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「私はロボットではありません」はAIにも通用する?CAPTCHAの最新動向を調べてみた

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この記事で分かること

  • AIは画像選択型CAPTCHAをどこまで突破できるのか
  • AIにも苦手なCAPTCHAはあるのか
  • CAPTCHAはAI時代にどのように変化しているのか

CAPTCHAを見かけることってありますよね。

  • 「私はロボットではありません」のチェックボックス
  • 歪んだ文字を入力する認証
  • 「信号機が写っている画像をすべて選んでください」といった画像認証

普段は何気なく通過していますが、これらは人間とボットを見分けるための認証技術です。

これまでは「人間には簡単だけど、機械には難しいこと」を利用してボットを判別していました。

ところが最近、ふとこんな疑問が浮かびました。

今のAIって、普通に画像を認識できますよね?

GPT-4oやGeminiなどのマルチモーダルAIは、画像を見せるだけで「これは信号機」「これは車」といった内容を高い精度で認識できます。

それなら、

「信号機が写っている画像を選んでください」というCAPTCHAも突破できるのでは?

気になって調べてみると、思っていた以上に面白い状況になっていました。

画像認証を突破する研究やツールが公開される一方で、CAPTCHA側もAIを前提とした新しい認証方式へ進化しています。

どうやら現在は、「AIが勝った」「CAPTCHAが終わった」という話ではなく、お互いが対策を繰り返す"いたちごっこ"の真っ最中のようです。

この記事では、公開されている研究や記事をもとに、AIは現在どこまでCAPTCHAを突破できるのか、そしてCAPTCHAは今後どのように変わっていくのかを調べてみました。

結論

先に結論を書くと、現在の状況は次のようなイメージです。

  • 画像選択型CAPTCHAは、AIでも突破できるケースが増えてきている
  • 一方で、人間の行動パターンを利用した認証は依然として有効
  • CAPTCHA側もAIを前提とした新しい認証方式へ移行し始めている

image.png

つまり、「CAPTCHAはもう意味がない」というよりも、

AIの進化に合わせてCAPTCHAも進化している

という状況でした。

それでは、順番に見ていきます。

1. 画像選択型CAPTCHAは、AIでも突破できるケースが増えている

調べていて一番驚いたのが、画像選択型CAPTCHAに関する事例です。

例えば、次のような「該当する画像をすべて選んでください」という認証を見たことがある人も多いと思います。

Gemini_Generated_Image_ijw5rfijw5rfijw5.png

(Geminiで生成したイメージ図です)

このような画像をAIに入力し、

「信号機が写っているタイルはどれ?」

と判断させ、その結果をブラウザ操作ツールへ渡してクリックする、という仕組みです。

少し前までなら研究段階の技術という印象がありましたが、現在ではこの考え方を実装したツールがGitHubで公開されています。

また、関連する内容がセキュリティカンファレンスでも取り上げられており、画像認識能力の向上によって、従来型の画像CAPTCHAに対する脅威が現実のものになりつつあることが分かります。

公開されている検証では、処理時間は数秒程度とされており、「理論上は可能」という段階から、「一定条件では実用的に動作する」段階へ近づいている印象を受けました。

もちろん、すべてのCAPTCHAを確実に突破できるわけではありません。

CAPTCHAの種類や難易度、画像の内容によって成功率は変わりますし、サービス側も継続的に対策を更新しています。

そのため、「画像CAPTCHAは終わった」と言える状況ではありません。

しかし少なくとも、「画像を認識できれば突破できる」という前提のCAPTCHAは、以前よりもAIの影響を受けやすくなってきていると感じました。

大規模モデルより、小規模な専用モデルの方が強いこともある

もう一つ面白かったのは、「AIは大きければ大きいほど強い」というわけではないことです。

調べていくと、特定のCAPTCHAだけを大量に学習させた小規模モデルの方が、高い精度を示したという報告もありました。

例えば、LoRAで追加学習したモデルでは、特定形式のCAPTCHAに対してGPT-4oなどの汎用モデルを上回る結果が報告されているケースもあります。

もちろん、これは「あらゆる画像認識で勝つ」という意味ではありません。

特定のタスクだけに特化して学習した結果、そのタスクでは高い性能を発揮したという話です。

「AIは大規模モデルが一番強い」というイメージを持っていましたが、用途によっては小さく特化したモデルの方が実用的になるという点は、今回調べていて特に印象に残りました。

