プロジェクトごとに進め方がバラバラで、毎回ドキュメントの粒度や設計の進め方を一から決め直している。そのまま放っておくと、新しく入ったメンバーが迷子になるし、レビューの基準も属人化していく。『システム開発をより速く確実に 本当に使える開発プロセス 改訂版』は、その「毎回ゼロから考える」状態から抜け出す土台をくれる本だった。
企画から運用まで、プロセスとして繋げて考える
本書は開発プロジェクトのライフサイクルを、企画フェーズでの要件・アーキテクチャの見極めから、詳細設計、テスト、ツール選定まで一本の流れとして扱っている。個別の技法の寄せ集めではなく、「システム開発の進め方」そのものを一つのプロセスとして設計し直す視点が一貫している。
クラウド時代に合わせて厚くなった技術要求の章
改訂版で新設された章では、非機能要件と技術リスクの分析に踏み込んでいて、クラウド前提でのアーキテクチャ設計をどう進めるかが具体的に書かれている。オンプレ時代の常識のままクラウド案件を進めてしまっている現場には、特に刺さる内容だと思う。
読んでよかったポイント
- 設計書のサンプルが実プロジェクトの粒度に近く、そのまま自社のテンプレート見直しに使えそうだった
- 要件定義と設計の境目で毎回揉めていた部分に、判断の拠り所となる考え方が示されていた
- 非機能要件を後回しにしがちな癖に気づかされ、企画段階でのチェックリストが増えた
- ツール選定の章は、流行りで選ぶのではなくプロジェクト特性から逆算する視点が新鮮だった
- クラウド案件特有のリスク分析が、既存プロジェクトの振り返りにもそのまま使える内容だった
まとめ
開発プロセスは「なんとなく回っている」状態のままだと、規模が大きくなるほどほころびが出やすい。次のプロジェクトのキックオフ前に、この本の目次を叩き台にして自分たちの進め方を棚卸ししてみてほしい。