初めに
初めまして、yoshisoと申します。平素より仮想通貨botterとして、mmbotterの皆様には流動性を提供していただき大変お世話になっております。普段はあまり情報を発信することは少ないのですが、せっかくの機会なので個人的に没とした戦略のお焚き上げをできればと思って枠をいただきました。タイトルは盛ってますが、まぁ理論上はというやつです。
概要 - 税率アービトラージ戦略 -
この戦略は税率アービトラージ戦略と呼んでいます。端的に話すと、仮想通貨の実現利益をFXの実現利益として建て替えることで税率を20%に下げることで、税率差の35%を収益源とする戦略です。価格時系列がランダムウォークする(願望)ことを利用し、仮想通貨とFXの両建てポジション間で損益を建て替えることによって実現します。
メリット
- 価格変動リスクをほぼとることなく35%のスプレッドを狙いに行ける
- 仮に損益の建て替えに失敗したとしても、損失が金利+取引コストに限定されること。
デメリット
- 価格がランダムウォークし、最終的に現在価格まで戻ってくることが前提の戦略であり、現在価格まで戻ってこない場合、建て替えが不可能なこと(損失が発生する可能性はアリ)
- 金利コスト(特に為替側), 取引コスト(手数料+スリッページ)がかかってくること
- オペレーションがとても複雑です。
注意書きですが、この戦略はある種の思考実験として検証してみた物であり、実環境での執行可能性については検討していませんし保障もしていません。あくまで参考程度にしつつ、ご自身でバックテスト、各口座での規約やコスト面でのリスクを含めて検証・検討をお願いします。
戦略説明
もっと効率的な執行方法はあるかと思いますが、シンプルな例を使って説明します。
- FX口座側で任意の通貨ペアで両建てポジションを構築する
- 仮想通貨口座側で任意のペアで両建てポジションを構築する
- 一定以上の値動きが発生したのち、FX口座と仮想通貨口座で同額の±収益額分のポジション量に対して、仮想通貨口座側で損失の出ているポジションをClose&再OpenしFX側口座で利益の出ているポジションをClose&再Open。
- 両ペアの価格が元の価格に近付いた段階で全ポジションをクローズ。
この一サイクルのオペレーションによって仮想通貨口座にて得た利益が、FX口座側での収益として建て替えられます。軽くバックテストを走らせてみた限り、どれくらいの値幅で建て替えるかにもよりますが~5%程度の取引コストで建て替えられたように記憶しています。2つの価格時系列が同一価格帯に戻ってくることを期待してポジションをとる戦略になるので、条件を満たすのはなかなか大変です。また、同じくランダムウォークを収益源とする戦略としてグリッドトレーディングがありますが、グリッドトレーディングとは異なり価格変動によって生じる損失がほぼ無く、リスクが限定的であるのは好ましい性質ですね。
最後に
以上で簡単ではありましたが、税率アービトラージ戦略の説明を終わりたいと思います。私個人に関してですが、この戦略自体は実行していませんのであしからず。リスク面もそうですが、収益性も30%程度とそこまで魅力的ではなく、資金を長時間拘束される戦略なので個人的にはRR見合わないなと見送りました。仮想通貨botterとしては節税ではなく、モデルの性能向上に時間を使いたいということも大きな理由の一つです。(まあこう理由を上げてはいますが、一番の理由は面倒くさいからです。
思考実験としてこういう戦略考えるのは楽しいですし、確かにそんなこともできそうだなーと楽しんで読んでもらえたら何よりです。では。