Windows 10 + PostgreSQL 10.10 に orafce を組込む

　タイトル通りにorafceを組込みたいのですが、WebからDLしたDLLでは、動いてくれない（create extension orafce;でエラー）ので自力でビルドし、実行確認までの備忘録になります。また、CMake も触ったことがないのでパスの指定が行えれば、問題ないと思ったのもあり、力業で作業を進めました。

準備するリソース

1. orafce 3.8 ここからDL
   ビルドするソースになります。

2. Binaries from installer Version 10.10 (Win x86-64) ここからDL
   orafceが使えることの確認のため、インストールせずに使える形式のものを使います。

3. icu4c-64_2-Win64-MSVC2017 ここからDL
   orafceのビルドに使用します。

4. Visual Studio Community 2019
   orafceをビルドするのに使用します。

orafceのビルド

Visual Studio 2019を起動し、プロジェクトやソリューションを開くから、「ORF_HOME\msvc\orafce.2010.sln」を開く。

ORF_HOME は、DLしたorafceを解凍したディレクトリになります。

以下、orafceのビルドで発生したエラーの内容と対応を記載します。

MSB8003 The VCToolsInstallDir property is not defined

ソリューション ⇒ プロパティ
構成 ⇒ 全般
プラットフォーム ツールセット
the build tools for windows7.1sdk
を
Visual Studio 2019 (v142)
に変更し、

ツール ⇒ ツールと機能を取得を選択
個別のコンポーネントタブを開く
MSVC v142 VS 2019 C++ X64/x86 ビルドツール（v14.22）にチェックマーク付けて追加インストールする。

ヘッダーファイルが見つからない

変数「PG_HOME」は、PostgreSQLのバイナリー版を解凍したディレクトリになります。
変数「ICU_HOME」は、ICUを解凍したディレクトリになります。

• postgres.h

ソリューションを右クリック ⇒ プロパティを選択
構成プロパティ ⇒ C/C++ ⇒ 全般の
追加のインクルードディレクトリで「PG_HOME\include\server」を設定する

• libintl.h

ソリューションを右クリック ⇒ プロパティを選択
構成プロパティ ⇒ C/C++ ⇒ 全般の
追加のインクルードディレクトリで「PG_HOME\include」を設定する

• netdb.h

ソリューションを右クリック ⇒ プロパティを選択
構成プロパティ ⇒ C/C++ ⇒ 全般の
追加のインクルードディレクトリで「PG_HOME\include\server\port\win32」を設定する

• dirent.h

ソリューションを右クリック ⇒ プロパティを選択
構成プロパティ ⇒ C/C++ ⇒ 全般の
追加のインクルードディレクトリで「PG_HOME\include\server\port\win32_msvc」を設定する

• unicode/ucol.h

ソリューションを右クリック ⇒ プロパティを選択
構成プロパティ ⇒ C/C++ ⇒ 全般の
追加のインクルードディレクトリで「ICU_HOME\include」を設定する

ライブラリが見つからない

• postgres.lib

ソリューションを右クリック ⇒ プロパティを選択
構成プロパティ ⇒ リンカー ⇒ 全般の
追加ライブラリのディレクトリで「PG_HOME\lib」を設定する

セットアップ

orafce のファイルを PostgreSQL の配下に配置する

• ORF_HOME\msvc\bin\x64\10.3\lib\orafce.dll

PG_HOME\lib\ にコピーします。

• ORF_HOME\orafce.control

PG_HOME\share\extension\ にコピーします。

• ORF_HOME\orafce--3.8.sql

PG_HOME\share\extension\ にコピーします。

PostgreSQL サーバの設定

コマンドプロンプトを開きパスを設定します。

set PG_HOME="postgresql-10.10-1-windows-x64-binariesを解凍したディレクトリ"
set PATH=%PG_HOME%\bin;%PATH%

データベースの初期化（データベースクラスタの作成）

>cd /d %PG_HOME%\bin
>initdb -D %PG_DATA%

PG_DATA は、データベースのデータを保存するディレクトリを指定します。

データベースサーバを起動

postgres -D %PG_DATA%

orafce を確認するDBを作成する

set PG_HOME="postgresql-10.10-1-windows-x64-binariesを解凍したディレクトリ"
set PATH=%PG_HOME%\bin;%PATH%
>cd /d %PG_HOME%\bin
bin>psql -h 127.0.0.1 -p 5432 -d postgres
postgres=# CREATE ROLE admin LOGIN PASSWORD 'admin';
CREATE ROLE
postgres=# CREATE DATABASE testdb OWNER admin;
CREATE DATABASE

adminユーザは必要ありませんでした。initdb で Windowsユーザのロールが作成されていた。（後で知りました）

確認

A5 で接続し、下記コマンドで確認します。

create extension orafce;
select next_day(current_date, 'saturday');