はじめに
kintone AIのSEである筆者が、お客様とのヒアリングなどから得た気づきをもとに本記事を執筆しています。
2026年4月22日に、kintone AI機能の正式化について発表されました。
2026年6月から正式提供が開始されることを受け、kintone AIの活用例を紹介します。
内容としては、業種問わず利用が見込まれる、問合せ管理からFAQを生成し、チャットボット化して、問合せ業務を省力化しようというものになります。
そもそも問合せ前の準備でFAQを作るとなっても、なかなか想像だけでは充実したFAQにはなりにくいものです。最近は、FAQ準備も生成AIに作らせたりしている方も多いと思うのですが、思いがけない質問が現場では発生したりします。
そのため、実際の質疑をベースにしたFAQを、kintone AI機能で支援しながら育てていこうという流れです。
本記事の流れを簡単に説明します。
- kintone AI機能の有効化
- 問合せ管理アプリを作る(アプリ作成AI)
- FAQアプリを作る(アプリ作成AI)
- 問合せ運用開始
- 問合せ結果からFAQを作る(レコード一覧分析AI)
- FAQアプリから、問合せチャットを作る(検索AI)
対象読者・前提条件
- kintoneの管理者権限を持っている方
- kintone AIが利用可能なプラン・契約である方
- kintoneの基本操作(アプリ作成・レコード追加)を把握している方
kintone AI機能の有効化
kintone AI機能は、管理者によって、利用するかしないかを選択することができますので、利用するためには、まず有効化を行う必要があります。
今回のケースでは、kintone AI全体の有効化と利用する機能、つまり、レコード一覧分析AI、検索AI、アプリ作成AIを有効にしてください。
操作方法の不明点は、kintone AIの有効化と利用する機能の選択を参照してください。
問合せ管理アプリを作る
これからアプリを作りますが、あとから簡単に変更できるので、事前設計をガッチリやる必要はありません。
せっかくですから、ここもアプリ作成AIで、やってみましょう!
操作方法の不明点は、アプリ作成AIの使いかたを参照してください。
プロンプト例
どのように管理したいのかを説明するプロンプトにしてみました。ご存知の通り生成AIは完全な再現性はないので、皆さんの手元で同じアプリができるとは限りませんが、少なくとも、質問と回答欄を備えたアプリが作れると思います。
慣れている方は、AIに頼らず、ドラッグ&ドロップで「シュシュっと」作っても構いませんし、レイアウトは使いやすいように自由に変更してください。
あなたは、kintoneアプリ開発のスペシャリストです。
問合せ管理アプリを作ってください。
誰がいつ質問したか、誰がいつ回答したか分かるようにしてください
ドロップダウンでFAQを確認したかどうかフラグ管理できるようにしてください
生成結果をフォームに反映
チャットでの回答の下部に「この内容をフォームに反映」というボタンがあるのでクリックすると、kintoneのフォーム画面に反映されます。よく見ると、アプリ名も「問合せ管理」に変更されてますね。「アプリを公開」ボタンをクリックして、アプリ作成を完了させておいてください。
FAQアプリを作る
FAQアプリも作っておきましょう。操作方法は、先ほどと同じです。
「アプリを公開」をクリックして、アプリ作成を完了させるのを忘れないようにしてください。
プロンプト例
あなたは、kintoneアプリ開発のスペシャリストです。
FAQアプリを作ってください。
管理のために、タイトルが必要になります。
あとは、問合せと回答、作成日と改修日も欲しいです。
問合せ運用開始
設計の山田さんから問合せレコードが追加されたとします。これに対して、回答を記載します。
このとき、回答者の総務の田中さんは、”FAQ確認済み”フィールドを設定します。
まだ、FAQは1つも作ってないので、『該当なし』になるはずです。
操作方法の不明点は、レコードを追加するを参照してください。
問合せ結果からFAQを作る
運用を続けると、問合せ内容と回答内容が記載されたレコードが溜まってきますので、FAQを作りましょう。
ここでは、翌日に前日分をまとめて処理する運用を想定し、昨日の問合せのうち、FAQにない問合せを元にFAQ情報を作ります。
そのため、昨日の かつ FAQになかったもの だけを表示する、レコード一覧を作っておきます。
昨日のFAQになかったものだけの一覧を作る
このあとの分析対象となるフィールドは表示する必要があるので、「問合せ内容」、「回答内容」の2つは必須となります。人間側の分かりやすさとのバランスになりますが、生成AIのコンテキストとして必要ないものは、なるべく表示しないようにしましょう。
「絞り込み」は、”回答日時”、”=(等しい)”、”前日”を選択すると、回答が昨日のものという条件になります。
操作方法の不明点は、一覧を追加するを参照してください。
レコード一覧分析AIでFAQ作成
上記で作成したレコード一覧を表示し、「レコードを分析」ボタンをクリックします。
事前設定されたボタンもありますが、下部のプロンプト欄にCSV生成を指示します。
