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FlutterからXcodeへ環境変数を渡す

Last updated at Posted at 2020-12-28

概要

FlutterでiOSアプリをビルドする際には、本番環境と開発環境でGoogleService-info.plistBundle Identifierの切り替えが必要となるケースが多いと思います。
この切替には複数のSchemeを用意する方法、Flavorを使う方法、ビルド時の--release--debugを使って切り分ける方法がありますが、Flutter 1.17からビルド引数の--dart-defineで定数を渡せるようになりました。今回はこのビルド変数の渡し方を説明します。

Android編はこちら

前提

  • Flutterのサンプルプロジェクトを作成しシミュレーターで実行できる
  • Flutter 1.20以降

環境

$ flutter doctor
Doctor summary (to see all details, run flutter doctor -v):
[✓] Flutter (Channel stable, 1.22.4, on Mac OS X 10.15.7 19H2 darwin-x64, locale en-JP)
[✓] Android toolchain - develop for Android devices (Android SDK version 30.0.0)
[✓] Xcode - develop for iOS and macOS (Xcode 12.1)
[✓] Android Studio (version 4.1)
[✓] Connected device (1 available)      

サンプルコード

前半の設定

前半では、FlutterからXcodeへ変数を渡し確認してみます。

Flutterプロジェクトの用意

既存のプロジェクトでも、新規にプロジェクトを作成しても問題ありません。
一度ビルドして、シミュレーター上で実行できることを確認しておいてください。

Xcodeの設定

Android StudioのProject Windowから下記の[project]/iosを右クリックしFlutter内のOpen iOS module in Xcodeをクリックします。すると該当ProjectのXcodeが開きます。
Screen_Shot_2020-12-29_at_8_30_13.png

XcodeメニューのProduct>Scheme>Edit Schemeをクリックします。
Screen_Shot_2020-12-28_at_10_29_16.png

開いたウィンドウのBuild>Pre-actionsを開き、Provide build setting fromを設定し、画面下部の+を押してNew Run Script Actionを追加します。
Runner_xcworkspace.png

以下のスクリプトを追加します。urldecode()を挟むことで、文字列がURLデコードされ見やすくなります。${PROJECT_DIR}はFlutterのiosディレクトリです。$DART_DEFINESはFlutterからXcodeに渡される定数です。
そして、このスクリプトが実行されると[project]/ios/prebuild.logが自動的に生成され、その中にFlutterから渡したビルド引数が書き込まれます。

function urldecode() { : "${*//+/ }"; echo "${_//%/\\x}"; }

exec > ${PROJECT_DIR}/prebuild.log 2>&1
echo $(urldecode "$DART_DEFINES")

Flutterの設定

Flutter側はビルド時に指定します。

flutter build ios --dart-define=DEFINE_HELLO=world --dart-define=DEFINE_FOO=bar

Android Studio を使っている場合Run/Debug Configurationsにて設定可能です。
Run_Debug_Configurations.png

前半の動作確認

Flutterをビルドすると[project]/ios/prebuild.logが出力されていると思いますので確認してみてください。以下のように出力されていれば、ここまでは成功です。

DEFINE_HELLO=world,DEFINE_FOO=bar

後半の設定

後半では、実際にXcodeへ渡した変数の値をFlutter上で確認してみます。

Xcodeの設定

Flutterから渡された変数をXcode上で扱えるように設定していきます。
まずFlutterから渡された変数のデフォルト値を作成します。

※ このデフォルト値の設定について、私は必要性を理解できませんでした。参照元のDenisさんの記事では以下のようにだけ書かれています。もしかすると、複数人で開発をしたとき、うっかりビルド引数を指定することを忘れるとエラーとなってしまうのを避けるためかもしれません。

Consider putting Defineexample.xcconfig after Defineexample-defaults.xcconfig, so values from Flutter Run command could override default values.

XcodeのFlutterディレクトリで右クリックしNew Fileを追加します。
Screen_Shot_2020-12-28_at_13_17_35.png
Configuration Settings Fileを選択しTargetsにチェックを入れ、DartDefineDefaults.xcconfigという名前でFlutterディレクトリに保存します。(名称は何でも大丈夫です)
Save_and_Runner_xcworkspace.png

次に作成したDartDefineDefaults.xcconfigを開きデフォルト値を設定します。
DartDefineDefaults_xcconfig.png

その後Debug.xcconfigRelease.xcconfigに、先程つくったDartDefineDefaults.xcconfigと、このあと設定するDartDefine.xcconfigincludeする設定を追加していきます。
Debug_xcconfig.png

このときDartDefineDefaults.xcconfigが先に読み込まれ、その後にDartDefine.xcconfig(後のスクリプトで自動生成される)が読み込まれるようにしてください。こうすることで、例えば先にDEFINE_FOO=barが定義され、後からDEFINE_FOO=hogeが定義された場合、後からの値で上書きすることができます。後からの値が定義されていなければ、デフォルト値のみが定義されるという仕組みです。

次にPre-actionsの中身を変えていきましょう。
Release_xcconfig.png

このような形にスクリプトを修正します。Denisさんの元記事ではビルド引数のPrefixでgrepし、特定の引数のみを読み込むように工夫されています) [2020/12/31 下記に修正]
工夫されていますではなく、対応したほうが良さそうです。
下の例のように定数のPrefixでgrepするのが良さそうです。これをやらないとdefine_items[@]の中にはflutter.inspector.structuredErrors=trueなどが入ってきます。これが原因なのかは定かではありませんが、意図しない値がDartDefine.xcconfigに書き込まれることで、うまくコンパイルできないケースがありました。(実際には落ちずに中途半端な形でコンパイルが通ってしまい、原因を特定するのにすごく時間がかかりました。)

function urldecode() { : "${*//+/ }"; echo "${_//%/\\x}"; }

#exec > ${PROJECT_DIR}/prebuild.log 2>&1
#echo $(urldecode "$DART_DEFINES")

IFS=',' read -r -a define_items <<< "$DART_DEFINES"

for index in "${!define_items[@]}"
do
    define_items[$index]=$(urldecode "${define_items[$index]}");
done

#printf "%s\n" "${define_items[@]}" > ${SRCROOT}/Flutter/DartDefine.xcconfig
printf "%s\n" "${define_items[@]}"|grep '^DEFINE_' > ${SRCROOT}/Flutter/DartDefine.xcconfig

Xcodeの設定の最後にBundle nameBundle identiferに定義した変数が反映するよう修正します。
Runner_xcodeproj.png
これでXcode側の設定は完了です。

Flutterの設定

基本的には、下記のサンプルコードを参考にしてもらえれば大丈夫なはずです。
https://github.com/yana1316/flutter_define

pubspec.yamlに追記します。

dependencies:
  flutter:
    sdk: flutter
  cupertino_icons: ^1.0.0
  package_info: ^0.4.3+2 # 追加

あとはmain.dartでパッケージ名を表示させます。

Text(
  'Package Name',
  style: Theme.of(context).textTheme.headline5,
),
FutureBuilder<PackageInfo>(
    future: PackageInfo.fromPlatform(),
    builder: (context, value) {
      if (!value.hasData) {
        return Container();
      }
      return Text(
        value.data.packageName,
        style: Theme.of(context).textTheme.headline6,
      );
    }
),

後半の動作確認

うまく行けば、アプリの名前の後ろに指定した値(DEFINE_FOO=barとしたならbar)が付き、画面上ではパッケージ名の後ろに値がついていると思います。
iPhone_SE_–2nd_generation–_14_3.png

参考

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