はじめに
みなさん、一度は(いや毎年)行ってみたい AWS re:Invent はご存知でしょうか?
年に一度開催されるAWSのグローバルなラーニングイベントで、約5万人の人が世界中から集い、夜な夜な新しいサービスに興奮歓喜し、濃厚なコミュニケーションを図る一週間です。日本からも1,700人以上のエンジニアが現地に行っています。
AWS re:Invent 2024は、12/2から12/6までラスベガスで開催予定です。
「よく、re:Inventは一度は行っとけ、人生変わるから」と聞いていました。私も2019年に初参加したのですがマジで価値観が変わり(もちろんJAWS-UGのおかげもありましたが)、そこからエンジニア人生が変わったのは確かです。コロナ禍が明けて2023年に2回目の参加、そして2024年も運良く参加できることになりました。
この記事を執筆した背景には、多くの人に行ってもらいたい(現地で会いたい)、ただし海外出張は、多くの企業において様々な社内調整のハードルが高く、かつ狭き門だと思います。私も色々苦労したので、その経験を踏まえてこれから参加する人に向けてノウハウをダンプします。少しでもみなさんの参考になればと思います。
まだ今からでも12月の参加には十分間に合います(記事書いているのは9月)ので、ぜひ上司や会社との調整にチャレンジしてみてください。
なにはともあれこれを読む
完成されたドキュメントはこれです。ほぼこれで十分かと(笑)
AWS re:Invent皆勤賞の私がほんとは教えたくないre:Invent完全攻略ガイド2023
社内調整
多分ここが一番大変なんじゃないかと思います。会社によってそれぞれ事情が異なりますので、あくまでも参考としてください。
予算
なんにせよ予算がないと始まりません。費用感としては約100万円/人です。
まずは4月くらいに、管理職や幹部あたりと1on1をセッティングして、少なくともre:Inventという存在と参加メリット、自分の参加意思を伝えましょう。
昨年re:Invent行かれた方であれば、12月や1月に開催するであろう自社の報告会(re:Cap)などで上司に刷り込んでおくのも一手です。
6〜7月になったらそわそわし始めましょう。会社によって会計年度が異なるということ、会社の損益状況にも左右されると思いますので、そのあたりはきちんと押さえておきましょう。
参加の目的
参加目的と選抜条件を定義します。
業務として行くということで"なんのために行くのか"を明確にします。以下は例ですが、
- 会社のプレゼンス向上
- 最新技術のキャッチアップ
- 現地で知り得たサービスやソリューションをビジネスのインプットにすること
- 現地でのトップクラスのエンジニアやパートナーとの効率的なコミュニケーション
- 圧倒的熱量を現地参加してダイレクトに感じること
- クラウドエンジニアのエンゲージメント向上 など
が主な理由になると思います。テクニカル、ビジネス、人材育成などどこにフォーカスするかで選出するメンバーも変わってくると思います。
メンバー選出
現地に送り込むメンバーの選出を行います。
- 選抜条件
どういう条件を満たす人がいくのかは明確にしておくとよいです。- スキル(ソリューションアーキテクトプロフェッショナル取得済であること)
- テーマ(参加にあたりどんなテーマで臨むのか)
- コミットメント(帰国後どんなことをするのか)
- パッション(熱いパッションを持っているか)
- ビジネス(ビジネスフィードバック、ビジネス牽引ができること)
- 貢献度や活躍度(アンバサダー、トップエンジニア、ジュニチャンなどのエース級)
- これから活躍させたい人(最新技術の吸収、コミュニケーション構築)
- 若手育成
など目的に応じてメンバーの選出を行います。ポイントは、行って終わりではなく、その後にどうするか?です。若手ベテラン問わず、帰国後のアウトプット(報告会、re:Cap)はもちろんのこと、会社へどのようなフィードバックを行い貢献していくのか、自身をどう成長させていくのか、こうしたビジョンを感じられる人を選ぶべきだと思います。
場合によっては参加希望者にプレゼンをしてもらい、熱意・テーマ・コミットメントなどの基準で判断することも必要となります。
(*)家庭や業務都合で行けないケースもありますので、日頃から候補者はスタックに入れておくとよいかもしれません。
費用試算
実際どれくらいの費用がかかるのか、社内稟議の際に必要となりますので概算金額を見積もっておきましょう。概算なのでツアーベースでよいと思います、それに加えてカンファレンスパス、日当や交通費などの雑費もお忘れなく。カンファレンスパスの代金は為替レートに左右されます。
- ツアー 約65万円
- カンファレンスパス 約30万円
- 雑費 約10万円
社内稟議
