はじめに

前回，「OBS StudioでAPIを使ったボタンの監視とログ出力」という記事を投稿しました。前回の記事では，例として録画ボタンの監視を行いました。※OBSのスクリプトを初めて触る方は，まず前回の記事のプログラムを試してみてください。

今回は，その実装を踏まえて，OBS Studioで配信を開始したときにDiscordに自動的に通知を送る機能を，Pythonスクリプトを用いて簡単に実装してみます。

必要なもの

OBS Studio：配信に使うOBS環境です
Python：OBS Studioのスクリプト機能を使うためにPythonが必要です。OBSにPythonスクリプトが有効になっているか確認してください
Discord Webhook：通知を送信するためのDiscordのWebhookを作成します

手順

1. Discord Webhookを設定する

まずは，Discordで通知を送るためのWebhookを作成します。

自分がホストしているDiscordサーバーに入り，通知を送りたいチャンネルを選択します。
チャンネルの「設定」メニューを開き，「連携サービス」タブから「ウェブフックを作成」を選択します。
「新しいウェブフック」が作成されますので，名前やアイコンを設定した後，「ウェブフック URL」をコピーします。このWebhook URLは後ほどスクリプトで使用するので，メモしておいてください。

2. Pythonスクリプトの作成

次に，OBS Studio用のPythonスクリプトを作成します。以下のコードをコピーし.py 拡張子で保存してください（例：discord_notification.py）。

discord_notification.py

import obspython as obs
import requests

webhook_url = ""
message_content = ""
notify_discord = False

# スクリプトが最初にロードされたときの設定
def script_description():
    return (
        "OBSで配信を開始したときにDiscordに通知を送るスクリプトです。\n"
        "設定画面からWebhook URLと通知のオン/オフを設定できます。"
    )

# スクリプトがロードされたときに呼ばれる関数
def script_load(settings):
    obs.obs_frontend_add_event_callback(on_event)

# 配信開始時に呼ばれる関数
def on_event(event):
    if event == obs.OBS_FRONTEND_EVENT_STREAMING_STARTED:
        # チェックボックスがオンの場合にのみ通知を送信
        if notify_discord and webhook_url and message_content:
            send_discord_notification()
            # Discordに通知を送る関数

# Discordに通知を送る関数
def send_discord_notification():
    payload = {"content": message_content}
    try:
        response = requests.post(webhook_url, json=payload)
        if response.status_code == 204:
            print("Discordに通知を送信しました")
        else:
            print(f"エラーが発生しました: {response.status_code} - {response.text}")
    except Exception as e:
        print(f"リクエスト中にエラーが発生しました: {e}")

# スクリプトの設定が変更されたときに呼ばれる関数
def script_update(settings):
    global notify_discord, webhook_url, message_content
    notify_discord = obs.obs_data_get_bool(settings, "notify_discord")
    webhook_url = obs.obs_data_get_string(settings, "webhook_url")
    message_content = obs.obs_data_get_string(settings, "message_content")

# スクリプトの設定UIを定義する関数
def script_properties():
    props = obs.obs_properties_create()

    obs.obs_properties_add_bool( # Discordに通知を送るチェックボックス
        props, "notify_discord", "Discordに通知を送る"
    )
    obs.obs_properties_add_text( # Webhook URLの入力欄を追加
        props, "webhook_url", "Webhook URL", obs.OBS_TEXT_DEFAULT
    )
    obs.obs_properties_add_text( # メッセージ内容の入力欄
        props, "message_content", "送信するメッセージ", obs.OBS_TEXT_MULTILINE
    )

    return props

3. OBS Studioにスクリプトを追加する

OBS Studioを起動し，「ツール」メニューから「スクリプト」を選択します。
「スクリプトマネージャー」が表示されるので，「+」ボタンをクリックして，先ほど保存したPythonスクリプトを選択します。
スクリプトを選択すると，設定画面に以下のオプションが表示されます：
- 「Discordに通知を送る」: 通知を有効にするチェックボックス
- 「Webhook URL」: 先ほどコピーしたDiscordのWebhook URLを入力する
- 「送信するメッセージ」: 配信開始時に送信したいメッセージを入力します（例：「配信が開始されました！」など）。

4. 動作確認

設定が完了したら，OBSでテスト的に配信を開始してみてください。正しく設定されていれば，指定したDiscordチャンネルに通知が自動的に送信されるはずです。

まとめ

このように，OBS Studioで配信を開始した際に自動でDiscordに通知を送る仕組みを簡単に作成できます。OBSのスクリプトを活用することで，さらにカスタマイズや機能追加も可能ですので，ぜひ色々と試してみてください！

何か質問や不明点があれば，コメントでお知らせください。

参考

▼ Python/Lua スクリプト

▼ イベントが発生したときに呼び出されるコールバック関数

▼ イベント一覧