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最近、「AIがコードを書くようになって、エンジニアの仕事はこの先どうなるんだ」みたいな話が、Xを見ているとほぼ毎日流れてきます。

そんな中で、ここ1年くらいで急に見かけるようになった職種があります。FDE(Forward Deployed Engineer)です。OpenAIもAnthropicもGoogleも採用していて、日本でもソフトバンクやマネーフォワードが募集を始めています。

調べたり考えたりしているうちに「これ、AI時代のエンジニアのキャリアとしてガチめにこれに進むべきなんじゃないか」と思うようになったので、今日はその話をします。(僕の個人的な見解多めです)

この記事の対象者

  • FDEという言葉を最近見かけて気になっている
  • AI時代のエンジニアのキャリアに漠然と不安がある
  • これからエンジニアを目指すので「目指す先」のイメージが欲しい
  • 「それSESと何が違うの?」と思っている

FDEとは何か

FDEは、自社のプロダクトやAIを、顧客の現場に入り込んで「動く形」にして納めるエンジニアです。Forward Deployed=前線配備という名前のとおり、本社で製品を作るのではなく、顧客側に入って仕事をします。

もともとはPalantirというデータ分析企業が作った職種です。「製品を渡しただけでは顧客は使いこなせない」ので、エンジニアを顧客企業に送り込んで、業務を理解した上でその会社用の実装まで一気にやってしまう。これがFDEの原型です。

仕事の中身をざっくり並べると、こうです。

  • 顧客の業務を聞いて、課題を特定する
  • 自社プロダクト(今だとLLMやAIエージェント)をその業務に組み込む
  • 動くものを実際に作って、現場に定着するまで面倒を見る

「コンサルと開発エンジニア足して2で割らないぐらいの人材」くらいのイメージじゃないでしょうか。

なんで今、FDEが増えているのか

理由はシンプルで、AIの導入が「モデルの性能」ではなく「現場への組み込み」で詰まっているからです。

2025年に「企業の生成AI導入プロジェクトの95%が成果につながっていない」というMITの調査が話題になりましたが、失敗の原因はモデルが弱いからではなく、現場の業務に落とし込む部分が壊れているからでした。そこを埋める職種として、FDEの需要が一気に伸びています。海外では2025年の1月から9月だけで求人が8倍以上に増えたというデータもあります。

OpenAIとAnthropicがそれぞれFDEのチームを作り、Googleも顧客のオフィスに入って本番のAIコードを書くFDEを大量採用中です。元祖のPalantirも業績は好調で、この「現場に入り込むモデル」が成果を出している証明になっています。報酬水準も高めで、PalantirのFDSE(Forward Deployed Software Engineer)で総報酬の中央値が約$215K、AI企業のシニアクラスはさらに上です。

そして、これは海外だけの話ではないようです。日本でも、ソフトバンクとOpenAIの合弁であるSB OAI JapanがFDEを募集していて、セールスフォース・ジャパンは日本初のFDEチームを立ち上げ。マネーフォワードやLayerXのような国内企業もFDE職を作り始めていて、FindyにFDE求人の特集ページができるくらいには広がってきています。

SESと何が違うのか?

ぶっちゃけエンジニアが最初に思うのは、たぶんこれだと思うんです。「客先に常駐して開発する」とだけ聞くと、SESと同じに見えます。僕は新卒でSESの会社に入って客先で開発をしてきたので、同じこと思いました。

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一番の違いは何を売っているかです。SESが売っているのは労働力(人月)です。顧客の指示で手を動かすことが契約の中身なので、極端な話、成果が出なくても稼働していれば売上になります。FDEが売っているのは「自社プロダクトが顧客の現場で成果を出すこと」です。導入がうまくいかなければ自社製品ごと解約されるので、背負っているものが違います。

もうひとつが自社へのフィードバックループです。FDEは現場で見つけた課題を自社へフィードバックする役割を持っています。「一番顧客に近い場所にいるプロダクトエンジニア」であって、貸し出された労働力ではない、ということです。
※もちろん機密情報を持ち帰ったりするのはダメです。

ただ正直、日本で求人が増えてくると「SESの案件名をFDEに呼び替えただけ」みたいなものも混ざってきそうな気はしています(僕の個人的な予想です)。求人を見るときは「自社プロダクトがあるか」「自社の知見やノウハウを活かした構図か」「定期的にフィードバック機会を設けているか」などを確認するのがいいと思います。

AI時代のキャリアとしてアリだと思う理由

僕が普段から言っていることなんですが、これからのエンジニアは「コードを書く力」より「コードを理解して立ち回る力」が価値になってきそうです。

コードを書く作業はAIがどんどん巻き取っています。単純に生成・支持されたタスクをこなす速度は人間を遥かに超えてるのでその方が効率的です。僕自身、PMをやりながらClaude CodeやCodexと一緒に開発していますが、自分の手で「書く」部分の比重は年々下がっています。じゃあ何が残るかというと、

