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ダボス会議2026:ClaudeとGeminiの生みの親が語るAGIへの道

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ダボス会議2026で、ClaudeとGeminiの生みの親が「AGI」について対談した。AI開発の最前線にいる二人の見解は、日本の開発者にとって参考になると思い要約を投稿しました。

概要

2026年1月21日、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で「The Day After AGI(AGIの翌日)」と題されたセッションが開催された。

登壇者:

  • Dario Amodei ── Anthropic CEO。AIアシスタント「Claude」の生みの親。OpenAIの元VP of Researchで、GPT-2、GPT-3の開発を主導した後、2021年にAnthropicを共同創業。物理学のバックグラウンドを持ち、AIの安全性研究を重視する姿勢で知られる。

  • Demis Hassabis ── Google DeepMind CEO。AIモデル「Gemini」、囲碁AI「AlphaGo」、タンパク質構造予測「AlphaFold」の生みの親。神経科学の博士号を持ち、2010年にDeepMindを創業、2014年にGoogleが買収。2024年にノーベル化学賞を受賞。

  • Zanny Minton Beddoes(The Economist 編集長、司会)

両CEOは昨年パリで対談して以来、初めてのステージ共演となった。司会者は「ビートルズとローリング・ストーンズの対談を司会するようなもの」と表現した。


タイムライン予測

Dario Amodei(Anthropic / Claude)

「昨年パリで『2026年か27年までに、ノーベル賞受賞者レベルで人間ができることを多くの分野でこなせるモデルができる』と言った。今は2026年だが、そこまで外れていないと思う」

具体的な予測:

  • 6〜12ヶ月後には、ソフトウェアエンジニアの仕事のほとんど、あるいは全てをモデルがエンドツーエンドでこなすようになる
  • Anthropic社内には「もうコードを書いていない」エンジニアがいる。モデルにコードを書かせて、自分は編集と周辺作業をするだけ
  • 人々が想像するより速く進む

メカニズム:
コーディングとAI研究に優れたモデルを作り、それを使って次世代のモデルを作り、開発を加速させる「ループ」を形成する。ただし、チップ製造やモデルの訓練時間など、AIで加速できない部分もある。

Demis Hassabis(Google DeepMind / Gemini)

「人間ができる全ての認知能力を発揮できるシステムが2020年代末までにできる確率は50%」(昨年の予測を維持)

慎重な見方の理由:

  • コーディングや数学は出力が検証可能なので自動化しやすい
  • 自然科学の一部は実験による検証が必要で時間がかかる
  • 既存の問題を解くだけでなく「問いを立てる」「仮説を生み出す」能力はまだ欠けている
  • AGIには物理的AI、ロボティクスも含まれ、ハードウェアがループの速度を制限する可能性がある

労働市場への影響

現状認識(両者共通)

  • 現時点では労働市場への大きな影響はまだない
  • ソフトウェア・コーディング分野で「ほんの始まり」が見え始めている

Darioの見解

「1〜5年でホワイトカラーの初級レベルの仕事の半分がなくなる可能性がある」(6ヶ月前の発言を維持)

「Anthropic社内でも見える。ジュニアレベル、中間レベルで、人員が増えるのではなく減る時期が見えてきている」

「労働市場は適応可能だ。80%の人が農業をしていたが、工場労働者になり、知識労働者になった。しかし私の心配は、この指数関数が複利で増え続け、私たちの適応能力を圧倒すること」

Demisの見解

「近い将来は、画期的な技術が到来した時の通常の進化が起きる。一部の仕事は破壊されるが、より価値のある、より意味のある新しい仕事が生まれる」

「今年から、初級レベル、エントリーレベルの仕事、インターンシップへの影響が始まるかもしれない」

大学生へのアドバイス(Demis):

「今、大学生のクラスに話すとしたら、これらのツールに信じられないほど習熟するよう言う。それは従来のインターンシップより良いかもしれない」


成功する企業の条件

両者の共通見解

「GoogleとAnthropicの共通点は、研究者が率いる、モデルに集中し、世界の重要な問題を解決することに集中し、困難な科学的問題を北極星とする会社だということ。そういう会社が今後成功する」(Dario)

Anthropicの成長

  • 収益は3年間で10倍ずつ成長
    • 2023年:0 → 1億ドル
    • 2024年:1億 → 10億ドル
    • 2025年:10億 → 100億ドル

リスクと課題

Darioが挙げるリスク

  1. 制御の問題 ── 高度に自律的で人間より賢いシステムをどう制御下に置くか
  2. 個人による悪用 ── バイオテロリズムなど
  3. 国家による悪用 ── 権威主義政府による悪用
  4. 経済的影響 ── 労働置換
  5. 未知のリスク ── まだ考えていないこと

「私たちは信じられない能力の扉を叩いている。砂から機械を作る能力だ。火を使い始めた瞬間から、これは不可避だった。しかし、どう扱うかは不可避ではない」

技術的安全性について(両者共通)

  • ドゥーマリズム(「私たちは運命づけられている」)には懐疑的
  • しかし、時間と集中と協力があれば対処可能な問題
  • 競争が激化し、安全策なしに急ぎすぎればリスクがある

地政学:チップ輸出問題

Darioの強い主張

「チップを売らないことは、私たちができる最大のことの一つ。これに対処する時間を確保するために」

「私はこれを、北朝鮮に核兵器を売るかどうかの決定のように考えている。ボーイングに利益が出るからといって売るのか?このトレードオフは全く意味をなさない」

「チップを売らなければ、これは米中の競争ではなく、私とデミスの競争になる。それは解決できると確信している」

両者の本音

Dario: 「デミスのタイムライン(5〜10年)の方が好きだ。しかし、地政学的な敵対者が同様のペースで同じ技術を構築しているから、減速できない」

Demis: 「現在予測しているより少し遅いペースの方が、社会がこれを正しく理解するために良いかもしれない。しかしそれには調整が必要で、今は欠けている」


来年への展望

最も注目すべきこと(両者一致)

「AIシステムがAIシステムを構築する」問題の進展

  • どちらに転ぶかで、あと数年かかるか、目の前に驚異と大きな緊急事態があるかが決まる
  • ワールドモデル、継続学習などの研究も重要
  • ロボティクスがブレイクスルーの瞬間を迎える可能性

日本の開発現場への示唆

この対談から、日本の開発現場が考えるべきことが浮かび上がる。

  1. コーディングスキルだけでは生き残れない

    • 6〜12ヶ月後にはAIがエンドツーエンドでコードを書く時代が来る
    • 「コードを書かない」エンジニアが既に存在する
  2. 全体を見渡す能力が求められる

    • 「研究者が率いる会社が成功する」という両者の見解
    • 設計・実装・テスト・運用の全体を理解する人材
  3. ツールへの習熟が最優先

    • Demisの「大学生へのアドバイス」は、現役の開発者にも当てはまる
    • 従来の専門性より、AIツールを使いこなす能力
  4. 適応の時間は限られている

    • 1〜5年で労働市場が大きく変わる可能性
    • 縦割りの組織構造では対応できない

出典

World Economic Forum Annual Meeting 2026「The Day After AGI」セッション(2026年1月21日)
動画: https://www.youtube.com/live/mmKAnHz36v0?si=E360VBJ31tmtzz_U
※ 動画はクリエイティブ・コモンズ著作権表示必須ライセンスで公開されている


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