人工知能初心者向けの書籍を3冊読みましたので個人的な感想とそれぞれの書籍のおすすめポイントをまとめました。
今回拝読した書籍
・深層学習教科書 ディープラーニング G検定公式テキスト 浅川 伸一, 江間 有沙 他5名, 一般社団法人日本ディープラーニング協会 翔泳社
・人工知能は人間を超えるか 松尾 豊 KADOKAWA
・人工知能システムのプロジェクトがわかる本 企画・開発から運用・保守まで 本橋 洋介 翔泳社
基本的に技術書というよりは基礎知識を得る、プロジェクトに参画するにあたっての心構えをするための書籍ですね。
何であれ実際に技術書を読みだす前に基礎知識を固める必要があること、基礎知識だけでは実際どのようにプロジェクトが動くのかをイメージしたかったため上記三冊を拝読しました。
深層学習教科書 ディープラーニング
・深層学習教科書 ディープラーニング G検定公式テキスト 浅川 伸一, 江間 有沙 他5名, 一般社団法人日本ディープラーニング協会 翔泳社
人工知能の定義、歴史から将来的な目標や危険性にいたるまでの概要や機械学習や深層学習の基礎知識・キーワードをまとめて解説してくれる、まさに教科書にふさわしい1冊です。
これまでの人工知能分野の技術進歩の流れと各時代でメインとなった研究、深層学習の登場によってそれらの研究で発展したことなどを学習することができます。
教科書と銘打つとおり、基礎を網羅してはいますが踏み込んだ内容について記載されているわけではありません。
具体的な開発言語やフレームワーク、環境についての知識はこの本では学習することができないため、それらについて学習したい方には別途書籍なり学習手段を用意する必要がありますのでご注意ください。
他の専門書を読みだす前にまず押さえておくべきことについては粗方解説されているため、これから人工知能の勉強を始めるという方はG検定を受ける予定が全くなくても読んでおくとよいと思います。
ただ、人工知能分野の知識が全くない状態でこの本を一読した場合、おそらくキーワードや頭に入れるべき知識が多すぎて内容が飲み込めないという状態になります。
ですがタイトルにもありますとおり、こちらの本は教科書だと思いましょう。他の入門書を読む際に参照したり、書かれた内容をノートや自分好みのツールにまとめたりと使っていく中で、人工知能について基礎知識を自分の中に落とし込むことができるはずです。
人工知能は人間を超えるか
・人工知能は人間を超えるか 松尾 豊 KADOKAWA
著者である松尾 豊先生ご本人の体験や当時の思いなど、基本がテキストであった深層学習教科書とは異なり、エッセイを読むようにすんなりと読むことができます。
専門書よりもエッセイや啓発書など誰かの経験や考えを読み学ぶことになれた方には特に読みやすく感じる書籍ではないかと思います。
(半面、学術書や論文的な内容を求める方には向かない書籍であるかもしれません)
語り口調に近い文体で書かれているため非常に読みやすく、また読み進める中で人工知能の主だったキーワードについてある程度理解できるようになっています。
私は深層学習教科書の読後に人工知能は人間を超えるかを拝読しましたが、深層学習教科書で見た基礎的なキーワードを頭の中でおおよそ整理できるようになっていました。
教科書の得た知識を当時の人工知能分野で活動していた方の体験を通してどれだけ重大な、画期的な取り組みだったのかなどを感じ取ることで詰め込んだだけの知識から肉付けをしていただけたように感じます。
エッセイのように、と前述したことからお分かりかと思いますが、人工知能は人間を超えるかの内容はテキストである深層学習教科書よりも深い知識を学べるものというよりは、著者である松尾 豊先生の解説を通して概要をしっかりと飲み込むことを主眼としている内容ではないでしょうか。
人工知能分野を初めて学ぶ方には深層学習教科書と合わせて読むことで理解度を増すことが期待できる書籍だと思います。
人工知能システムのプロジェクトがわかる本
・人工知能システムのプロジェクトがわかる本 企画・開発から運用・保守まで 本橋 洋介 翔泳社
人口知能についての基礎知識が身についたところで、具体的にどういった形でプロジェクトが動くのかをイメージするのが難しかったため購読させていただいた書籍です。
G検定程度の基礎知識は身に着けている・一般的なシステム開発の流れは理解している人が対象の書籍であるように思いました。
もっと言えば「エンジニア経験があり、人工知能の基礎知識はあるけど実際に開発を経験したことが無い人」向けの書籍でしょうか。私もそうですが、ほかにもそういう方は実際結構いらっしゃるような気がします。
実際の「人工知能を導入する」プロジェクトで人工知能をどの工程で動かすことが多いのかなどを最初のほうで解説されているので、プロジェクトの内容を個々でイメージをしながら開発の流れを学習していくことができます。
ポイントポイントでケーススタディという形で工程や確認すべきポイントを提示されます。これは私にとってはイメージがしやすくなるので助かりました。
また、私が本書を拝読してはっとなったのが、人工知能の学習結果を整理して「人にとって知見が妥当かどうかを判断する」というところです。
人工知能はデータを学習していきますが、その結果が人にとって妥当かどうか、人が判断する必要がある。
それは当たり前のことですが、実際に人工知能を使う立場にならないと見落としてしまうポイントなのかな、と思います。
作ることが目的だったり、流れを把握するにとどまる学習時は見落されてしまいやすいポイントかもしれません。
人工知能の計算結果は結局人が使うためのもので、人工知能が学習した傾向の正誤は結局人が判断する必要があるんですよね。計算上正しくても、それが正しいものとして人に感じられなければ運用されなくなってしまう。
本当に当たり前のことなんですが、私はうっかり失念しかけていたポイントでした。
人工知能の勉強しても、それを実際に開発・運用できるかというとなかなか難しいです。ですがこの書籍を読むことで実際のプロジェクトに関わる前に、ある程度流れを把握しポイントを押さえるためのとっかかりを得られるのではないでしょうか。
もちろん実際のプロジェクトでこの通りの流れやポイントがすべて通じるというわけではないでしょうが、これから最初の「人工知能を使用するシステム」の案件を経験する予定がある方には読んでおくと心強い一冊であるように思います。