SaaSって、実はもう使ってるかも?
SaaS(サース、Software as a Service) と聞くと少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は日常的に使っているサービスがたくさんあります。
たとえば…
- Gmail や Yahoo!メール などのWebメール
- Google ドキュメント や Microsoft 365 などのオフィスソフト
- Dropbox や Google Drive のようなファイル共有サービス
- Slack や Chatwork といったビジネスチャット
- Zoom や Google Meet などのオンライン会議
これらはすべて、インターネットにつなぐだけで使える SaaS です。
では、こういった SaaS には、どんな「すごいところ」があるのでしょうか?
SaaSのなにがすごい??
SaaSのすごいところは、「すぐ使えて、めちゃくちゃラク!」 という点に尽きます。
昔なら...
- パッケージを買ってCD-ROMでインストールして...(数万円することも)
- バージョンアップのたびに更新作業して…
- パソコンが壊れたら、また最初から…😭
といった手間がかかっていました。
でもSaaSなら、そのすべてが不要になります。
✅ すぐに使える・インストール不要
SaaSは、ソフトをパソコンにインストールする必要がありません。アカウントを作るだけで、すぐに利用を始められます。
- 新しいパソコンに替えても、ログインすれば元通り。
- アップデートも自動だから、面倒な手間がありません。
たとえば、Gmailならアプリを入れなくてもブラウザでメールが確認できるので、場所も端末も選びません。
✅ 初期費用が抑えられて、コストも柔軟に
従来のソフトウェアは「買い切り型」が主流で、1本あたり数万円することもありました。でも、SaaSなら月額制(サブスクリプション) が基本なので、
- 必要な人数分だけ契約できる
- 使わない月は解約も可能
- 初期導入コストを大幅に削減できる
たとえば「Microsoft 365 Business」は、1ユーザーあたり月額1,360円(税込)。10人で導入しても月1万3千円ほどで済みます。
✅ チームでの共同作業がスムーズに
SaaSはクラウド上で動くので、複数人で同時に作業できるのも魅力です。
- Google ドキュメントなら、リアルタイムで共同編集が可能
- DropboxやDriveで、ファイルのやり取りもスムーズ
- Zoomで離れた場所からでもすぐに会議
テレワークやハイブリッドワークでも、自然に連携がとれるのが嬉しいポイントですね。
✅ セキュリティやメンテナンスをおまかせできる
SaaSはサービス提供側がサーバーやデータを管理してくれるので、自社でIT管理者を置く必要もなし。
- 自動バックアップ
- 最新のセキュリティ対策
- 障害対応も24時間体制(多くのサービスで)
中小企業や個人事業主でも、安心して使える環境が整っています。
実際にどう変わった?企業での導入例
1. パナソニック エイジフリー株式会社:予実管理業務の効率化
導入前の課題:
パナソニック エイジフリー株式会社では、予算と実績の管理業務において、Excelやマクロを使用したデータ収集・集計作業に年間約1,000時間を費やしていました。これにより、他の重要な業務へのリソース配分が難しくなっていました。
導入したSaaS:
経営管理システム「fusion_place」
導入後の効果:
- 年間1,000時間の業務時間削減:データ集計作業が自動化され、手作業による確認作業が不要に。
- さらなる効率化で2,500時間の削減を目指す:業務プロセス全体の見直しとシステム活用により、さらなる時間削減を計画中。
(出典:さくら情報システム - ケーススタディ)
2. 株式会社ハイレックスコーポレーション:データ抽出業務の効率化
導入前の課題:
情報システム部門には、各部署からのデータ抽出・検索依頼が毎日多数寄せられ、1件あたり約30分の対応時間が必要でした。これにより、本来のIT業務に支障をきたしていました。
導入したSaaS:
BIツール「軽技Web」
導入後の効果:
- 全社員1,000名が利用するデータ検索基盤を構築:社員自身が必要なデータを直接取得できるようになり、情報システム部門の負担が軽減。
- 業務効率の向上:データ検索や帳票作成作業が迅速化され、全社的な業務効率が向上。
(出典:軽技Web - 導入事例)
3. 花王株式会社:AI経費精算ソリューションの導入
導入前の課題:
