手元で踏んだ1件を、この順番で潰していきます。上から順に。飛ばさない。
途中で「はい」になったら、そこで止めてください。それはソフトの不具合ではありません。 そして、それが分かったこと自体が収穫です。あなたの手元の問題が1つ片付いています。
切り分けの順番
1. 説明書の、どこに書いてありましたか
URLかページ名を、いま書けますか。
書けない場合、あなたは説明書ではなく、検索結果か、AIの回答か、記憶を見ていた可能性があります。まず一次情報を開いてください。
ここで終わる例
「AIがそう言ったから、そう動くと思っていた」
→ AIの回答は説明書ではありません。ここで終わりです。
2. その説明書は、あなたが使っている版のものですか
ソフトには版があります。説明書のページが古い版のものだと、書いてあることが今と違います。
説明書のページに版の表示があるか。自分が使っている版はいくつか。この2つを確かめます。
ここで終わる例
「1つ前の版の説明書を読んでいた」
3. あなたの環境は、そのソフトが想定しているものですか
WindowsなのかMacなのか。日本語環境なのか英語環境なのか。必要なものが入っているか。
説明書に「この環境が必要です」と書いてある部分を読みます。
ここで終わる例
「必要と書かれているものが、自分の環境に入っていなかった」
ただし注意。「Windowsだと動かない」で終わらせないでください。 それが説明書に書かれていないなら、それ自体が不具合の可能性があります。第4項へ進みます。
4. 説明書に「動かない」と書いてありますか
「この機能はWindowsでは使えません」「この設定と併用できません」。こう書いてあるなら、それは仕様です。不具合ではありません。
書いていないのに動かないなら、次へ進みます。説明書と実際の食い違いは、それだけで報告する価値があります。
5. 同じことを、もう一度やっても起きますか
一度ソフトを終了して、開き直して、同じ手順をやり直します。
ここで終わる例
「2回目は普通に動いた」
→ まだ材料になりません。3回目に起きたら戻ってきてください。
6. 一番簡単な形にしても、起きますか
あなたの手元には、いろいろな設定や、他の道具が入っています。そのどれかが原因かもしれません。
手順を削れるだけ削ってください。 説明書の一番簡単な例だけを、まっさらな場所でやってみる。それでも起きるなら、原因はソフト側にかなり近いところにあります。
ここで終わる例
「簡単な形にしたら、普通に動いた」
→ 原因はあなたの他の設定にあります。それを探すのは、この本の範囲ではありません。ただし、あなたの問題は解決に近づいています。
7. 他の人も同じことを言っていますか
Issueの検索と、既に出ている修正の確認です。ここは最後でいいです。先に上の6つを通してください。
表
上の1から6までを、この形で埋めます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 日付 | |
| どのソフト・どの画面 | |
| 説明書のURLかページ名 | |
| 説明書の版 / 使っている版 | |
| 自分の環境 | |
| 何をしたか(削れるだけ削った手順) | |
| 何が起きると思ったか | |
| 実際に何が起きたか | |
| 2回目も起きたか | |
| 簡単な形にしても起きたか | |
| 1から6のどこで止まったか | 止まらず通過 / 第◯項で終わり |
私の1件を、この表で埋めるとこうなります
| 項目 | |
|---|---|
| 日付 | 2026年8月18日 |
| どのソフト・どの画面 | goose、レシピの機能 |
| 説明書のURLかページ名 | 公式のレシピの説明ページ |
| 説明書の版 / 使っている版 | 同じ |
| 自分の環境 | Windows、日本語環境 |
| 何をしたか | 説明書に載っている、文字を整える指定を1つ書いた |
| 何が起きると思ったか | 説明書のとおりに文字が整う |
| 実際に何が起きたか | 「そんな指定は知らない」というエラー |
| 2回目も起きたか | 起きた |
| 簡単な形にしても起きたか | 起きた |
| どこで止まったか | 止まらず通過 |
通過しました。 この時点でも私は原因を知りません。知っているのは、説明書に書いてあることが動かない、それが繰り返し起きる、一番簡単な形でも起きる、という3点だけです。
この3点があれば、報告として成立します。
この表の使い方について、ひとつだけ
この表は、あなたのために作るものです。 誰かに提出するためのものではありません。
でも結果として、ここに書いたことのほとんどが、報告や修正の文面を書くときにそのまま使えます。何を期待して、何が起きて、どうやって確かめたか。相手が知りたいのは、まさにそれだからです。
先に自分のために書いておくと、あとで楽をします。
賞味期限について
この表には必ず日付を書いてください。
ソフトは直ります。あなたが今日踏んだ不具合が、来週には直っているかもしれません。日付が無いと、いつの話なのか分からなくなり、既に直っているものを報告することになります。
既存の報告を探すときにも日付が要ります。古い記録を、今の状態だと読まないためです。
これは、いま出している教科書の付録です。自分が踏んだ「これ、壊れてる」を、証拠を取って、直して、作った人に届けるまでを書いたものです。第1章から第17章まで、全部そろっています。第1章と第6章も、購入前に読める場所に置いてあります。
私の実際の数字は8本届けて1本です。採用されることは保証していません。
測ってほしいことがあれば
手元で再現できるものなら、実際に動かして数字で返します。コメントに環境と再現手順を書いてもらえると早いです。結果がどちらに転んでも、そのまま出します。