目的、メンバー、費用を会社上層部へ説明して社内稟議を通しましょう。
社員に行ってもらうことで会社にどんなメリット(ROI)があるのかがポイントになってくるはずです。ここが一番の関門かもしれませんが、うまく、目的、どういう人を選抜して、どういう効果をもたらすのかをきちんと説明します。
めでたく稟議が通ったら申請へ進みます。
ここまでを夏休み前に終えておくと後が楽です(気分的にも楽)。
遅くなればなるほど、ツアーが売り切れる、ツアーでない場合は希望のエアやホテルが値上がりorなくなるなどが生じる可能性があります。
申請
めでたく社内稟議をパスしたら早速申請に入ります。なにはともあれ、パスポート、エアとホテルの予約を急ぎましょう。
- パスポートの取得には戸籍謄本が必要となります。本籍が遠隔地にある場合は、オンライン申請や郵送などで取り寄せができますが、時間がかかるので余裕をもって準備しておきましょう。
- カンファレンスパスは直前まで売り切れることはないのですが、カンファレンスパスの購入特典でホテル予約を行う人は急いだほうがよいです。カンファレンスパス申し込んだ向けにAWSがホテルを確保してくれているのですが、結構破格のお値段です。
re:Invent サイトからのホテル予約ですが、トレジャー、LINQ、フラミンゴなど人気のホテルは早々になくなります。9月上旬の現時点では、メイン会場のベネチアンから遠いMGNグランドくらいしか残っていませんでした。
出張申請とあわせてホテルとエアの予約を行います。ここで、ツアーを利用するのか、個別手配かで分岐します。
ツアーと個人手配のどちらがよいか?ですが、慣れてない、初参加の方が多いのであればツアーが安心です。すでに2回目、3回目とベテランの引率の方がいらっしゃるなら個別手配でもよいと思います。
ツアーだとトラブルに遭遇したときの安心感があります。また独自プログラムとして、JAPAN NIGHTやラップアップセッションなどのプログラムもありますので、そのあたりを比較しながら決定してください。
なお、ツアーではホテルは選べないので注意してください。
ツアー
ツアー会社からのツアーを利用します。
- プランを選んで申し込むだけなので楽ちんです。ただし宿泊するホテルは選べません。
- 会社への請求書払いにも対応してもらえます。
- ESTAの代行も可能です(まあESTAくらいは自分でやりましょう)。
- 個別プランを組んでもらうことも可能ですが、別途手数料が必要です。
- メリットは、ツアーデスク、JAPAN NIGHT、ラップアップセッションの提供です。
- JAPAN NIGHT という日本人向けの交流イベントも開催されます。ツアーを申し込んだ人は優先的に申し込むことが可能です。ツアーを申し込んでない人も時間差でオープンされますが、2023年は瞬殺で売り切れました。社外のコネクションを作りたい人は積極的に申し込んでみるとよいと思います。
個別手配
社内システムやトラベルサイトを利用して申し込みます。
- 個人手配になるので自由にプランニングできるのが最大のメリットです。
可能であれば前後の余裕を持たせておくのがよいと思います。
- 初めての方は、ホテル内、会場間の距離感とかを事前に把握しておいたほうがよいと思いますので、できれば土曜日到着がよいと思います。日曜に散策して会場を下見、時差ボケを解消しつつ月曜からに備える。
- 最終日の金曜日は午前でセッションが終わります。午後はお土産を購入したり、観光、同僚と打ち上げに行くなりラスベガスを満喫しましょう。
- ただし帰国日には注意しましょう。日曜日の夕方に日本に到着してしまうと、確実に月曜日からの始業に影響が出ます。できれば土曜日に日本に到着しておくくらいの日程にしておくのがよいと思います。
- 上記をふまえ、2024年は以下のスケジュールにしました。
- 11/30(土) 午後出国、11/30(土)ラスベガス到着
- 12/6(金) 夜ラスベガス発、12/8(日)早朝日本到着
フライト
- 基本お好みです。どの航空会社をチョイスするか、到着出発時間など旅程組むのって楽しいですよね。一緒に行かれる同僚の方と相談して決めればよいと思います。
- トランジット時間には注意しましょう。入国審査での混雑などを考えると2時間未満は危ないです。余裕をもってトランジット時間は確保しておきましょう。
- 6時間とか9時間とかになると空港でどうするかはあるのですが、、、
- 多くはロサンゼルスかサンフランシスコ経由だと思いますが、最近のトレンド(?)はハワイ経由とかもあったりします。弊社のメンバーも半数くらいがハワイ経由です。ハワイで一泊して時差を解消してからラスベガスに行くのもよいのではないでしょうか(ハワイを堪能しすぎて体力が持つかは若干不安だったりします)。
