はじめに
データサイエンティストの育成研修を作成する際に、
身につけるべきスキルの一覧があればと思い探したところ、
3つの良い定義が見つかったのでまとめておきたいと思います。
スキル一覧があれば、それをもとにどのスキルを身につけるべきか、各スキルを身につけるには何を学習すれば良いかを考えられるので便利です。
1. データサイエンティスト協会による定義
概要
こちらが一番有名かと思います。見たことのある方も多いのでは無いでしょうか。
データサイエンティストに必要なスキル領域を
- ビジネス力
- データサイエンス力
- データエンジニアリング力
の3つに分け、各項目で必要なスキルを詳細に定義してくれています。
メリット
- 必要な専門スキルが具体的に分かる
デメリット
- 定義が細かすぎる(データサイエンス力だけで309個のスキルが定義)
- そのため、データサイエンスの知識が無い方々に説明するのは難しい(これが理由で私は研修メニューの立案に使用するのは断念しました)
2. IPAによるDX推進スキル標準
概要
結論として、私はこの定義を採用しました。
DX全般に関わるスキル定義ではありますが、
データサイエンティストに関するスキルも綺麗にまとまっています。
たとえば、データサイエンティストの中でも
- データビジネスストラテジスト
- データサイエンスプロフェッショナル
- データエンジニア
の3つに役割を細分化し、それぞれに必要なスキルを定義しています。
たとえば、下表のような定義です。
データビジネスストラテジスト | データサイエンスプロフェッショナル | データエンジニア | |
---|---|---|---|
ビジネス戦略策定・実行 | b | d | d |
プロダクトマネジメント | c | c | c |
変革マネジメント | c | c | c |
システムズエンジニアリング | c | c | b |
エンタープライズアーキクチャ | c | d | b |
プロジェクトマネジメント | b | c | c |
※a: 高い実践力と専門性が必要 b: 一定の実践力と専門性が必要 c: 説明可能なレベルで理解が必要 d: 位置づけや関連性の理解が必要
メリット
- 役割ごとに身につけるべきスキルレベルのグラデーションが付いている
- 粒度がデータサイエンティスト協会ほど細かくなく、説明しやすい
- この定義にもとづく研修プログラムが巷に存在している
デメリット
- 抽象的でスキル獲得の定義が説明しづらいスキルが一部存在(例:変革マネジメントとは何ができるようになるとそのスキルを身に付けたといえるのか?)
3. IPAによるデータサイエンス領域タスクリスト
概要
こちらはスキルというよりはタスクの一覧ですが、
データサイエンス領域のプロジェクトを進めるにあたり、必要となるタスクがまとまっています。
たとえば
- アプローチ設計
- データ収集
- データ加工
などです。
メリット
- タスクが具体的なため、身につけるべきスキルのイメージがしやすい
- DX推進スキル標準と同じく、説明しやすい粒度にまとまっている
デメリット
- スキル定義では無いため、タスク→スキルの変換が必要
まとめ
以上が調べてみて有用だと思ったスキル定義です。
私はIPAによるDX推進スキル標準を採用しましたが、ベストとなる定義はケースバイケースだと思いますので、
ぜひ見比べてみてご自身のケースに最も合う定義を選定いただければと思います。