仮想環境とはそもそも何か?
1. 仮想環境とはそもそも何か?
仮想環境とは、コンピュータ内で実際のシステムから隔離された独立した環境を作成する技術です。この環境には独自の設定、依存関係、ライブラリ、アプリケーションが含まれ、メインのシステムに影響を与えることなく動作します。
仮想環境はOS全体を仮想化する仮想マシン(VM)とは異なり、軽量で特定のプロセスやアプリケーションのために専用の環境を用意することが目的です。
仮想環境とは、自分のPCの中に複数の仮のPCが入っているイメージです。
仕組み:
仮想環境は、ホストシステム上で動作するが、特定のディレクトリ内にライブラリや依存関係を管理します。これにより、同じホストシステムで動作している他のプロセスやアプリケーションとは完全に独立して動作します。
具体例:
例えば、あるアプリケーションXがPythonのversion3.1.1,numpy(Pythonライブラリ)のバージョン1.0を使用し、
別のアプリケーションYがPythonのversion3.1.2,numpyのバージョン2.0を必要としている場合、
仮想環境を使えばそれぞれのアプリケーションが異なるバージョンを使用でき、互いに干渉することがありません。
2. 仮想環境を導入するメリットは何か?
メリットは大きく3つあります
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依存関係の衝突を避ける
異なるプロジェクトが異なるバージョンのライブラリを必要とする場合、仮想環境を使うことで、それぞれのプロジェクトに専用の環境を提供できます。これにより、ライブラリのバージョンや依存関係が衝突することなく運用可能です。 -
セキュリティ
仮想環境は、メインのシステムから隔離されているため、アプリケーションやライブラリの動作がホストシステム全体に影響を与えるリスクが減少し,そして安全にパッケージの追加や変更ができます。
特に実験的なソフトウェアや、信頼性が確認できない外部ライブラリを試す場合に有用です。 -
プロジェクトの再現性,移植性:
仮想環境を使用すると、requirements.txt
やPipfile
などを使って、他の開発者が同じ環境を簡単に再現できるようになります。これにより、同じ環境で動作確認や開発を進められ、共同作業が円滑に進みます。
Pythonの仮想環境にはどんな種類があるのか?
Pythonにはいくつかの仮想環境管理ツールがあります。それぞれの特徴を簡単に紹介します。
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venv:
Pythonに標準で付属している仮想環境ツールで、軽量かつシンプルな環境を作成できます。追加のインストールが不要で、特定の依存関係がないプロジェクトに向いています.
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virtualenv:
venv
よりも高度なカスタマイズが可能なツールで、古いPythonバージョンとも互換性があります。開発者が細かく環境を設定したい場合や、多くの依存関係を持つプロジェクトに便利です。
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conda:
データサイエンスや機械学習のプロジェクトでよく使われるツールです。conda
はPythonだけでなく、Cライブラリや他の依存関係も管理でき、Anacondaディストリビューションに含まれています。NumpyやPandasなどの科学計算ライブラリが必要なプロジェクトに最適です。
Anaconda パッケージリポジトリが「大規模な」組織では有償となっていた
しかし上記の記事のような背景があるので,今から新しくPythonの導入を考える方は - Miniconda + conda forge
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Docker
のどちらかで環境構築をすることをお勧めします.
(Dockerはコンテナ型仮想化と呼ばれるソフトウェアなので,ここに載せるのは少し違うかもしれませんが,本筋とずれるので,一旦説明は割愛します.)
尚,Miniconda + conda forge のインストール方法は以下の記事を参照してください.
ガチ初心者のためのPythonチュートリアル ~AI・データサイエンティストへの第一歩~