このシリーズについて
AI と一緒にキャリア資産を育てていく過程を記録しています。この記事は第2回です。
はじめに
前回は、ChatGPT のチャットを1本だけピン留めして、自己分析やスキルの棚卸しをそこで続けている、という話を書きました。
今回はその続きです。1本のチャットで続けた結果どうなったか、そしてなぜ GitHub のプライベートリポジトリを作ることになったかを書きます。
想定している読者
- 仕事では ChatGPT や Claude を使っているが、自分のキャリアにはまだ使っていない人
- AI との壁打ちが増えてきて、内容がどこにあるか分からなくなってきた人
この記事で扱わないこと
- モデルの比較、MCP、Agent、RAG といった AI そのものの深掘り
- Git や GitHub の使い方そのもの
当時のやりとりの載せ方
- 引用: そのまま載せたもの
- 要約: 要点だけ書き直したもの
- 編集: 公開にあたり表現を変えたもの
どこまで進んだのか、分からなくなった
前回の終わりに書いた通りです。1本のチャットを続けていたら、こう聞くことになりました。
引用(2026年4月)
今どのステップまで進んだのか時間経過で忘れてしまった。改めてステップと現在位置を確認したい。
チャットは残っています。過去のやりとりも全部あります。それでも、自分がどこまでやったのかは分からなくなっていました。
理由ははっきりしていて、チャットは会話の記録であって、進捗の一覧ではないからです。何をやったかは残っていても、何が終わっていて何が残っているかは、スクロールして探すしかありません。そしてそのスクロールが面倒になる程度には、会話が長くなっていました。
相談したら、GitHub を勧められた
この相談の流れで返ってきたのが、GitHub のプライベートリポジトリで Markdown を管理するという案でした。
要約(2026年4月)
- 差分管理ができる。いつ何を考えていたかが履歴として残る
- フォルダがそのまま思考の構造になる
- テキストなので、AI に渡すときにコピーしやすい
- エンジニアなら、思考もコードと同じ扱いにするのが自然
このとき一緒に出てきた整理が、いま振り返ると一番効いています。
引用(2026年4月)
GitHub = 内部OS
Google Drive = 外部インターフェース
内部で育てるものと、外に見せるものを分ける、という考え方です。
ただし、この提案を全部採ったわけではありません。Google Drive は使っていません。外に出すものは、そのつど PDF を作って渡せば足りたからです。
前回の記事にも書きましたが、決めているのは自分で、AI は選択肢を出す側です。5つ提案されたら5つ採る必要はありません。
提案されたフォルダ構成
このとき提示されたのが、次の構成でした。
引用(2026年4月)
career/
├ 00_self_profile.md
├ 20_career_history.md
├ 30_strengths_skills.md
├ 40_current_topics.md
├ 50_career_direction.md
├ 60_action_plan.md
├ 90_logs.md
├ resume.md
└ resume_short.md
前回の記事で紹介した1月の提案と比べると、50 と 60、それに職務経歴書のファイルが増えています。最初に全部そろっていたのではなく、必要になった時点で足されていったものです。
番号の意味も一貫していました。00 は変わりにくいもの、90 は未整理の流し書き、その間に変わるものを置く。「半年後も有効なら 00 に入れる。1ヶ月で変わるなら別ファイルにする」という判断基準です。
リポジトリを作って、3ヶ月放置した
正直に書きます。この日にリポジトリは作りました。しかし、中身をきちんと移したのは3ヶ月後でした。
git のログがそのまま残っています。
2026-04-23 Initial commit
2026-07-29 docs: 職務経歴書・スカウト用プロフィール・面談カンペを移行
2026-07-29 docs: 自己分析・活動管理・旧版の資料を移行
理由は単純で、仕事が忙しく手が回らなかっただけです。