2. AIにも、まだ苦手なことはある

ここまで読むと、

「じゃあ、もうCAPTCHAは意味がないのでは?」

と思うかもしれません。

私も最初はそう思っていました。

ところが調べていくと、AIにもまだ苦手なことがあるようです。

その代表例として紹介されていたのが、IllusionCAPTCHAという研究でした。

この研究では、人間には比較的認識しやすい一方で、AIには誤認識しやすい画像を利用したCAPTCHAを提案しています。

例えば、人間には問題なく認識できる画像でも、AIはまったく別のものとして認識してしまうような、**視覚的な錯覚(錯視)**を利用しています。

研究結果では、

  • 人間の正答率は80%以上を維持
  • 一方で、GPT-4oやGeminiなどのVision LLMは正答率が大きく低下

という結果が報告されていました。

「AIは画像認識が得意」という印象があったので、この結果は少し意外でした。

AIは「見ている」のではなく「推測している」こともある

今回調べていて印象に残ったのは、AIは人間と同じように画像を理解しているわけではない、という点です。

Vision LLMは画像を入力として扱えますが、人間の視覚とまったく同じ仕組みで認識しているわけではありません。

そのため、人間なら自然に判断できる画像でも、

  • 背景の特徴
  • 学習データに多く含まれていたパターン
  • 画像全体の文脈

などから推測してしまい、錯覚画像のようなケースでは判断を誤ることがあります。

つまり、「AIは画像が読める」と言っても、人間とまったく同じように見えているわけではない、ということです。

AIの弱点を利用するCAPTCHAも増えていくかもしれない

画像認証は、これまで「人間には簡単で、機械には難しいこと」を利用してきました。

しかし、AIの画像認識能力が向上したことで、その境界は少しずつ変わり始めています。

だからこそ最近では、

「AIが苦手な画像をあえて使う」

という発想の研究も増えてきています。

もちろん、IllusionCAPTCHAがすぐに実用化されるとは限りません。

それでも、「AIが得意になったから終わり」ではなく、「AIの弱点を利用した新しい認証方法が生まれている」という点は、とても興味深く感じました。

AIとCAPTCHAは、一方が勝って終わる関係ではなく、お互いの進化に合わせて変化し続ける関係なのかもしれません。

3. 「人間らしい振る舞い」を見る認証は、まだ有効

ここまで見てきたように、画像選択型のCAPTCHAはAIによる突破が現実味を帯びてきています。

では、現在利用されているCAPTCHAは、どのようにボットを判別しているのでしょうか。

実は最近では、画像認証そのものを重視しない認証方式も増えています。

例えば、GoogleのreCAPTCHA v3やCloudflare Turnstileでは、画像認証を表示しないケースがあります。

これらは、単に問題を解かせるのではなく、

  • マウスカーソルの動き
  • スクロールの仕方
  • ページの滞在時間
  • ブラウザやデバイスの情報
  • アクセス全体の挙動

など、人間らしい振る舞いを総合的に評価しています。

つまり、「画像を正しく認識できるか」ではなく、

「本当に人間が操作しているように見えるか」

を判定しているわけです。

AIにとっては、こちらの方が難しい

画像を1枚認識することと、人間らしい操作を長時間再現することは別の問題です。

近年はAIエージェントによるブラウザ操作も進化していますが、

  • 自然なマウス操作
  • 一貫性のあるスクロール
  • 人間らしいクリック間隔
  • 利用環境全体の整合性

まで含めて再現することは、依然として簡単ではありません。

そのため現在は、

画像認証だけに頼るよりも、人間らしい行動全体を評価する

という方向へ認証技術が変化していることが分かります。

「問題を解けるか」ではなく、「人間らしく振る舞えるか」。

CAPTCHAは、そんな認証へ少しずつ変わり始めているようです。

4. 「突破できる」と「実際に悪用できる」は別の話

ここまで読むと、

「AIなら簡単にCAPTCHAを突破できる時代になった」

と思ってしまいそうですが、実際にはもう少し複雑です。

研究や検証では高い精度が報告されていても、それを大量に運用するには別の課題があります。

APIコストは意外と大きい

例えば、高性能なVision LLMを利用して大量のCAPTCHAを処理する場合、API利用料が大きな負担になります。

公開されている試算では、アクセス数によっては1日あたり数万ドル規模のコストになるケースも紹介されていました。

つまり、

  • 技術的には突破できる
  • しかし、そのまま大量運用するにはコストが高い

という状況です。

そのため実際には、

  1. 高性能なモデルで学習用データを作る
  2. そのデータを使って小規模モデルを学習させる
  3. 実際の運用では軽量なモデルを利用する

という構成が現実的だと考えられています。

