オンプレのシステムをそのままクラウドに持ち上げた。動いてはいるけれど、コストは思ったより下がらないし、スケーラビリティも活かせていない気がする。そのまま「移行しただけ」の状態で放置すると、クラウドを使っている割高感だけが積み上がっていく。『クラウドネイティブ・アーキテクチャ』は、その先にある設計の話をしてくれる本だった。
「移行」の先にある成熟度を言語化してくれる
本書はクラウド活用の段階を3つの成熟度モデルで整理するところから始まる。単純にサーバを持ち上げただけの状態から、クラウドの機能を使いこなす状態、そしてクラウドネイティブな設計に至る状態まで、自分たちのシステムが今どこにいるのかを客観的に位置づけられるようになっている。技術の話だけでなく、組織やビジネスとの関係にも触れているのが実務的だった。
マイクロサービスとサーバーレスへの移行パターンが具体的
移行パターン、マイクロサービス、サーバーレスアーキテクチャを扱う章は、理想論で終わらせず、既存システムからどう段階的に移行していくかの具体的な道筋を示している。いきなり全部作り直すのではなく、どこから手をつけるべきかの判断材料になった。
読んでよかったポイント
- 3つの成熟度モデルを読んでから、自分たちのシステムが「移行しただけ」の段階にとどまっていることを客観的に説明できるようになった
- 移行パターンの章が、既存システムを段階的にクラウドネイティブへ寄せていく現実的な計画を立てる助けになった
- マイクロサービスの章を読んでから、どの機能から切り出すべきかの優先順位をつけられるようになった
- サーバーレスアーキテクチャの章が、コスト最適化の議論をするときの具体的な選択肢を増やしてくれた
- 技術だけでなく組織との関係にも触れていて、クラウド活用の話を経営層やビジネス側に説明するときの言葉を持てた
さらに広げて読むなら
アーキテクチャ設計そのものの土台をもう一度固めたいなら、アーキテクチャを雰囲気で選びたくない人へ。モノリスからマイクロサービスまで比較できる土台本も合わせて読むと、設計判断の軸がより明確になる。
まとめ
クラウド移行はゴールではなく、そこからが本番だ。次にコストやスケーラビリティの話が出たときは、この本の成熟度モデルに自分たちのシステムを当てはめてみるところから始めてみてほしい。