前回も1月から3月、3月から4月、4月から7月と空白がありました。今回も同じです。仕組みを作ることと、使い始めることは別で、作った時点では何も解決していません。
ただ、リポジトリを作ったこと自体は無駄になりませんでした。7月に手をつけたとき、「どこに何を置くか」を一から考えずに済んだからです。
動き出したときに決めたこと
7月末にまとめて移したとき、ファイルを置くだけでは足りないと気づきました。同じことを2箇所に書いてしまい、どちらが正しいのか分からなくなったためです。
そこで、置き場を役割で分けることにしました。
素材は、自己分析、実績のログ、活動の記録です。誰にも見せない前提で、事実だけを箇条書きで溜めます。成果物は、職務経歴書やスカウト用のプロフィールです。人に読ませる文章はここにだけ書きます。
分けた理由は、更新のきっかけが違うからです。素材は思い出したときに足すもので、成果物は出すときに整えるものです。同じファイルに混ぜると、書くたびに「これは誰向けの文章か」を考えることになり、手が止まります。
そのうえで、情報が一方向に流れるように決めました。
左の列が思考、右の列が経歴です。どちらも、粗いものから整ったものへ一方向に流れます。逆流させない、というのが唯一のルールです。
たとえば職務経歴書を直したくなったとき、いきなり文章を直すのではなく、先に事実のファイルを直します。文章のほうだけを直すと、次に書き直すときに何が正しいのか分からなくなるためです。
つまずいたこと
push できない
最初の壁がこれでした。
git push
Permission denied (publickey)
鍵の設定が通っていませんでした。結局、鍵を作り直して GitHub に登録し直したら解決しました。原因を追うより、作り直したほうが早い場面です。
キャリアの整理をしようとして、最初にやったのが SSH 鍵の作り直しだったのは、少し笑いました。
何を管理しないか、を先に決める
もう一つは .gitignore です。Claude Code に相談したところ、管理下に置かないものを先に決めるよう勧められました。
結果として、次のものを除外しています。
local/ 公開したくないものの避難先
*.xlsx *.csv *.docx *.pages 一次資料
*.pdf Markdown から生成する成果物
local/ は、公開したくないものの避難先です。人の名前や、外に出せない数字など、うっかり書いてしまうと困るものはすべてここに置きます。ディレクトリごと除外してあるので、置き場所さえ間違えなければ事故が起きません。
一次資料を除外しているのは、手元に届く元データが表計算やドキュメントの形式で、そのままでは差分が読めないためです。必要な部分だけ Markdown に書き出してから管理下に置きます。
PDF を除外しているのは、Markdown から生成しているためです。生成できるものを管理下に置くと、どちらが正しいのか分からなくなります。
キャリアの記録は、経歴、金額、人の名前と、外に出せない情報が混ざります。何を書くかより先に、何を管理下に置かないかを決めておくほうが安全でした。
何が変わったか
役割が分かれました。
チャットは、前提の説明が要らない場所です。数ヶ月ぶりに戻っても、続きから相談できます。リポジトリは、いま何が終わっていて何が残っているかが見える場所です。ファイルを開けば分かります。
そして、この2つを往復できるようになりました。チャットで壁打ちして、まとまったらファイルにする。そのファイルをまた AI に読ませて、指摘を受けて直す。
チャットに置いたままだと、育てた内容は会話の中に埋もれます。ファイルにすると、次に開いたときに続きから始められます。
この記事のまとめ
- AI との壁打ちの成果は、チャットに置いたままにせず、ファイルに出す。チャットは会話の記録であって、進捗の一覧ではない
- 置き場は役割で分ける。自分のための記録と、人に見せる文章は、更新のきっかけが違う
- 何を書くかより先に、何を管理下に置かないかを決める。キャリアの記録には、外に出せない情報が必ず混ざる
次回は、AI に経歴を書かせたときに事実と違う記述が出てきた話と、それを止めるために置いたルールについて書きます。
次回(第3回)
前回(第1回)