個人手配の場合、くれぐれも姓と名の入力には十分気をつけてください。とあるサイトでなぜか姓名が逆転していて、パスポートと一致しないために空港でチェックインできず、その場で航空券をキャンセルして購入しなおした事例があります。事前に姓名が正しくなっているか確認しておきましょう。
ホテル
宿泊先として公式からアナウンスがあった主なホテルは以下です。
ホテル名 | 特徴 |
---|---|
ARIA | 情報なし |
Bellagio | 超豪華、AWS HEROになると宿泊できる憧れのホテル、シルク・ド・ソレイユ オー開催場所 |
Encore | 去年くらいから会場になったホテル、宿泊情報なし |
Flamingo | コスパのいいホテル、1Fに生フラミンゴが生息 |
Harrah's | コンパクトで、ベネチアンからも近いが、2023年の宿泊者から故障(ドアが開かない、エレベータが止まる)が多かったとの情報あり |
Mandalay Bay | 果てしなく遠い、5K runのスタート地点の近く、宿泊情報なし |
MGM Grand | ここも遠い、、、シルク・ド・ソレイユ カー開催場所、宿泊情報なし |
Paris | 宿泊情報なし |
The LINQ | メイン会場からも近く、コスパのよいホテル |
Treasure Island | メイン会場の道路はさんだ反対側で近くてオススメ、コスパのよいホテル |
Mirage | 残念ながら、2024年7月で閉店 |
- ラスベガスのホテルはいずれも古いので故障はありがちです。基本寝るだけなので、、、、
- メイン会場であるベネチアンから近いホテルがよいと思います。おおよそですが、フラミンゴからベネチアンまで徒歩で10分強かかります。会場の南北の移動はシャトルバスでの移動になりますが、道路が混雑していることが多く30分以上はみておいたほうがよいです。
予約したセッションはセッション開始の10分前に入場開始となります。そこまでで予約者を締め切り、待機列に並んでいる人を入場させる仕組みです。間に合わないと予約していても入場できませんのでセッションの予約は詰め込みすぎないよう、移動時間も十分に考慮しておいてください。
その他事前申請系
カンファレンスパス
- 公式サイトから Regist を行います。現時点で$2,099 です。2024年は値上げはありませんでした。
- 登録には写真が必要です。
- 支払いは、クレジットカードかAWSアカウントでも決済可能です。
- グループパス制度(10枚まとめて買うと1枚無料)があります。くわしくはこちらを参照してください。お得なのですが、まとめて支払う必要がある点は注意してください。
パスの申し込みがおわったら、Already AWS Certified?というところからAWS認定アカウントとカンファレンスパスを紐づけておきましょう。現地で認定者ラウンドなどに入る際に必要となります。
AWS認定アカウントは、認定ポータルの右上にあるAWS+8桁の数字からなる文字列です。
ESTA
- 公式サイトから申請を行います。現時点で$21です。
- ESTAは2年間有効です。
- 去年、re:Invent へ行かれた方は改めて申請する必要はありませんが、宿泊先などの情報は更新しておきましょう。
- ESTA mobile アプリからの申請が簡単でよいそうです。
- ESTA mobile の利用方法の解説動画はこちら
公式以外のサイト(代行サイト)から申し込むと代行手数料が必要となります。公式サイトかどうかは govドメインかを確認しましょう。
Visit Japan web
- デジタル庁のサイトから申請を行います。
- 帰国時に利用します。入国手続きを紙で書かなくてもいいので申請しておきましょう。
名刺
- 会社もしくは個人の名刺を作成しておきましょう。
- 現地ではたくさんの方と交流するので使うので箱で用意しておくとよいです。
- 日・英の両面名刺が可能であれば両面で作成しておきましょう。
デジタル名刺
Eight
- 入手した名刺の管理用です。こちらからどうぞ。
SNS
以下を準備しておきましょう。
- Facebook
- おじさんはだいたいこれです(笑)
- re:Invent のグループチャットもあります。
- X
- コミュニティ界隈の方とつながっておくとよいです。
- 情報収集ツールとして価値はあります。
現地ネットワーク
- モバイルWiFiはかさばるのと電源を気にしないいけないので使っていません。
- 海外に行くとき常用しているのはAirAloです。現地には会場Wi-Fiもあるので1Gもあれば十分でした。足りなくなれば購入すればよいかと。
- 紹介コード「Y1701」貼っておきます。
マイレージカード
Uber/Lift
- こちらもSMSでの登録が必要となりますので、日本にいるうちに登録しておきましょう。