花王グループでは、従来の経費精算業務において、手作業による入力や確認作業が多く、申請者や管理者の負担が大きいという課題がありました。
導入したSaaS:
AI経費精算ソリューション「SAPPHIRE」
導入後の効果:
- 年間約32,000時間の業務時間削減:AIが経費申請を自動作成することで、申請者の業務が大幅に軽減。
- 月末月初の負荷の平準化:業務のピーク時に偏っていた負荷が分散され、働きやすさも向上。
(出典:Miletos株式会社 プレスリリース)
4. 埼玉県庁:オンライン申請システムの導入
導入前の課題:
埼玉県庁では、各種申請手続きが紙ベースで行われており、申請者は窓口への来庁が必要でした。これにより、申請者の負担や職員の業務負荷が高く、手続きの効率化が求められていました。
導入したSaaS:
クラウド型CRMプラットフォーム「Salesforce」
導入後の効果:
オンライン申請の実現:申請者は自宅や外出先からインターネットを通じて手続きが可能となり、来庁の手間が削減されました。
-
業務効率の向上:職員はデジタル化された申請データを迅速に処理できるようになり、業務負荷が軽減されました。
-
利用者満足度の向上:アンケート調査では、利用者の約90%が新システムの利便性を高く評価しています。
(出典:ウフル - 埼玉県庁導入事例)
SaaSのちょっと気をつけたいところ
SaaSはとても便利ですが、使い始める前に知っておきたい「ちょっと気をつけたいポイント」もいくつかあります。ここでは、よくあるデメリットと、それに対する代替の考え方もご紹介しますね
⚠️ カスタマイズがしにくいことがある
SaaSは「すぐに使える」のが魅力ですが、自社にピッタリの細かな設定ができない 場合があります。
たとえば…
「うちの会社はちょっと特殊な承認ルートがあるのに、それがシステムでうまく再現できない…」なんてことも。
☘️ こんなときは?
自社専用に作る「オンプレミス型(自社サーバーで動かすタイプ)」や、柔軟にカスタマイズできるSaaSを選ぶと安心です。
⚠️ セキュリティが心配になることも
SaaSはインターネット経由で使うので、データが外部のサーバーに保管されるのが基本です。
たとえば…
「大事な顧客情報を、社外に預けて大丈夫かな…?」という不安を感じる方もいるかもしれません。
☘️ こんなときは?
信頼できるSaaS提供会社(セキュリティ認証があるところ)を選んだり、特に重要なデータは自社で保管するなど、用途に応じて使い分けるのが◎
⚠️ サービスが止まると困る
もしSaaS提供会社に障害があった場合、システムが一時的に使えなくなる可能性もあります。
たとえば…
「今日は請求書を出さないといけないのに、システムに入れない…!」
☘️ こんなときは?
万が一に備えて、データを手元にも保存しておく、代替手段(たとえばPDF保存など)を用意しておくと安心です。
⚠️ 長く使うとコストがかさみやすい
SaaSは月額や年額の“サブスク型”なので、使い続ける限りコストがかかり続けます。
たとえば…
「5年間使ったら、買い切りソフトより高くついてた!」というケースも。
☘️ こんなときは?
利用人数や期間をよく見直したり、必要な機能だけのプランを選ぶことで、コストをコントロールできます。
⚠️ 他のサービスに乗り換えると手間がかかる
SaaSを別のサービスに変えたいと思ったとき、データの移し替えがうまくいかないこともあります。
たとえば…
「前のサービスでは使えてたデータが、新しいところではうまく読み込めない…」ということも。
☘️ こんなときは?
データのエクスポート機能があるか、事前に確認しておくと◎。また、乗り換え支援があるサービスを選ぶのもおすすめです。
まとめ
SaaS(Software as a Service) は、ソフトウェアの利用方法を大きく変えるクラウド型のサービス形態です。
- インストール不要で、すぐに使い始められる手軽さ
- 初期費用を抑えられるサブスクリプション型の価格モデル
- チーム間の連携を強化する共有・同時編集機能
- セキュリティやアップデートを提供側に任せられる安心感
といった特長が、SaaSを導入する大きなメリットとなっています。
その一方で、
- カスタマイズ性
- セキュリティ管理
- 長期利用におけるコスト
といった点については、事前に十分な検討が必要です。
すでに多くの企業や自治体がSaaSを活用し、業務の効率化やコスト削減、生産性向上といった成果を上げています。
今使っている業務ツールが最適な形かどうか、一度立ち止まって見直すことが、より柔軟でスマートな働き方への第一歩になるかもしれませんね。🌱