dipアドベントカレンダー2025 の最終日(25日目)の投稿です。
はじめに
CTO室では今年一年、AIを使った開発の推進を社内で行ってきました。
おかげさまで社内の開発部署のメンバーの95%以上が何かしらのAIツールを使っている状態になりましたし、自分自身も考え方に変化があり、作業に着手する際には「まずはAIを使って何ができるか?」と考えてから作業を始めるようになりました。
今年はAIに関する話題が尽きなかったですが、同時に「万能のAIの幻」が消えた年でもあったと思います。
GitHub CopilotやClaude Codeが出てきたときに、AIに指示を出せばすべて勝手にやってくれる、もうエンジニアの仕事はなくなる、などと言われているのを見たことがありました。
しかし実際はすべてが思い通りに動くわけではなく、期待しない動作でやり直しが発生しプロンプトを調整したり、AIが出してきた大量のコードのレビューを捌いたり等々、より仕事が増えたような気もします。
この記事では、AIを使ってわかった本質的なこと、2025年に社内で行った取り組みを振り返り、今後エンジニアが取り組むべきことについて書きました。
Data Is All You Need
AIを開発に使い始めてからより理解できたのは、「AIの本質はデータ」ということです。
LLMに詳しい方はご存知だと思いますが、現在のLLMの多くはTransformerというアーキテクチャをベースに作られており、このTransformerに関する論文「Attention Is All You Need」というものがあります。
現在のLLMはインターネット上のデータを学習し、統計的に次のトークンを予測する処理を繰り返しています。LLMの性能がいくら良くなっても学習するデータがないと適切に動くことができないため、データをいかに揃え整理できるかが今後のAI活用の肝となると思います。
2025年 社内の出来事
2025年のはじめにはAIを使った開発の取り組みは始まっていました。
実は2024年時点ですでにGitHub Copilotは利用できる状態になっていましたが、当初はコード補完の延長という位置づけでエージェントもありませんでした。
AIに興味がある一部のアーリーアダプターは使っていましたが、組織として活用をしていくために課題は他にもありました。
コミュニケーション設計
SlackにAI Codingに関するやり取りをできるPublic channelを作りました。
一時期はAIに関するアップデートが毎日のようにあり組織内の情報格差をなるべく抑えるため、誰でもこのchannelでAI関連のニュースを閲覧も投稿もできるようにしています。
また、ツールを使っていてわからないことやトラブルがあった場合もこのchannelでやり取りをして、すぐに解決ができるようにしました。
個人的な動きとしては、各チームのchannelにもお邪魔してchannel内でツールで困っている旨のやり取りがあれば能動的にフォローができるようにしていました。
ルール策定
新しいツールを導入する際には承認が必要になります。
2025年の春頃には多くのツールがリリースされたり、MCPが本格的に普及し始めて多くのMCPサーバを試す必要がありましたが、通常の承認フローでは承認に時間がかかりすぎたため簡易的な承認フローを構築し試せる機会を増やすことができました。
MCPサーバは MCP Registry や mcp hub などの信頼できるソースからのみ許可をするなどの安全に使うためのルールを地道に作っていきました。
ノウハウの共有
月次でAIを使った開発のノウハウを共有する会を開催し、成功事例や失敗談などの正解を皆で探す取り組みを行ってきました。
開催してみると、みんな工夫しそれぞれのテクニックを持っていることがわかったため、2026年も定期的に開催してノウハウを共有する機会を作っていきたいと思います。
以下の記事は社内の比較的ユルめの勉強会の記事です。
わずか半年前の記事ですがすごい懐かしい気がします。(なぜか全員ギャル口調)
ドメイン知識の明文化
弊社もサービスに関するデータ(ドメイン知識)をAIに伝えるのは大変苦労をしました。
こちらのスライドでも紹介をしていますが、弊社ではAI-DLC (AI-Driven Life Cycle)というAWSが提唱している開発を試しており、この取り組みを通してドメイン知識を明文化しAIが適切に動ける環境を作っています。
これからのAI
AIは過去に何度もブームを迎えては終わることを繰り返してきました。
第一次人工知能(AI)ブームは1950年代後半~1960年代、第二次人工知能(AI)ブームは1980年代、第三次人工知能(AI)ブームは2010年代、そして現在は第四次人工知能(AI)ブームと言われているようです。
ただ、Gartner社が発表している2025年のハイプ・サイクルを見てみると、生成AIが幻滅期に入っているのがわかります。
現在の第四次人工知能(AI)ブームもいずれは終わるでしょう。
しかし、ブームが終わるのは当たり前になってきたからであり、悪いことではないと思います。
LLMのコンテキストウィンドウがあるため、プロンプトやルールの作り方に工夫が必要なケースが多く複雑すぎて使うのを諦めた人もいるのではないでしょうか。
最近オープン標準として公開された Agent Skills のように必要に応じて自動で呼ばれるような仕組みやチームで手軽に共有する方法があると、より多くの人が使えるようになり本格的な普及期に入ると思います。
おわりに
さまざまな取り組みをしてきた結果、AIの時代にエンジニアが身につけるべきことは以下のようなものだと考えるようになりました。
- ユーザーの課題を理解しそれを解決するためのエンジニアリングの知識
- プロンプトやルールで的確な「データ」をAIに与える言語化のスキル
ユーザーの課題を理解するには、まだまだ人が介入する必要があります。
この課題をAIと伴走してエンジニアリングで解決できることが重要だと考えます。
2026年も、よりAIを理解して活用できるよう全員で色々なことに挑戦してみたいと思います。