対象読者
問題解決・課題設定の基本を身につけたい人
問題と課題の違い
AsIs ToBe を知る前に「問題」と「課題」が何かを理解する
問題は、現状と理想の間にギャップがある状態
例えば、A さんの通勤時間が 2 時間だとする。
- A さんの理想的な通勤時間が「1 時間以内」ならば、現在の通勤時間は 問題だ
- なぜならば現状と理想の間に、ギャップがあるからだ
一方で
- A さんの理想的な通勤時間が「3 時間以内」ならば、現在の通勤時間は 問題ではない
- なぜならば現状と理想の間に、ギャップがないからだ
課題は、問題解決のために取り組むべきこと
「問題解決のために取り組むべきこと」が課題だ。
A さんの通勤時間に問題があるとして、考えられる課題は主に 5 パターンある
- (1) 会社近くに引越しをする
- 引越資金を貯める必要がある
- 引越し日程を決める
- 総務に引越し日程を連絡する
- (2) 平日は会社近くのカプセルホテルで寝泊まりする
- 会社近くにカプセルホテルがあるかを調べる
- 支出オーバーにならないように費用計算をする
- (3) 自宅勤務できるように会社に願い出る
- 上長に相談をする
- 承認が下りた場合総務に申請をする
- (4) 自宅近くに支社設立を会社に願い出る
- 上長・上役を巻き込んで相談する
- (5) 転職する
- 通勤1時間以内の会社にあたりを見つけ、転職準備を始める
- 上長に退職の相談をする
補足:
A さんにとって実現能可能かどうかは横に置いている
実現可能性の検討は、課題の洗い出しが終わった後にすべきことだ
AsIs ToBe
AsIs ToBe を利用すれば、問題と課題を「流れに沿って」明確にできる。
全体図
現状(AsIs) を洗い出す
先ほどの通勤時間が問題になる場合を例にとろう
今自分が置かれている状態を、考えられる・思い当たるだけ洗い出す。
- 起床は朝の 6 時 00 分 だ
- 6 時 40 分 の電車に乗らないと遅刻する
- 起床から出勤準備まで余裕がない
- 6 時 00 分より前に起きると体調に異常をきたす
理想(ToBe) の姿を描き出す
何の制約も受けない、理想のみを思い描く。
- 通勤時間は 1 時間以内である
- 毎日の起床は 7時半過ぎである
- 心身ともに余裕を持って出勤できる
問題が何なのかを言葉にする
現状と理想のギャップを言葉にする。言葉で表現できない問題は問題ではない。
- 長時間電車に揺られて職場に行くことが苦痛である
- 睡眠時間を十分確保できない
- 朝、精神的に余裕がないのは苦痛である
課題を洗い出す
「問題解決(ギャップを無くすこと)の為に取り組むべきこと」 が 課題だ。
- 主課題: 引越しをすること
- 課題1: 引越資金を貯める
- 課題2: 資金が貯まり次第、引越しの日程を決める
- 課題3: 引越し日程決まり次第、総務に連絡をする
「課題2: 引越しの資金を貯める」の課題はさらに細分化できないだろうか。
「現状余力がある資金は X 円で、引越し資金 は相場からして Y 円必要。Z 円足りない」
という別の問題が見えてくるだろう。どういった課題を設定できるだろうか。
課題を細分化できたら、課題2の子課題として設定しよう。
留意点
それは本当に課題か
現状を課題にしない
よく課題管理表で目にする「何々ができない」と記された「課題のようなもの」がある。
これは単なる「現状(AsIs)」だ。
そこには何の理想の姿も、問題も、課題もない。
それは本当に問題か
現状と理想の間にギャップがなければ問題ではない
冒頭の通勤時間の例でも示した通り、理想と現実の間にギャップが存在していなければそれは問題ではない。
なので「自分は問題だと思った」が「他人は問題だと思わなかった」が起きるのは
他人が「現状 = 理想」としているからだ。
現状と問題を混同しない
「市場リリース版にバグを混入させない」が理想の姿だとする。
「バグを見つけた」は単なる現状。それは何が問題なのかが分からない。
ここでは、現状が理想にどれだけ達していないか をはっきりさせ、現状を問題に昇華させれば良い。
例えば、理想を「市場リリース版でバグが起きていないこと」としよう。
- 「バグを見つけた。これは市場リリース版で再現する」は問題だ
- 理想に達していないから
- 「バグを見つけた。これは開発版でのみ再現する」は問題ではない
- 理想に達している(市場リリース版にはバグが混入していない)からである
理想がなければ問題は出てこない
理想なきところに問題は現れない
まず自分が何を理想に描くことだ。キーワードは
- どうしたいか
- どうなりたいか