AWS Lambdaでマイクロサービスを構成する場合、
言語選択は性能よりも「コスト構造」に影響することがあります。
本記事では、ベンチマークや実測値ではなく、
Lambdaの課金モデル × 言語ランタイムの性質
という観点から、主要言語の理屈上のコスト差を整理します。
Lambdaのコストは何で決まるか
Lambdaの実行コストは、概ね次の要素で決まります。
実行時間(ms)
割り当てメモリ(GB)
起動回数(=リクエスト数)
コールドスタート頻度
要約すると:
コスト ≒ 実行時間 × メモリ × 呼び出し回数
マイクロサービスでは
「小さい処理を大量に、断続的に実行する」 ため、
この課金モデルの影響を強く受けます。
マイクロサービス × Lambdaで問題になりやすい点
サービス数が多い
各サービスの処理時間は短い
起動と終了が頻繁
この条件下では、
「業務ロジックよりも起動コストの比率」 が支配的になります。
主要言語の理屈上のコスト構造比較
| 言語 | 起動コスト | 実行効率 | メモリ要求 | Lambdaとの相性 | 理屈上のコスト傾向 |
|---|---|---|---|---|---|
| Java | 高い | 高い | 大きい | △ | 高くなりやすい |
| C# (.NET) | 高い | 高い | 大きい | △ | 高くなりやすい |
| Go | 低い | 高い | 中 | ○ | 比較的低い |
| Rust | 非常に低い | 非常に高い | 小 | ◎ | 最も低くなりやすい |
| Node.js | 低い | 中 | 中 | ○ | 中程度 |
| Python | 低い | 低い | 中 | △ | 実行時間次第で増加 |
※ あくまで課金モデルに対する理屈上の傾向です。
なぜ Java / C# は不利になりやすいのか
JavaやC#は、長時間稼働するサービスでは非常に優秀です。
しかしLambdaでは:
JVM / CLR の起動
フレームワーク初期化
GC前提のメモリ確保
といった 「毎回支払う固定費」 が発生します。
マイクロサービスでこれを繰り返すと、
処理自体は速いが、起動税を何度も払う構造
になり、コストが膨らみやすくなります。
なぜ Rust は有利になりやすいのか
Rustは:
ネイティブバイナリ
ランタイム初期化がほぼ不要
GCなし
メモリ使用量が予測しやすい
結果として:
「ほぼ業務ロジックだけに課金される」
構造になり、Lambdaの課金モデルと非常に相性が良くなります。
重要な前提:これは「絶対評価」ではない
本記事の比較は、
同一機能
同一アーキテクチャ
同一トラフィック
を仮定した理屈上の話です。
開発速度
既存資産
チームスキル
フレームワーク最適化
によって、実際の最適解は当然変わります。
まとめ
Lambda × マイクロサービスでは
起動コストが相対的に支配的
Java / C# は設計次第でコストが増えやすい
Rust / Go は課金モデルと相性が良い
言語選定は「速さ」より
**「課金構造との整合性」**で考えると見通しが良くなる