紙の連絡ノートをデジタル化してみた
営業所のスタッフ間で使われている連絡ノートをデジタル化をするにあたって、「紙に手書きするような手軽さ」を再現したいと思いました。Power Appsを使って、誰でも簡単に更新できる簡易掲示板アプリを作ってみました。
このアプリを作ろうと思った経緯
お魚は現在、販売システムの開発チームでUI/UX担当として働いています。先日、弊社のシステムを導入してくださっている営業所へ、ベテラン社員の先輩と視察に行きました。このシステム導入はまだPoCの段階で、不具合や使いにくさについて現場の皆様からの意見を収集しているフェーズです。
ベテラン社員たぬ蔵さんと営業所を訪れると、スタッフさんたちが「あら〜久しぶり!」「待ってたわよ〜」「相談したいことがあるのよね〜」と、親しげにたぬ蔵さんの元へ集まってきました。その営業所で、相談事の連絡・確認ツールとして使われていたのが、紙のノートでした。
紙のノートは、手軽に誰でもメモを残せる反面、紛失や情報漏洩のリスクがあります。また、質問を書いてから回答を得るまでのタイムラグがあるほか、書いてもらった課題を開発チームへ共有したいときは、文字情報を書き起こさねばならず二度手間です。手書きの文字が読みにくい、というデメリットもあります。
しかし、紙のノートとペンが持つ「圧倒的な手軽さ」は最大の利点です。また、これまでたぬ蔵さんが営業所のスタッフさんたちと築き上げてきた、温かくハートフルな関係も大切にしたいと考えました。
そこで、紙のような「手軽さ」「気やすさ」「更新の簡単さ」を兼ね備えたデジタル掲示板を目指し、Power Appsを使ってプロトタイプを作ってみることにしました。
簡易掲示板の作り方
使ったもの
- Microsoft Power Apps
- OneDrive, Excel for the web
- Copilot(AIに作り方を相談)
構成
手順1. Posting Form
営業所で働くスタッフさんは入れ替わりも多いため、共有PCのブラウザから誰でも登録できる簡単なものにしました。入力項目も、氏名とお手紙(メッセージ)だけ。紙のノートで記入していたデータ項目と同じです。
苦労ポイント
List Screenに掲載されるお手紙一覧を降順で表示したかったのですが、Power AppsにデフォルトでついているDatePickerは、日付の情報しか引き渡していませんでした。そこで、記入日カードの中に時間データ引渡し用のテキストラベルを設置し、Now() のスクリプトを入れ、表示設定を非表示にしました。これで、お手紙を送信した日時の情報を、データソースへ送ることができました。
手順2. Thanks Screen
お手紙(メッセージ)を送信したあとに、Thanks Screenを表示させます。直接お手紙一覧にリンクさせても良いですが、Thanks Screenをはさんだ方が、「お手紙が送信された」プロセスが可視化できるので入れることにしました。
Power Appsで新しいページを追加するには、「ツリービュー」から「新しい画面」→「空」を選択します。ページの名前を「ThanksScreen」に変更。次に、Posting Screenに戻り、入力フォーム全体(参考画面ではForm2)を選択します。画面左上のプルダウンで OnSuccess(送信成功時の挙動)というプロパティを選択し、スクリプトのフィールドに Navigate(ThanksScreen, ScreenTransition.Fade) を入れます。
これで、「お手紙を送信」ボタンを押したあと、ふわっとThanks Screenにフェードしながら画面遷移させることができました。
手順3. List Screen
最後に、お手紙一覧を表示する画面を作ります。このページでは、営業所の他の仲間がどんな質問をしているのか、また、どんな回答があったかをナレッジとしてチームで共有することが目的です。
Power Appsでデータの表組みを作る場合、「ギャラリー(Gallery)」というコントロールを使います。「新しい画面」→「空」でページを追加し、名前を ListScreen にします。次に、左メニューの「+(挿入)」から 「垂直ギャラリー」 を追加してデータソースのExcelテーブルを接続します。
ギャラリーの「レイアウト」プロパティを「タイトル、サブタイトル、本文」に変更し、項目に「記入日」「氏名「お手紙」「回答」の列を割り当てて、デザインを調整します。表組データの並び順は、スクリプトで変更できます。今回は、新しいものが上に来るように、記入日の降順で表示されるように設定しました。
表組が完成したら、右上に「ページを再読み込み」ボタンと、Posting Screenに戻る「お手紙を書く」ボタンを設置します。
これで、掲示板の完成です。
たぬ蔵さんがデータソースのエクセルに回答を記入してから、お手紙一覧にデータが反映されるまでは、体感で1~3分くらいです。スタッフ約10名の営業所で、2~3週間で数件くる質問に答えるくらいなら、この仕組みで十分かと思いました。
この掲示板の運用を始めた場合、たぬ蔵さんは定期的にエクセルを開いてお手紙を確認するタスクが発生します。Power Automateで、エクセルに質問が入力されたらTeamsに通知を飛ばす機能を追加すれば、この掲示板をもっと便利に使うことができそうです。通知機能はVer.2で追加するとして、まずはVer.1をプレゼンして、たぬ蔵さんに意見を聞くことにしました。
簡易掲示板アプリVer.1をお披露目
🐟
「たぬ蔵さん、カクカクシカジカでこんなアプリを作ってみました。」
🐻
「あぁ、あの営業所で使ってるノートね。これはねぇ、回答を返信する作業が大変なんよ。いっぱい質問が来るようになるでしょ?捌ききれないねん。」
🐟
「あぁ〜... 2~3週間で数件くるくらいなら、これでいいかなと思って...」
🐻
「質問がデータに溜まっていくのはいいアイデアやね。これをデータベース化して、AIに学習させて、チャットボットみたいにしたいんやけどな、この質問集のデータを作るのがしんどくてな。」
🐟
「えぇ〜そうだったんですね。え、それ、作れるかも!」
🐻
「あぁ、そうなん?今はPoCだから、あの営業所の10人からの質問に応えればええんやけど、これから本格導入が始まったら、自動化しないとどうにもならん。このツールは、営業所内の連絡掲示板としてはええねん。ワシが欲しいのは、AIのFAQチャットボットや。」
🐟
「お、おぉ〜!予想外の回答だったけど、おもしろい〜!!」
結果:本当に必要なものがわかった
今回プロトタイプを作ってたぬ蔵さんと話をしてみたら、たぬ蔵さんが本当に欲しいと思っていたものを聞き出すことができました。
「紙の使い勝手」がいいんじゃないか、とか、「シンプルで簡単なものがいいんじゃないか」とか、いろいろ考えて迷走しましたが、自分だけで考えないで、周りの人に見てもらうのが一番勉強になります。
プロトタイプを小さく作って、早い段階で人に見せ、人の意見に振り回されながらチューニングしていくやり方は、アイデアが思わぬ方向に発展していくので面白いと思いました。
さあ、次は何に取り掛かろうかな!