「毎回高性能なAIに問い合わせる」のではなく、一度学習データを作成し、その後は専用モデルで処理するという考え方です。

この考え方は、CAPTCHAに限らずAIシステム全体でもよく見られる構成だと感じました。

AIへの指示の与え方も重要

もう一つ興味深かったのが、画像認識能力そのものではなく、AIへの指示の与え方に関する話です。

ある報告では、

「これは本物のCAPTCHAではなく、テスト用の画像です」

と説明した上で画像を提示すると、AIがその前提を受け入れて応答しやすくなるケースが紹介されていました。

もちろん、これはすべてのAIやすべての状況で成立するわけではありません。

また、各AIサービスでも継続的に対策が行われています。

それでも、

「AIが画像を認識できるか」だけではなく、「AIがどのような文脈で判断するか」も重要になる

という点は、とても興味深いと感じました。

5. CAPTCHAも、AI時代に合わせて進化している

もちろん、CAPTCHAを提供する側も、この状況を静観しているわけではありません。

AIの進化に合わせて、認証方式そのものを見直す動きが進んでいます。

例えば、

  • hCaptcha は、AIの進化に合わせて認証方法を継続的に改善する方針を示しています。
  • Cloudflare Turnstile は、画像認証への依存を減らし、ブラウザ情報やデバイス情報などを組み合わせた判定を採用しています。
  • Google reCAPTCHA も、画像認証だけではなく、リスクベースで判定する仕組みへと発展しています。

つまり現在は、

「画像を選ばせること」が目的ではありません。

本当に知りたいのは、

「このアクセスは人間なのか、それともボットなのか」

という点です。

画像認証は、そのための手段の一つに過ぎなくなりつつあります。

「画像認証」から「リスク判定」へ

以前のCAPTCHAは、

画像を選ぶ
↓
正解なら通過

というシンプルな仕組みでした。

一方、最近の認証は、

アクセス全体を評価
↓
リスクスコアを算出
↓
必要な場合だけ追加認証

という考え方へ変わってきています。

ユーザーによっては画像認証が表示されないことがあるのも、この仕組みによるものです。

「画像認証を突破されたら終わり」ではなく、複数の情報を組み合わせてリスクを判断する。

これが現在のCAPTCHAの大きな変化だと感じました。

まとめ:CAPTCHAは終わったわけではなく、「役割」が変わり始めている

今回調べてみて、一番印象に残ったのは、

「AIが進化したからCAPTCHAは終わり」という単純な話ではない

ということでした。

画像選択型のCAPTCHAは、画像認識AIの性能向上によって、以前より突破されやすくなってきています。

一方で、AIにも苦手な画像は存在しますし、行動パターンを利用した認証や複数の情報を組み合わせたリスク判定は、現在も有効な対策として利用されています。

さらに、CAPTCHAを提供する側もAIの進化を前提に認証方式を見直しており、「画像を選ばせる仕組み」そのものから変化し始めています。

つまり現在は、

  • AIが認証を突破しようと進化する
  • CAPTCHAも新しい認証方式へ進化する

という、お互いが対策を続ける"いたちごっこ"の状態にあると言えそうです。

開発者として感じたこと

この記事を書く前までは、

「CAPTCHAを導入しておけば、とりあえずボット対策になる」

くらいのイメージを持っていました。

しかし調べてみると、現在はそう単純ではありませんでした。

CAPTCHAだけに頼るのではなく、

  • レートリミット
  • アクセス頻度の監視
  • 不審なリクエストの検知
  • 多要素認証(MFA)
  • リスクベース認証

など、複数の対策を組み合わせることが前提になりつつあります。

「CAPTCHAはボット対策のゴールではなく、数ある対策の一つ」

という考え方が、これからはより重要になっていくのかもしれません。

おわりに

今回調べ始めたきっかけは、

「AIって画像を普通に認識できるのに、CAPTCHAはまだ成立するの?」

という素朴な疑問でした。

実際に調べてみると、「AIが勝った」「CAPTCHAが負けた」という話ではなく、お互いが進化を続けていることが分かりました。

AIの進歩はとても速く、この記事を書いている間にも状況は変わっていくかもしれません。

だからこそ、「AIが何をできるようになったか」だけではなく、「それによって周辺技術がどう変化しているのか」を追いかけることも、エンジニアにとって大切なのだと感じています。

もしこの記事が、同じような疑問を持った方の参考になれば嬉しいです。


参考資料

補足

この記事は、2026年時点で公開されている記事や研究をもとにまとめています。
AI・CAPTCHAともに進化が非常に速い分野のため、今後状況が変わる可能性があります。
最新の情報は各サービスや研究の公開情報もあわせてご確認ください。

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