生成AIを毎日のように使っていても、ことばの意味をコンピュータがどう扱っているのかを聞かれると、うまく答えられない。仕組みが曖昧なままだと、出力が変なときに原因を考える手がかりがなく、プロンプトの調整が当てずっぽうになる。『ことばの意味を計算するしくみ 計算言語学と自然言語処理の基礎』は、ことばの意味を計算する2つのアプローチを、土台から順に追える本だ。
文の容認可能性という問いから入る
第1部は、はじめにとして文の容認可能性を取り上げ、続けてことばの分析から解析への流れを説明する。いきなり式が並ぶのではなく、ことばとは何を計算する対象なのかを先に考えさせる順番になっている。
計算言語学の考え方を、一章ずつ積み上げる
第2部は、形式統語論と形式意味論の考え方から始まる。意味論の準備として集合論と記号論理学の章があり、そのあと含意関係の計算、組合せ範疇文法に基づく意味合成、イベント意味論と推論、談話意味論へと進む。数学の準備を飛ばさずに入れているので、論理の知識に自信がなくてもついていきやすい。
読んでおきたい理由
- 形式意味論の章を読むと、意味を式として書き表す発想がつかめる
- 集合論と記号論理学の準備章が、論文や技術記事に出てくる記法を読むときの足場になる
- 含意関係の計算を知っておくと、自然言語推論のタスクを考えるときの見通しがよくなる
- 統語・意味・談話と層を分けて見る視点が、言語処理の問題を切り分けるときに使える
- 計算言語学と統計的な言語処理の両方に触れるので、生成AIの話を歴史の流れの中で捉えられる
まとめ
生成AIの仕組みを、ことばそのものの側から見直すと、使い方の判断にも芯が通る。まずは第1章と第2章を読んで、ことばの意味を計算するとはどういうことかを自分の言葉で書き出してみてほしい。