そもそもセカンドブレインってなに
ざっくり言うと 本やネットで読んだこと、過去の判断、学びを「頭の外」に保存して、必要なときに AI に引き出させる仕組み のことです。要は「自分専用の Wikipedia + AI アシスタント」みたいなものだと思ってもらえれば大丈夫です。
Evernote や Notion とどう違うのか
普通のノートアプリは 「人間が後で検索して、人間が読み返す」 前提で作られてるいますが、セカンドブレインはここに 「AI が読んで、AI が再構成して返す」 役割を加えているのが重要なポイントです。
例えばですが、以下のようなことが可能になるイメージです。
- 「3 ヶ月前に DB を選定したとき、何と比較して何を決め手にしたっけ?」 → 当時の関連メモを AI が集めて要約してくれる
- 「自分が過去に書いたメモから、◯◯ について解説記事の下書きを書いて」 → 自分の言葉遣いでドラフトを作ってくれる
- 「最近読んだ本の中で、意思決定に関係する話を全部並べて」 → 複数のメモファイルを横断して抽出してくれる
要するに 「メモを取る = 未来の自分と AI に共有する」 という運用に変えていく、というのが大筋の発想です。
なぜ今このタイミングなのか
この頃は Claude Code / Cursor / Codex CLI のような agentic な開発ツールが当たり前になっていますし、1M トークンの長文コンテキストや MCP でローカルファイルと直結可能 になっており、「自動で書き留めて、後で AI に引き出させる」運用がようやく現実的なコストで回せるようになってきた点が大きな理由です。
きっかけ
始めたきっかけなんですが、家で軽くYouTubeを漁っていたら、海外のエンジニアが 「Claude Code と Obsidian で第二の脳を作った」 みたいな動画を流していまして、単純にそれが面白そうだったからです。
今回はそれと似た動画や記事を 5〜6 本見比べて、昨日とりあえず最小限のものを試しに組んでみました。
自分の目的
まず初めに、なにを目的に挑戦するかを設定していました。
ここがブレると構築方法を選ぶ基準もブレるので、最初に決めておきます。
整理した結果、自分が求めるは次の 3 つになりました。
- 判断の理由を後で引き出したい: 「あの時なんでこう決めたんだっけ?」が週に何回もある
- 学んだことを忘れたくない: 本やドキュメントを読んでもすぐ忘れてしまう
- 過去の自分との会話に使いたい: 数か月前と今で同じテーマの理解がどう変わったかを辿りたい
まとめると 「アウトプット時に、過去のメモと判断を即座に引ける状態」 の実現を目的に設定しています。今後、変わってしまう可能性は大いにありますが、一旦はこれで進めます。
構築方法を 5 つ見比べてみた
海外動画と OSS を漁った結果、参考にした 5 つを並べて比較してみました。
| 方式 | 特徴 | 学習コスト | 自動化 | 想定スケール |
|---|---|---|---|---|
| PARA |
Projects/Areas/Resources/Archives の 4 区分にわける |
低 | × | 個人 |
| 5 段階レベル |
案内板→Wiki→意味検索→グラフ→自律 OS と段階的に上げる |
低 | △ | 個人 |
| 2 層 | 「計画役 Claude」と「実行役 Claude」を分ける | 中 | ○ | 個人〜小規模 |
| メモリ層 |
soul.md / user.md / memory.md + 夜間に AI が要約統合 |
高 | ◎ | 個人〜小規模 |
| 業務 OS | Gmail / Calendar / Drive と直結した業務システム | 高 | ◎ | 業務 |
要点だけまとめると:
- PARA: メモを 4 つに分類するノート整理の手法をそのまま流用。AI なしなら手堅いが、AI と組み合わせると「あれ、このメモどこに入れるんだっけ?」と迷う場面が増える可能性が高い
- 5 段階: 「自分の現在地と "上げる/上げない" の判断軸」を与えてくれるのが価値。動画主の多くは Lv2(Wiki)で止めて運用している
- 2 層: 5〜10 プロジェクト並走する人向け。学習メモ集約用途にはオーバースペック
- メモリ層: 「自分専用の AI 秘書をローカルで動かす」イメージ。派手だがセキュリティ管理が重い
- 業務 OS: ほぼ業務システム。個人にはオーバースペック
