はじめに
この記事は トラストバンクAdventCalendar 17日目になります
SREグループでマネージャーをしている@yoshiroooです。
以前、SREグループで策定したミッション、ビジョン、バリュー(MVV)について紹介しました。
その記事の最後に、「今期の計画だけでなく、来期以降を見据え、ビジョンとミッションを着実に実現するためのアクションプランを具体的に検討していくフェーズに入ります」と書きました。
今回は、その後の取り組みとして、MVVを実現するための具体的なロードマップを策定したプロセスについて紹介します。
MVVは作って終わりじゃない
MVVを策定したことで、SREグループとして目指す方向性は明確になりました。
- ミッション:信頼を当たり前に、挑戦を日常に。組織に改善し続けられる文化を醸成し、サービスの信頼性を最大化し続ける。
- ビジョン:自立した持続可能なカイゼンサイクルをつくる
しかし、MVVを掲げるだけでは、日々の業務に具体的に落とし込むことは難しいです。
「ビジョンに向かって進んでいる」と感じられなければ、MVVは設定しただけで終わってしまいます。
そこで、MVVを実現するためのロードマップを作成することにしました。
なぜロードマップが必要なのか
ロードマップを作成する目的は、以下です。
- 方向性の明確化:「いつまでに」「何を」達成すべきかを目標を定める
- 進捗の可視化:ミッション・ビジョンに向かって進んでいることを、メンバー全員が実感できるようにする
- 周りへの共有:SREグループだけでなく、開発部などに対して、取り組みを共有する
これらを実現するために、「成熟度レベル」を設けることにしました。
ゴール(目指す理想像)の設定
まず、ミッション・ビジョンに近づくためには、どんな状態になっている必要があるかを定義しました。
SREグループのメンバー全員で話し合い、理想の状態を設定しました。
これらのゴールは、私たちのミッション・ビジョンにつながる形で定義しています。
例えば、下記のようなイメージです。
- 事業判断に必要な信頼性指標が整っている状態
- 組織で継続的に改善が進められる状態
- 挑戦が日常化している状態
これらのゴールを達成することが、ビジョンである「自立した持続可能なカイゼンサイクル」の実現につながると考えています。
成熟度レベルの設定
ゴールを設定した後、「どうやってそこに到達するか」を具体化する必要がありました。
そこで設けたのが、成熟度レベルです。
成熟度レベルとは
特定の活動や取り組みが「どの程度成熟しているか」を段階的に定義したものです。
ゴールに紐づく形で複数の領域を設定し、それぞれの領域で4〜5段階の成熟度レベルを定義しました。
成熟度レベルの例
例えば、オブザーバビリティの成熟度レベルを設定していますが、こちらについてはAWS オブザーバビリティ成熟度モデルを参考に設定しています。
他にはサービスレベル目標(SLI/SLO)の定義・運用という成熟度も下記のようなイメージで作っています。
| レベル | 状態 |
|---|---|
| Level 1 | SLI/SLOの概念は認識されているが、未定義 |
| Level 2 | 一部ではあるが、SLI/SLOが定義されている |
| Level 3 | ビジネスサイドとSLI/SLOの定義・運用され、定期的なレビューが行われている |
| Level 4 | SLI/SLOが標準化され、エラーバジェット管理も運用されている |
| Level 5 | SLI/SLOがビジネス戦略と連動し、継続的な最適化と組織全体の意思決定に活用されている |
達成条件の明確化
上記の成熟度レベルは実際にはもう少し違った内容になっていますが、状態を表現するところまでにとどめています。
定量的な指標を設定することが理想ですが、会社として既に持っている指標もあるため、今回は状態(定性的な基準)を中心に定義しました。
今後、ロードマップに沿ってグループや個人の目標を設定する際に、定量的な目標も設定していく予定です。
現在地の可視化と認識合わせ
成熟度レベルを定義した後、次に行ったのが現在地の確認です。
SREグループでの議論
SREグループのメンバー全員で、各領域について「今、自分たちはどのレベルにいるのか」を話し合いました。
この話し合いは下記のような理由から、有意義な時間になったと考えています。
