2026年8月、開発の仕事が減るとは思っていたけど、想像よりだいぶ早かった
※2026年8月14日時点の、個人的な実務上の感想です。ベンチマークでも未来予測でもなく、毎日かなりの時間をAIと開発している人間の体感です。
なお、雑に書いたメモをLLMにQiita向けに整形させたら、思った以上の長文になりました。そして僕自身も全文をちゃんと読み返していません。こういうところから既に脳みそが退化している気がします。
以前、2026年3月にこんな記事を書きました。
内容をかなり雑にまとめると、**「AIは相当コードを書けるようになった。でも設計や品質はまだ怪しいので、人間がちゃんと見ておいた方がいい」**という話でした。
当時から、開発の仕事はかなり減るだろうとは思っていました。なので「AIで開発者の仕事がなくなるなんて想像していませんでした」という話ではありません。
ただ、想像していたより早い。
これが2026年8月時点で一番感じていることです。
もはや「AIにコードを書いてもらう」ではない
世の中のプログラミングのかなりの部分は、AIで高速に実装できるようになってしまったのではないか。最近はそんな感覚があります。
もちろん、金融の基幹システムや宇宙開発、原発制御のような領域を、仕様だけ渡して「じゃあ本番までよろしく」と丸投げできるわけではありません。
ただ、ここも以前とは見方が変わってきました。
厳格な設計・レビュー・テストのループを人間が定義した上で、AIに何度もレビューと修正を繰り返させるのであれば、人間が一発で書いたコードより最終品質が高くなる可能性すらあると思っています。
人間は疲れますし、レビューの集中力も落ちます。AIは同じチェックを10回やらせても、基本的には文句を言いません。
なので、「高度な分野だからAIは使えない」というより、高度な分野ほどAIをどう検証工程に組み込むかが重要になる気がしています。
一方、普段よくあるWebサービス、業務システム、管理画面、API、スマホアプリ、SaaS、社内ツールなどについては、かなりの範囲を普通に実装できるようになってきました。
しかも、単にコードを書くだけではありません。
例えばチケットを1枚発行したら、Agentがチケットを読み、要件を解釈し、関連コードを探し、修正方針を考え、コードを修正し、テストコードを書き、テストを実行する。さらにブラウザ、シミュレータ、エミュレータなどで動作確認してスクリーンショットを残し、PRを作る。条件を満たせばmainにマージする。
ここまでかなり自動化できます。
以前は**「AIにコードを書いてもらう」**でした。
今はかなり**「AIに開発工程を担当してもらう」**に近いです。
人間側の仕事も、少しずつ「これお願い」「そこ違う」「ここ確認して」「OK」に寄ってきました。このくらいの会話で仕事が成立し始めると、便利なのですが少し不安にもなります。
GPT-5.3あたりから、また一段変わった感覚がある
個人的にはGPT-5.3あたりから、「また精度が上がったな」と感じる場面が増えました。
現在使っているGPT-5.6 SOL x-highでは、先ほど書いたようなチケット → 実装 → テスト → 動作確認 → PRという流れを、かなり普通にこなすようになっています。
2026年3月頃はまだ、「そこ勝手に変えるな」「なぜそのファイルを触った」「テストを通すために仕様そのものを変えるな」という場面が結構ありました。
今も当然あります。ただ、頻度はかなり減りました。
AGENTS.mdなどにアーキテクチャ、レイヤー構成、コーディングルール、テスト方針、validation、例外処理、命名規則、禁止事項などを書いておくと、それなりに忠実に守ります。
3月の記事では、**「AIに書かせるからこそ、コードをきれいに保った方がよい」**と書きました。これは今でもそう思います。
ただ、この5か月で変わったのは、その設計ルール自体をAIが守る能力がかなり上がったことです。
人間が設計を定義し、AIが実装する。この分業がかなり現実的になりました。
ただし、ここで一つ大きく変わったことがあります。
僕自身は、以前ほどソースコードを細かくレビューしていません。
今見ているのは、コード1行1行というより、
- AIが何を変更したのか
- どのファイルを触ったのか