操作方法の不明点は、質問文や指示を自分で入力してレコードを分析するを参照してください。
あなたはデータ整理のスペシャリストです。
問合せ内容と回答内容を確認し、重複のないFAQを作成してください。
フォーマットは、CSVで、タイトル、問合せ、回答の3カラムです。
CSV以外の情報は回答しないでください。
以下は実行結果になります。
回答が生成されたら、「回答をコピー」をクリックすると、下記のように、Markdownのコードブロック形式でFAQ情報が取得できます。
```csv
タイトル,問合せ,回答
社用車の予約方法と鍵の受け渡し,社用車を利用したいのですが、予約方法と鍵の受け渡しについて教えてください。,"予約方法:社内スケジューラー(グループウェア)の「設備予約」から「社用車A~C」の空き状況を確認し、利用する時間帯を予約してください。鍵の受け渡し:当日出発前に、総務部窓口までお越しください。「社用車利用記録簿」に記入いただいた後、鍵とETCカードをお渡しします。返却時:帰社後、ガソリンメーターの状況と走行距離を記録簿に記入し、鍵と一緒に総務部へご返却をお願いいたします。"
空調の調整依頼,フロアの窓側の席周辺の空調が効きづらいのですが、温度を下げるか風量の調節をお願いすることは可能でしょうか?,全館空調のシステム上、フロア全体の温度設定を大きく下げることは難しいですが、窓側のエリアについては個別で風向と風量の調整を行います。総務の担当者が確認に伺いますので、その際に詳しい場所をお知らせください。改善されない場合は、サーキュレーターの貸し出しも可能です。
サブモニター導入の申請手順,作業効率化のためサブモニター(デュアルモニター)を導入したいのですが、申請手順と必要な書類を教えてください。,"社内ポータルの「各種申請」>「IT・備品関連」から「備品購入申請フォーム」を開き、必要事項(希望するモニターのスペック、用途など)を記入してください。フォーム上で所属部門長の承認ルートを設定し、提出してください。決裁が完了し次第、総務部にて発注手配を行います。通常、発注から納品まで1週間程度かかります。"
```
先頭の ```csv と末尾の ``` を除いた本文部分を、拡張子 .csv のファイルとして保存してください。
FAQアプリにCSVファイルを読み込む
FAQアプリを開き、右上のメニューから「ファイルから読み込む」を選択します。
操作方法の不明点は、ファイル読み込みの手順(新方式)を参照してください。
先ほど保存したCSVファイルを選択し、文字コード、読み込み時の処理の指定を行い、「読み込む」をクリックして、インポートを実行します。
成功すれば、下図のようにレコードが表示されます。
FAQアプリから、問合せチャットを作る
次は、FAQアプリを使って検索AIを作ります。
検索AIの設定画面となります。検索AIの名前や、説明、回答生成に使用するデータソースを指定します。
操作方法の不明点は、検索AIを作成するを参照してください。
「フィールドを選択」は、「タイトル」と「問合せ」と「回答」を使いましょう。
これが、検索の対象であり、回答に使えるコンテキストでもあります。
「システムプロンプト」は、必ずしも設定は必要ないです。生成AIを混乱させるような指示を出すと、逆に誤答を生み出しかねないので、最初は空で試してもらっても良いです。
今回は、以下のようにしてみました。
用途に応じて回答フォーマット指定するのが主な使い方になると思います。
あなたは社内の問合せ対応アシスタントです。
## ルール
- 回答は**与えられたコンテキストのみ**を使用すること。外部知識は使わない。
- 回答の末尾に、参照したFAQのタイトルを必ず記載すること。
- 該当するコンテキストがない場合は、以下のメッセージのみを返すこと。
> FAQに情報が見つかりません。お手数ですが、問合せ管理アプリよりご連絡ください。
## 回答フォーマット
回答は以下の構成で、見やすく記述すること。
軽い挨拶から始めて、最初に状況や結論を1〜2文で簡潔に述べる。
**対応方法**(ある場合のみ記載)
- 箇条書きで具体的な対応策を記載する
- 複数ある場合は番号付きリストを使う
**⚠️ 注意事項**(ある場合のみ記載)
注意点があれば箇条書きで記載する。
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📎 参考FAQ:{FAQタイトル}
作成ができたら、早速使ってみましょう!結果は、以下のとおりです。
操作方法の不明点は、検索AIを開くを参照してください。
最後に
今回は、アプリ作成AIでアプリを作って情報を蓄積し、蓄積した情報を、レコード一覧分析AIでFAQデータに昇華させ、検索AIでチャットボットを提供し、有効に活用するという運用を説明しました。
アプリフォームやレイアウトの改善余地は、まだまだありますし、レコード一覧も、問合せ分析用の一覧とかも作りたくなってきます。検索AIのチャット回答のフォーマットも、もっと絵文字とか入れても楽しそうです。
応用点はいろいろあるので、皆様好みに改造頂ければと思います。









