この記事はRustでModel Context Protocolを理解する - 仕様解析の実践と学びの内容を、より実践的な形で再構成したものです。
この記事で学べること
- Model Context Protocol (MCP)の基本的な仕組み
- RustでMCPの型定義を実装する方法
- AIアプリケーションの統合における実践的なアプローチ
Model Context Protocolとは
Model Context Protocol(MCP)は、AIアプリケーションと外部システム(データベースやAPIなど)を簡単に連携させるための新しい標準プロトコルです。
例えば、あなたが作っているAIアプリケーションで以下のようなことがしたいとします:
- データベースからデータを取得して分析
- 外部APIを呼び出してデータを処理
- ファイルシステムにアクセスしてファイルを操作
これまでは、それぞれのシステムごとに個別の連携方法を実装する必要がありました。MCPを使えば、統一された方法でこれらの機能を実現できます。
MCPの3つの重要な機能
MCPには3つの主要な機能(プリミティブ)があります:
-
Prompts(指示・テンプレート)
- AIへの指示やテンプレートを提供
- 例:定型的な質問や応答のパターン
-
Resources(データ)
- 構造化されたデータを共有
- 例:データベースの内容、ファイルの中身
-
Tools(実行機能)
- 実際に何かを実行する機能を提供
- 例:APIの呼び出し、ファイルの書き込み
Rustでの実装例
では、実際にRustでMCPの基本的な型を定義してみましょう。
use serde::{Deserialize, Serialize};
// MCPのバージョン定義
pub const PROTOCOL_VERSION: &str = "0.1.0";
// 基本的なメッセージ構造
#[derive(Debug, Clone, Serialize, Deserialize)]
pub struct Message<T> {
pub jsonrpc: String,
pub id: Option<String>,
pub method: String,
pub params: T,
}
// Toolsプリミティブの例
#[derive(Debug, Clone, Serialize, Deserialize)]
pub struct Tool {
pub name: String,
pub description: String,
pub parameters: serde_json::Value,
}
// Resourcesプリミティブの例
#[derive(Debug, Clone, Serialize, Deserialize)]
pub struct Resource {
pub id: String,
pub content_type: String,
pub data: serde_json::Value,
}
この実装のポイントは:
-
serde
を使ってJSON形式との相互変換を実現 - ジェネリクスを活用して柔軟な型定義を実現
- 必要な属性を
derive
マクロで自動実装
実装して分かったこと
MCPを実際にRustで実装してみて、以下のような発見がありました:
-
型安全性の重要性
- Rustの型システムを活用することで、プロトコルの制約を型レベルで表現できる
- これにより実行時のエラーを大幅に減らせる
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エラー処理の明確化
- プロトコルレベルのエラーとアプリケーションレベルのエラーを区別できる
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Result
型を使って適切にエラーをハンドリング
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拡張性の確保
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serde_json::Value
を使うことで、将来的な拡張に対応できる - メタデータフィールドを用意することで後方互換性を維持
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まとめ
MCPは、AIアプリケーションと外部システムを統合するための新しい標準として注目されています。Rustの型システムを活用することで、型安全で保守性の高い実装が可能です。
実装の詳細やより詳しい解説は、元記事をご参照ください。
参考リンク
※この記事で使用しているコード例は、理解を助けるための簡略化されたものです。実際の実装では、より詳細なエラー処理やバリデーションが必要になります。