- どういう方針で直したのか
- テストは何をしたのか
- 実際の挙動はどうだったのか
- 想定外のことをしていなさそうか
という、「AIが何をしていそうか」のレビューです。
もちろん重要な箇所や怪しいところはコードを見ることもありますが、全部の差分を人間が精読する運用ではなくなってきました。
コードレビューというより、AIの作業監督に近いです。
この時点で、3月の記事を書いた自分からするとだいぶ遠くまで来たなと思います。
テスターも結構危ないのでは
以前は「プログラマーは減ってもテスターは比較的残るのでは」と思っていました。
最近、それも少し怪しいと思っています。
AIが普通にテスト観点を考え、テスト項目書を作り、テストコードを書き、ブラウザやエミュレータを操作し、スクリーンショットを撮り、試験結果までまとめるようになってきたからです。
もちろん、そのテスト観点で十分なのかという問題はあります。ただ、実際に作らせたテスト項目書を見ると、少なくとも形式上はかなりまともです。
さらに自分で操作して、スクリーンショット付きで「この操作をして、この結果になりました」まで残してくる。
これまでテスターの価値は「試験を実施すること」から「何を試験すべきか考えること」へ移るのだろうと思っていました。
問題は、その「何を試験するべきか」までAIが考え始めていることです。
人間側の担当範囲が、毎月少しずつ後退している感じがあります。
オフショアのメリットがかなり薄くなった
受託開発をしていると、これはかなり大きな変化です。
以前は、単純な実装やある程度切り出せるタスクであれば、ベトナムなど海外の開発会社へオフショアするという選択肢が普通にありました。
人件費が安いので、多少コミュニケーションコストが増えても、トータルでは安くなるという考え方です。
ところが最近は、海外の安い人材へ依頼するくらいなら、LLMへ直接依頼した方が速いケースがかなり増えました。
人間に依頼すると、作業内容の説明、前提共有、質問への回答、認識合わせ、進捗確認、レビュー、修正依頼が必要です。当然ですが、時差もあります。
LLMの場合も指示は必要ですが、返答が速く、日本語の微妙なニュアンスもかなり理解します。
その結果、最近は少し極端に言えば、
「ベトナムで人間のトークンを使うか、日本でLLMのトークンを使うか」
みたいな話になりつつあります。
そして、日本国内の案件であれば、日本人が直接お客様の要件を理解して、その場でAIを使って実装した方がコミュニケーションロスが少ない。結果として、以前より効率がよくなっているケースが多い気がします。
オフショアそのものがなくなるとは思いません。優秀な人は当然どの国にもいますし、その人たち自身もAIを使います。
ただ、従来の**「人件費の安い地域へ定型的な実装作業を移す」**というモデルの優位性は、かなり小さくなったと思います。
安い労働力を探すゲームから、誰がAIを最もうまく使えるかというゲームに変わりつつあります。
若手に仕事を渡す意味も少し分からなくなってきた
さらに言いにくい話があります。
積極的に新しいものを触る若手や、AIを使いこなしている人は別です。経験があって新しい技術も追える、いわゆる「できるおじさん」も当然強いです。
困るのは、その中間です。
以前なら「この作業は若手にやってもらおう」という仕事がたくさんありました。
CRUDを作る、APIを1本追加する、画面を1枚作る、テストを書く、データを調査する、軽微な不具合を直す、といった仕事です。
ただ最近は、若手でも理解できるくらい具体的な作業指示を書いた時点で、
「これ、そのままLLMに渡せばいいのでは?」
となります。
人にお願いすると、タスクを説明して、理解できたか確認して、進捗を見て、詰まっていないか確認して、成果物を確認して、必要なら修正をお願いする、という管理コストがかかります。
LLMはこの辺もかなり優秀です。進捗を整理しますし、タスクを分解しますし、勝手にテストもします。
さらに、人間関係上の忖度がありません。
「今日は忙しそうだから頼むのやめよう」「この修正3回目だからちょっと言いづらい」「金曜17時だから月曜にしよう」と考えなくていい。
何回でも「違うので直してください」と言えます。
管理者側からすると非常に楽です。