全体に共通する 3 つの注意点
1. プロンプトインジェクション(lethal trifecta)
セカンドブレインに AI を組み込むほど、外から指示を仕込まれるリスクが上がるみたいです。次の 3 つが揃うと非常にリスクが高くなるらしい
- AI が個人情報を読める(メール、カレンダー、ファイル)
- AI に外部の内容が入ってくる経路がある(受信メール、Web ページ)
- AI が外部に何か送れる経路がある(メール送信、API 呼び出し)
「メールに罠を仕込む → AI が読む → AI が個人データを外に送る」が成立。
メモリ層・業務 OS は構造的に 3 つ揃いやすい構成。ローカル完結なら 3 番目の経路がないのでかなり安全 とのことでした(Claude に確認)。
2. 「取り出せない」原因は検索性能じゃない
これは動画でも本でも繰り返し出てくる主張で、問題は「取り出せない」ことより「頭の中身を書き留めていない」こと が多いそうです。書き残してないものはベクトル検索でも引けないので、書き留める層を厚くするほうが検索層を高度化するより効く ことが多い、という話。
3. ベクトル検索は要約に弱い
複数の動画で警告されていたのが「ベクトル DB に売上一覧を入れて『年間で売上が最大の週は?』と聞くと、似たチャンクだけ拾って全体を取りこぼす」事故。ベクトル検索は 「たくさんのメモから関連する 1 件を引っ張ってくる」 には強いようですが、「全件を見渡して合計・最大値・ランキングを出す」 ような集計用途には向かないみたいです。
昨日とりあえず作った最小構成
方針は 「いきなり全部作る」ではなく「最小限を動かして、限界が来てから足す」。ベースは 5 段階の Lv2です。
second-brain/
├ raw/ ← Claude Code の会話ログ(hook が自動追記、読み専)
├ wiki/ ← 概念ノート(蒸留 AI が書く)
├ decisions/ ← 判断記録(人手のみ)
├ .index/
│ └ vault.sqlite ← 検索用キャッシュ
├ bin/ ← スクリプト群
└ CLAUDE.md ← 蒸留 AI へのルール
ここまでが置いたフォルダの中身です。ただこれだけだと markdown ファイルが並んでいるだけで、自分が後から眺めたり、過去のメモを開いたりするビューワ が別で必要になります。そこで使ったのが Obsidian です。
人間側のビューワに Obsidian を被せる
second-brain/ フォルダはただの markdown ファイル群なので、code でも vim でも開けます。ただ Obsidian の vault として同じフォルダを開くと、追加実装ゼロで以下が手に入ります。
-
[[wikilink]]のクリック遷移とバックリンク表示 - グラフビュー(概念同士のつながりを俯瞰)
- frontmatter のタグ集計
- ノート間の関連を眺めながら ADR を書ける
要するに 書き込みは Claude Code、読み込み・俯瞰は Obsidian という分担です。Obsidian 側で編集してもプレーン markdown なので、Claude Code 側と取り合いになりません。
Claude Code 側で組んだ2つの工夫
① 会話を自動で raw/ に保存
Claude Code の Stop hook(往復ごとに発火するフック)で、日付別ファイルに追記する Python スクリプトを呼ぶだけ。これだけで自分が打った全プロンプトと回答がローカルに残ります。
② raw を wiki に蒸留
別プロセスの Claude Code を headless で起動して、raw 内の会話ログを概念単位の wiki/ ページに整理させます。トリガーは次の 3 つ。
- 3 時間ごと(Task Scheduler)
- セッション終了時(SessionEnd hook)
- 手動実行
「往復ごとに蒸留」案も検討しましたが、コストが約 40 倍(headless 起動 1 回で 1〜3 分)になるので却下。動画でも「本を読みながら毎ページ目次を書き換える状態」と批判されていました。
おわりに
運用から数日目なので「これが正解」とは言えませんが、どの動画でも共通していた 「最初から大きく作らない」「目的を明確にしてから始める」 の2つは納得感がありました。
1 ヶ月くらい運用してみて、コストや失敗パターンが見えてきたら、続きを書く予定です。
