はじめに
ふりかえりは、アジャイル/スクラムやプロジェクトマネジメントなどでよく利用される重要な活動です。ただ、それだけに限定されずいろいろなシーンで活用できるもので、チームやプロジェクトの過去の結果をもとに学びをえて、改善につなげるプロセスです。
数多くのふりかえり手法があると思いますが、KPTやKPTAなどを毎回実施しているチームもあるかと思います。
私自身も、KPT自体は嫌いではなくどちらかというと好きではあるのですが、他のふりかえり手法も試してみると新たな気づきが得られると思います。
ということで、個人的に重要だと思うデータ収集のステップをスムーズに行える手法をいくつか共有します。
ふりかえりの流れ
アジャイルレトロスペクティブズ(書籍)には、ふりかえりの流れについて以下のように記載されています。
- 場を設定する
- データを収集する
- アイディアを出す
- 何をすべきか決定する
- レトロスペクティブを終了する
普段ふりかえりをしていると、そういえばこのスプリントって何をしてたっけ?でもよかったこと、悪かったことなどを書き出さないと!というような気持ちになることがあると思います。
そのため、データを収集するというステップは、ふりかえりをリラックスして行うためにも重要だと感じています。
今回は、このデータ収集プロセスが(個人的に)比較的ストレスなく実施できるふりかえり手法を紹介します。
YWT
「Y:やったこと」「W:わかったこと」「T:次にやること」という軸で次につながるアクションを決めていくというふりかえり手法です。
まず、はじめに「Y:やったこと」を思い出しふせんに書くことから始まるため、ストレスなくデータ収集を行うことができます。画像の例だと、「懇親会」「LiveShareを実施」などシンプルにやったことを記載しています。
また、やったこと、分かったことをベースに次にやることを考えるという性質上、悪かったことだけではなくよかった取り組みからも次のアクションが生まれやすいという点も個人的には良い点だと思います。

MAD SAD GLAD
各メンバーが感じた「MAD:いらいらや不満」「SAD:悲しかったこと」「GLAD:うれしかったこと、喜び」という感情をもとにしたふりかえり手法です。
こちらも、感情という切り口でその期間のことを思い出すことに集中できること、単純に実施したことだけではなく自身または他者の感情に向き合うきっかけづくりという点でもおすすめです。
MADの例:手動のテスト配信めんどう。PC重すぎる

タイムライン(Timeline)
期間中にあったことをタイムライン上に時系列で書き出す(精度は重視しない)ことで、その期間を思い出してふりかえろうというものです。このふりかえりでは出来事はもちろん、感情的な部分にも着目するため、YWTとMadSadGladの要素が混ざっているような印象を持っています。また、長期間をふりかえるときによく利用される手法でもあります。
実際に、1年をふりかえるときに利用してみました。プロジェクトに関することだけでなく、プライベートなことも含めた出来事とその時の感情を合わせて見える化することで、モチベーションややる気が上がったタイミングが各個人ごとに異なることもわかり面白かったです。
画像の例は、一番下がタイムライン上にプロジェクト内/プロジェクト外での出来事を記載し、真ん中がその時の各個人のモチベーショングラフです。そして、一番上がそれらを材料にKeep/Problemを書き出したものになっています。
さいごに
ふりかえりに正解はないと思いますが、いつも同じふりかえりをしていてマンネリ化している場合などは、Qiitaの他の記事や書籍など先人たちの知恵などを参考にいつもとは違うふりかえりをしてみるのも良さそうです。過去実施してきた中で、メンバーの評判が良かった手法の共通点がデータ収集プロセスにあると思い、参考として共有させていただきました。また、おすすめのふりかえりがあれば教えていただけると嬉しいです!