結果として、中途半端な難易度の作業を人間に頼むこと自体が負担になりつつある。これは人材育成を考える上でも、結構まずい変化だと思っています。
ただし、若手がAIを使えるようになると話はまったく変わる
一方で、若手が不要になるとは思っていません。
むしろ、AIを使える若手はかなり強いと思います。
本人がAIを使って調査、設計、実装、テスト、確認まで回せるのであれば、生産性は一気に上がります。
なので、「若手を育てる必要がなくなる」のではなく、**「AIを使って仕事を完結できる若手をどう育てるか」**に変わっていくのだと思います。
そして、そこまで行くと危ないのは僕の方です。
若くて、学習速度が速く、新しい技術に抵抗がなく、AIまで自在に使える人が出てきたら、経験年数だけではまったく勝てません。
そんなことを偉そうに書いていますが、実際のところ僕自身も、AIという急流の中で必死に浮き輪にしがみついている、溺れかけのお爺さんみたいなものです。
これは結構、本気で危機感があります。
10人体制だった仕事が、1人+AIの方が速い
さらに大きな変化として、今まで10人体制だった仕事を、1人+複数Agentで回した方が効率がよいケースが増えると思っています。
人間を10人集めれば、当然10人分の作業能力があります。
ただし同時に、朝会、定例、役割分担、タスク分割、進捗確認、成果物確認、認識合わせ、仕様共有、コンフリクト、引き継ぎ、「それ誰がやるんでしたっけ」も発生します。
10人で開発すると、10人分の実装力が手に入る一方で、10人を同期させるためのコストもかなり大きい。
AI Agentでも管理は必要ですが、一人の人間が全体設計を把握した上で、Backend Agent、Frontend Agent、Test Agent、Infra Agentのように並列で動かすのであれば、かなり効率がいい。
開発チームというより、人間1人が小さなソフトウェア会社を連れて歩いている感じです。
もちろん規模や案件特性によりますが、これまで人数が必要だった大きな理由の一つが「コードを書く総量」だったのであれば、その前提はかなり崩れました。
10人集めるより、全体が分かる1人にAIを大量に与えた方が速い。
こういう案件は間違いなく増えると思います。
AI待ち時間に別のアプリを作る
AIに少し大きな仕事をお願いすると、待ち時間があります。
そこで別のAgentを起動して別の作業を頼む。さらに待ち時間ができたら、また別のものを作り始める。
結果として、AIの待ち時間に別のアプリが増えていくという状態になっています。
先日もReact Nativeでアプリを1本作りました。だいたい8時間くらいです。
もちろん僕が8時間コードを書いたわけではありません。「こういうアプリにしたい」「ここ違う」「もう少しこうして」「これも追加して」というやり取りをしていただけです。
そのアプリも後日公開予定です。
ついでに宣伝
最近作ったWindowsアプリ JotTack はこちらです。
以前なら「これ作ったら面白そう」と思っても、「1週間か2週間かかるし、本業もあるからいいか」で終わっていました。
今は「とりあえず作らせてみるか」で始められます。
アイデアの賞味期限が切れる前に実装できる。これはかなり大きいです。
最近は1日に何行コードを書いているのかも数えていません。というより、何行自分で書いたのかという指標自体が、あまり意味を持たなくなりました。
そして現在、困っていることが4つある
ここまで書くと非常に便利な世界に見えます。実際、便利です。
その結果として、別の問題も出てきました。
大きく4つあります。
1. 世の中はいつこの現実に順応するのか
最近かなり困っているのが見積もりです。
例えば、以前なら100万円くらいで見積もっていた開発があるとします。
今見ると、「これ、AIを使ったら20万円分くらいの工数で終わるのでは?」となることがあります。
では20万円で見積もるのか。
でも実際には、打ち合わせ、要件調整、アカウント発行、インフラ設定、リリース、ドキュメント、お客様への説明、契約、セキュリティ確認、なぜか存在するExcel、なぜか減らない会議などがあります。
実装が5倍速くなったからといって、仕事の全工程が5倍速くなるわけではありません。
なので、
20万円は安すぎる。でも100万円も違う気がする。じゃあ40万円くらいか……?
