡してみて、それでも人間に残ってしまったものを、
引き算で確認する
という作業。

残った4つのうち、3つは制度的な制約。1つは自分の主体性。

3つは時間が解決する。1つは自分で手放すしかない。

それでは、また書きます。

— Yoskee
moday.me


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