- メンバーそれぞれが持っている現状認識を共有できた
- 「思っていたより進んでいる」領域と「まだ取り組めていない」領域が明確になった
- チーム全体で同じ認識を持つことができた
次のレベルへのギャップを確認
現在地を確認した後、「次のレベルに上がるためには、何ができていないのか」「何が足りないのか」についても話し合いました。
この議論により、具体的に何に取り組むべきかが明確になり、後述するロードマップ策定の土台となりました。
3年間のロードマップ策定
現在地とギャップが明確になったところで、ロードマップの策定に入りました。
3年を目処に計画
私たちは、約3年を目処として、「どのタイミングで何を達成すべきか」を考え、ロードマップを作成しました。
3年という期間を設定した理由は、以下の通りです。
- 短期的な改善だけでなく、組織全体への浸透を見据えた中長期的な視点が必要
- 事業環境の変化にも対応できる柔軟性を保ちつつ、明確なゴールを設定したい
- 各成熟度レベルを段階的に上げていくために、十分な時間を確保したい
どのタイミングでどのレベルに到達すべきか
ロードマップでは、各領域の成熟度レベルごとに、「いつまでにどのレベルに到達すべきか」を設定しました。
ただ、細かい内容では設定していません。
半年後、1年後の状況がどうなっているかは予測できないですし、状況に合わせてレベルを上げていくこと考えています。
ロードマップは固定されたものではない
ただし、一度作ったロードマップだからといって、そのまま愚直にロードマップにどおりに進めることは考えていません。
重要なのは、MVVとゴールを忘れないことです。
事業環境の変化や優先度の変更により、成熟度レベルの定義ややるべきことが変わることもあると思います。
しかし、MVVとゴールに向かっている限り、ロードマップは柔軟に見直していきます。
- 成熟度レベルの定義も、状況によっては変更する
- 取り組むべきアクションも、事業の状況に応じて調整する
- でも、ゴールを忘れない、何のために進めているのか、忘れない
このスタンスを大切にしながら、ロードマップを運用していきます。
事業目標とのバランス
ロードマップは、あくまで「理想的な計画」です。
実際には、事業の目標や優先度とバランスを取りながら進めていく必要があります。
今後は、このロードマップをベースに、3ヶ月、半年、1年といった単位で具体的な目標を設定し、事業の状況に応じて柔軟に調整していきます。
今後の取り組み
ロードマップを策定したことで、次のフェーズに進む準備が整いました。
短期・中期での目標設定
今後は、作成したロードマップをもとに、四半期ごと、半年ごと、1年ごとに具体的な目標を設定していきます。
これにより、日々の業務とミッション・ビジョンがしっかりと紐づき、メンバー一人ひとりが「自分たちの仕事がビジョン実現につながっている」と実感できるようになります。
進捗の確認
また、定期的に進捗を振り返り、SREグループのメンバーがミッション・ビジョンに向かって着実に進んでいること実感できるようにしたいと考えています。
また、進捗の状況を開発部に共有することで、開発部の理解と協力を得ながら、SREの取り組みを推進していきたいと考えています。
まとめ
今回、SREグループのMVVを実現するためのロードマップを策定しました。
このプロセスを通じて、改めて実感したことが2つあります。
MVVは作って終わりじゃない
ミッション・ビジョン・バリューを策定することは重要ですが、それを具体的なアクションに落とし込むことがさらに重要です。
ロードマップを作成することで、MVVが「掲げるだけのもの」から「日々の業務と紐づく実践的なもの」になったかと考えています。
成熟度レベルで現在地を可視化する
成熟度レベルという考え方を導入したことで、組織で現在地の認識を合わせることができました。
「今どこにいて、どこを目指すのか」が明確になったことで、メンバー全員が同じ方向を向いて進むことができるようになったと感じています。
MVVの策定から、今回のロードマップ策定まで、SREグループとして大きな一歩を踏み出すことができました。
今後は、このロードマップをもとに、着実にミッション・ビジョンの実現に向けて取り組んでいきます。
さいごに
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