という、新しい見積もりゲームが始まっています。
さらに怖いのは、お客様側が「これ、自分たちでAIに作ればいいのでは?」と気づくことです。
そして、そのうち普通に気づくと思います。
なので「将来、開発の仕事は減るだろうな」ではなく、もう減り始める前提で会社の形を考えた方がいいと思うようになりました。
想像していた未来が来たというより、想像していた未来が予定よりかなり早く来た感じです。
2. AIがコードを書いても、クラウドは無料にならない
次がインフラ代です。
アプリ自体はものすごく安く作れるようになりました。でもクラウドは普通に金がかかります。
FaaSで完結するならまだよいのですが、DBが必要、Private Networkが必要、VPCを作る、devとprodを分ける、監視する、ログを残す、とやり始めると、利用者がほとんどいないサービスなのに月数万円ということが普通にあります。
AIはソフトウェアを安く作れます。
でもサーバー、GPU、SSD、ネットワーク、データセンター、電気は物理です。
「Azure、もう少し安くして」とAIに相談しても、アーキテクチャの最適化案は出してくれますが、Microsoftの請求単価そのものは下げてくれません。
この辺りは結局、設備産業です。ソフトウェア開発ほど劇的には安くならない気がしています。
そこでNVIDIAの株を今さら買うか、などと考え始めるわけですが、こういうことを一般人が考え始めた頃が一番危ない気もします。
3. トークン代という新しいガチャ
これも結構深刻です。
OpenAIとAnthropicだけで、普段から毎月6万円くらい払っています。
そして2026年7月は特に使いすぎました。
API利用料だけではなくチャージ分も含めて、7月はAI関連で40万円くらい払っています。
何をしているんでしょうか。
昔、ソーシャルゲームに課金している人を見て「データにそんなにお金を使うのか」と思っていました。
現在の僕は、
x-highでもう一回回したら、このバグ完璧に直るかもしれない
みたいなことをやっています。
かなり似ています。
ガチャではSSRが出ますが、こちらではPRが出ます。たまにコンフリクトも出ます。
AIを使えば人件費が下がる、という話は間違っていないと思います。
ただその代わり、トークン代という新しい原価項目がものすごい勢いで育っています。
人件費を削減するためにAIを使い始めた結果、AI会社へ40万円振り込んでいるので、どこまで成功しているのか自分でもよく分かりません。
そしてトークン価格は、会社の未来にも直結します。
もし明日、月額1,000万円だけど、人間より圧倒的に優秀で、要件定義から開発、テスト、インフラ、顧客対応まで全部できるAIが発売されたらどうするか。
たぶん弊社は解散します。
会社で人を何人も抱えるより、そのAIを1契約した方が安い可能性があるからです。
「月額1,000万円のAIなんて高すぎる」と思うかもしれませんが、優秀なエンジニア、PM、QA、インフラ担当を何人も雇う費用と比較すると、そんなに荒唐無稽な価格でもありません。
むしろ本当にそこまでできるなら安い。
その日が来ないことを願うというより、たぶん来る前提で考えた方がよさそうです。
4. 脳みそが死んでいく感じがする
一番怖いのがこれです。
自分で考える回数が減っています。
昔、孫請けをしていた頃、僕がお客様向けの技術回答を書き、上位会社の担当者がそれをエンドクライアントへ転送する、ということがありました。
エンドクライアントから質問が返ってくると、そのメールが僕に転送される。僕が回答を書く。それがまた転送される。
当時、「この人はいったい何をしているんだ」と思っていました。
現在、僕がそれに近づいています。
お客様から「○○できますか?」と聞かれる。僕がAIに聞く。AIが「できます。方法は以下です」と返す。それを整理してお客様に回答する。
「直接AIに聞いた方が速いのでは?」と思うこともあります。
ただ、AIは技術用語を平然と大量に使うので、それをお客様が理解できる形に翻訳したり、現実のシステム事情と照らして判断したりする仕事はまだあります。
当面は人間ミドルウェアとして生きていけそうです。
問題は、それに慣れすぎると自分でゼロから考える機会がどんどん減ることです。
要件定義まで普通にやり始めた
最近は100行程度のプロンプトに、背景、目的、制約、手順、実装方針、完了条件、禁止事項を書いて渡せば、かなりの作業をやってくれます。
実装だけではありません。
ボイスチャットで「こういうサービスを作りたい」「ユーザーはここから登録する」「管理者にはこういう画面が必要」「課金はこうしたい」「やっぱりこの機能も追加したい」と適当に話す。
するとAIが要件を整理します。
そこから基本設計を作らせ、それを実装Agentへ渡せば、詳細設計、実装、テスト、PRまで進められる。
人間の仕事が、少しずつ**「最初に何をしたいか話す」と「最後に正しいか判断する」**に圧縮されている感じがあります。
そして先ほども書いた通り、僕が最後にやっている「判断」も、ソースコードを最初から最後まで読むことではありません。