  • 的確にAIに指示を出す、抽象的でなく具体的な指揮力
  • 顧客の業務から「何を作るべきか」を特定する力
  • AIが出したものを読んで、正しいか判断して、直す力
  • 作ったものを現場に定着させる力

で、これFDEの仕事内容そのままなんですよね。FDEは「AIに代替されにくい仕事だけを集めた職種」と言ってもいいくらいで、AIから逃げるためのキャリアとかじゃなく、むしろAI活用の最前線に立つキャリアな感じがします(単純に上流、湧きどころに向いた感じ)。

あと個人的に大きいと思うのが、経験の幅がそのまま資産になることです。1社の1プロダクトをずっと触るのではなく、顧客ごとに業務もドメインも変わる。「いろんな現場で動くものを作って定着させてきた」という経験は、その後プロダクト側に回るにも、独立するにも効いてきます。

じゃあ、何を準備するか

国内外のFDE求人で求められているスキルを洗い出して見るとだいたい共通していて、次の3つがありました。

  1. フルスタックに動くものを作れる開発力(PythonやTypeScriptで一通り)
  2. LLM API・RAG・AIエージェントの実装経験
  3. 顧客と直接話して課題を特定するコミュニケーション
  4. フィールドに対する客観的な想定力・論理的思考力

1が土台で、2は後からでも乗せられます。3,4は場数です。

今すでにエンジニアの人なら、2を埋めるのが一番手っ取り早いです。LLMのAPIを使って、自分の業務(か身近な誰かの業務)をひとつ自動化してみる。RAGも小さく作ってみると仕組みが分かります。「AIを業務に組み込んで、実際に人に使ってもらった」経験が1つあるだけで、話せることの具体性がまったく変わります。

もしくは4を磨くのもありです。現在の仕事に対してネックな部分とか改善できそうなことから考えてみて練習するのがいいでしょう。

これからエンジニアを目指す人は、まず普通に開発の基礎からで大丈夫です。未経験からいきなりFDEになれるかというと…あんまりお勧めしません。フルスタックの開発力が前提の職種(開発に携わった経験値前提の職種)なので、順番としては「開発できるようになる→AI実装を経験する→FDE」です。ここは正直遠回りをしてでも堅くルート取りするべきだと思います。

向いていない人もいる

全員にFDEを勧めるかというと、そうでもないです。

人と話すより技術を深掘りたい人には向かないです。FDEは業務のかなりの割合が「人と話すこと」なので、研究寄り・基盤寄りの道に進みたい人が無理に寄せる必要はないです。そっちの道も普通に残ります。

あと、顧客先への常駐や出社が前提の求人が多いです。フルリモートの募集もありますが、現場に入り込んでこその職種なのは変わらないので、働き方として合わない人もいると思います。

「FDEだけが正解」という話ではなく、「AIでエンジニアのキャリアが不安」と感じている人にとって、目指す先の選択肢が一個増えた、くらいに受け取ってもらえたらと思います。

まとめ

  • FDEは「自社プロダクトやAIを顧客の現場で動く形にする」エンジニア。Palantir発祥で、OpenAI・Anthropic・Googleも採用中
  • 伸びている理由は、AI導入のボトルネックがモデルの性能ではなく「現場への組み込み」だから
  • SESとの違いは「人月を売るか、導入の成果を売るか」と「自社製品へのフィードバックループの有無」
  • AIがコードを書く時代に残る「課題の特定・判断・定着」がそのまま仕事になっているので、キャリアとしてかなりアリ
  • 準備の順番は「フルスタックの開発力→LLM/RAG/エージェントの実装→顧客と話す場数」

僕自身、もし次にどこかへ転職するならFDEは確実に候補に入れると思います(今はPMと自分の事業があるのでしませんが)。まずはLLMのAPIで身近な業務をひとつ自動化して、誰かに使ってもらうところから始めてみてください。

自己紹介

現在、8年目になるエンジニア兼PMやってるやむぅ。です!普段はフリーランスエンジニアとして、8人の開発チームのPM(プロジェクトマネージャー)をしたり、AIゲームコーチングサービス『Repl-AI』などの「個人サービス運営」「個人的なエンジニアサポート」この三つを主軸に活動しています。

  • エンジニア歴: 8年目(上流の設計から下流の実装・テストまで全部やってます)
  • 得意な技術: Java, TypeScript, Next.js, Python, Go, Cursor, Claude code など
  • 個人運営スクール: 個人開発や転職にコミットするプログラミングスクール「Programing Factory - ProFact」運営
  • 個人開発したサービス運営: WebニュースのAI分析サービス/Twitchクリップの検索・シェアサイト/Meta社のThreads分析・投稿予約ツール/ゲームプレイのAIコーチングサービス

僕がやっているProFactでは、今回話したFDEの土台になる「AIと一緒に開発する前提の実務スキル」と、現役エンジニアの経験から話せる「現場での立ち回り」を、手を動かしながら学べます。気になった方はのぞいてみてください。

※副業、Web制作を目指している方はお力になれません…ご了承ください。

参考:

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