AIが出してきた作業結果、変更内容の説明、テスト結果、スクリーンショット、動作などを見ながら、
「こいつ、だいたい正しいことをやってそうだな」
を確認しています。
かなり危うい言い方ですが、実態としてはこれに近いです。
今、一番重要なのは「指示する能力」
2026年8月14日時点では、AIに作業を正しく指示できる能力の重要性がかなり上がっています。
何を作るのか。何を正解とするのか。何をしてはいけないのか。どこまで任せるのか。何を確認すべきなのか。
これを定義できる人は強い。
実装能力が不要という意味ではありません。AIが変なことをしている時に、それが変だと気づくためには技術的な経験が必要です。
ただ、「自分で全部書ける能力」より「正しい仕事を定義し、AIに実行させ、その仕事ぶりを評価する能力」の比重が急激に上がったと思います。
3月には「まだ油断できない」と書いていた
2026年3月の記事では、AIは設計を無視しやすい、patch的なコードを書きやすい、品質が安定しない、セキュリティが怖い、テストを過信できない、最後は人間が汚いコードを読む羽目になる、といった話を書きました。
これらが全部解決したわけではありません。
ただ、人間が途中で助けに入らないと完遂できない仕事がかなり減りました。
3月は「AIに任せる。でも横でコードもちゃんと見る」でした。
今は「一旦最後までやらせて、何をやったかと結果を確認する」にかなり近づいています。
たった5か月ですが、この差は大きいです。
そして正直、ここは少し怖いです。
AIの生成能力が上がった結果、人間がコードそのものを見る時間まで減っています。
金融や宇宙でも「AIだから品質が低い」とは限らなくなる気がする
まだAIに丸投げできない領域は当然あります。
複雑な既存システム、環境依存の障害、大量の暗黙知が必要な案件、極めて厳密な安全性が必要なシステムなどです。
ただ最近は、「難しいから人間が作る方が安全」という単純な話でもない気がしています。
例えば、あるAIがコードを書き、それを別のAIにレビューさせる。さらに別の観点で再レビューさせる。静的解析、セキュリティテスト、テスト生成、仕様との照合も自動化する。
問題が見つかれば修正させ、また同じ工程を回す。
人間だけでこのレビュー回数を回そうとすると非常に高コストですが、AIならかなり現実的です。
そうなると、金融や宇宙開発のような高品質を要求される領域でも、AIを使わない方が品質を上げにくいという時代が来る可能性があります。
「AIに全部やらせる」のではなく、「人間が品質基準と検証プロセスを設計して、AI同士に何度でもチェックさせる」。
この形はかなり強そうです。
この先、人間は何で勝負するのか
ここまで来ると、単純にコードを書くことで価値を出す仕事は厳しくなります。
では何で勝負するのか。
今のところ思いつくのは、もっと脳みそを使う仕事へ移る、サービスを当てる、人脈と信用で勝負するくらいです。
もっと脳みそを使う仕事というのは、何を作るのか、誰の課題を解くのか、どうビジネスにするのか、何を捨てるのか、といった上流の判断です。
ただし、この辺もAIが普通に入ってきています。
サービスを当てるというのは、自分たちでサービスを作ってユーザーを持つことです。開発コストが下がったので、小さな会社でも試行回数を大幅に増やせます。
以前なら1個しか作れなかった期間で10個試せるなら、1個当たればいい。
問題は、AIはコードを書いてくれても「必ず売れるサービス」はまだ作ってくれないことです。そこまでできるようになったら、いよいよ会社の存在理由を考え直す必要があります。
そして最後は人脈です。
「この人なら任せられる」「この会社なら話が早い」という信頼関係は、AIが普及しても残る気がします。
最新AIを散々使った末に、キャリア戦略が頭を使う・サービスを当てる・人脈を作るになっているのは、やや納得がいきません。
かなり昔から言われている話に戻ってきました。
開発会社としては、お先真っ暗にも見える
受託で**「プログラムを書くこと」そのものを売るビジネス**は、かなり厳しくなると思っています。
なので最近は、サービスプロバイダー側へ行かなければまずい、という気持ちが強いです。
自分たちでサービスを持つ。ユーザーを持つ。運用する。継続的に価値を提供する。
今後は「何人エンジニアがいて、何行コードを書ける会社なのか」ではなく、何を提供できる会社なのかの方が重要になるはずです。
そして先ほどの話に戻りますが、月額1,000万円で何でもできるAIが出たら、その瞬間に「社員を増やそう」ではなく「このAIを契約して会社を小さくしよう」という経営判断が合理的になる可能性があります。
そうなったら弊社は解散して、AIの契約者1名だけ残るかもしれません。
法人である必要すら怪しいです。
……と思っていたら、インターン生に少し救われた
先日、インターン生とこの話をしていました。
「開発会社って今後かなり厳しくない? AIでみんな作れるようになるし、仕事なくなるんじゃないかな」と話していたら、
でも、AI特需でしばらく仕事めちゃくちゃ増えるんじゃないですか?
と言われました。
これは確かにその通りです。
実際、AI関連の引き合いはかなりあります。
企業側からすると、何ができるのか分からない、どのAIを選べばいいか分からない、セキュリティが不安、社内データとどうつなぐのか分からない、RAGやAgentがよく分からない、PoCまではできたけれど本番化できない、といった課題がいくらでもあります。
つまり、AIによって開発会社が不要になるまでの間、AIを導入するために開発会社が必要になるという、かなり不思議な特需が発生しています。
しかも開発会社自身はAIで生産性が上がっている。
これはビジネスとして見ると、しばらくかなり面白い状況かもしれません。
しばらく営業利益はむしろ良いのでは説
例えば以前100時間かかっていた仕事が、AIによって20時間で終わるとします。
でも世の中の価格相場が、明日から即座に5分の1になるわけではありません。
そうすると一時的には、かなり利益率が上がります。
最近見積もりで悩んでいる理由もこれです。
従来価格のまま出すのも違う。AIで下がった原価を100%お客様へ還元して激安にするのも違う。
お客様にも明確な価格メリットがあり、こちらもAIや技術へ投資できる価格。この辺りを探している状態です。
もっとも、毎月OpenAIとAnthropicに6万円ほど払い、月によってはチャージ込みで40万円使っているので、「AIで原価が下がりました」と言いながらAI会社への支払いだけ猛烈に増えているという別の問題もあります。
なので「仕事がなくなる」と思う一方で、数年間はむしろ今までより儲かるのではないかという気もしています。
長期的には怖い。
短期的には忙しい。
経営者として一番判断しにくいパターンです。
お見合いで職業を説明できなくなってきた
最近、自分の仕事をどう説明すればいいのか分からなくなっています。
以前なら「システム開発をしています」で済みました。
今の実態を正確に表現すると、1日10時間くらいAIとしゃべっています。
なので、もしお見合いで、
ご職業は?
と聞かれたら、
AIと一日10時間しゃべる仕事です。
と答えるのが最も正確です。
たぶん落選すると思います。
結論:減るとは思っていた。ただ、こんなに早いとは思っていなかった
2026年8月14日時点の感想をまとめると、開発者の仕事が減ること自体は以前から想定していました。
ただ、想定していたスピードよりかなり速いです。
プログラマーの仕事は減りそうです。テスターの仕事も変わりそうです。単純なオフショアのメリットも小さくなっています。若手へ定型作業を渡す意味も薄くなっています。10人で回していた仕事を1人+AIで回すケースも増えると思います。
そして僕自身も、以前のようにソースコードを全部細かくレビューしているわけではありません。
AIが何を変更し、どうテストし、何を確認して、最終的にどう動いているのかを見る。
コードそのものより、AIの仕事ぶりをレビューする時間が増えています。
ここまで来るのは、もう少し先だと思っていました。
一方で、AI導入の仕事は増えています。一人あたりの生産性は過去にないくらい上がっています。以前なら採算が合わなかったサービスを小さな会社でも作れるようになりました。
なので今は、「仕事がなくなる時代」と「過去最大のチャンスがある時代」が同時に来ているように感じます。
僕自身も、もっと頭を使う仕事へ移るのか、サービスを一発当てるのか、人脈と信用で生きるのか、いろいろ考えています。
どの道も簡単ではありません。
ただ、今ほど小さな会社が大量に試行錯誤できる時代もなかったと思います。
AIがコードを書き、AIがテストし、AIが自分のコードを検証し、AIがPRを出し、AIがタスク管理までしてくれる。その横で人間が「では次これをお願いします」と言っている。
最近は、AIで生産性を上げる方法より、AIを使いながら自分の脳みそをどう維持するかの方が気になり始めています。
2026年3月には、
AIにもきれいなコードを書いてほしい
と思っていました。
5か月後の今は、
僕、まだ自力でコード書けるよね?
という心配に変わりました。
そしてもし、月額1,000万円で僕より仕事ができるAIが出たら、その時は潔く会社を畳もうと思います。
それまでは、毎月6万円、時には40万円のトークン代を払いながら、AI特需に乗ってサービスを作って、なんとか生き残ろうと思います。
2026年8月14日時点。