最近自作 PC にハマったため、勢いで様々調査したものをここにまとめます。
自分用のメモなので見にくいかもしれませんがご容赦ください。
※ ハマったというのは文字通りの意味です。CPU 簡易水冷クーラーから異音が出たり電源からコイル泣きと思われる異音が出たりファンから高周波ノイズが出たり…音の問題ばっかりじゃないか。
CPU の選択
Q1: CPU 種類の選択
正直な話、AMD Ryzen シリーズ一択だと考えます。
一部プロセッサは値上がりの動きもあるようですが、買えるものを買いましょう。この手のものを買うとき、安くなるのを待つのはやめたほうが得策です。それやるとずっと買えないです。
Intel の場合、第 2 世代 Core Ultra 2xx (第 1 世代はノート用しか出ませんでした) は第 14 世代 Core i と比較し HT を廃止してゲーム性能が激しくダウン、その代わり TDP はちょっとだけ抑えたという状況で、なんとなく消費電力下げたら性能が思った以上に退化してしまった印象です。
じゃぁ第 14 世代 Core i なら良いのかというと、これも第 13 世代を誤差の程度に性能向上させ公式オーバークロックした程度といった状況で、Core i7 だけは E コアが増えているものの、いまいち進化している感がありません。しかも第 12 世代と比較するとどちらも電力消費が激しく、電圧上げて無理やりクロック数高めただけ、といった感じです。
こういった内容の動画もあるわけで、正直第 12 世代以降の Intel CPU、どれも変わらないと思っています。
さらには、第 13~14 世代で問題になっている CPU 破損問題が Intel に対する不信感に拍車をかけています。一応対策はされているものの、買えるなら 12 世代が実は最良なんではないでしょうか。(12 世代は大丈夫だよなぁ…多分) ですが実際には新品での購入手段が無さそうなので、結果的に Core Ultra 2xx しか選択肢ない気がしますね。
この過程を見て、それでも Intel がいいんだという人は止めません。インテルぅ~最高。
蛇足ですが、どうしても Copilot+ を使いたい場合は現状 Snapdragon X Elite を選択するしかありません。自作用では利用できないため、この CPU が搭載されたノート PC を購入してください。ここから先は読まずに回れ右しましょう。
Copilot+ について追加の情報があればまた追記していきたいと思います。
Q2: CPU パフォーマンスの選択
基本的にはシングル コア性能を追求したほうが良い結果になると思います。(だから Intel も HT 止めてシングル コア性能を上げていこうとしたのかもしれません。) 下位モデルでもよいのでクロック周波数が高いもの (コア数/スレッド数は少なくていい) を選択しましょう。
利用したいソフトがはっきりしており、マルチ コア性能が欲しいと明言できるのであれば、できるだけ上位モデルのものを選択しコア数を稼ぎましょう。
Ryzen については X3D というモデルがありますが、これはゲーム性能を大幅に向上させることができるそうです。予算が許す場合は X3D を購入してもよいでしょう。
Q3: 内蔵 GPU 有無の選択
リスクを負って安く抑えたい (or BTO) のでしたら、GPU なしを購入してもよいと思います。ですが、なんだかんだ破損時のトラブルシューティングに内蔵グラフィックがあると非常に便利です。予算が許す (数千円の差です) のであれば GPU ありをお勧めしたいです。
あと、人気的な問題で GPU なししか手に入らない…なんてこともあるかもしれませんが、その場合はあきらめてください。
CPU クーラーの選択
Q1: 冷却能力の選択
CPU の消費電力を参考に、十分冷却できるものを選択してください。また、冷却能力は大きいほうが CPU 性能 UP・静粛性 UP する点にも注意しましょう。
CPU クロック数が固定だった時代は TDP がフルパワー時の消費電力の目安でした。しかし、近年ではクロック数が変動し、それに合わせて通常時とブースト時の消費電力も大きく変動します。ブーストは通常短時間のみ行われるため常時冷却能力を求められるわけではありませんが、ブースト時に十分に冷却できないとサーマル リミットが働き CPU 速度が低下するため、ブースト時の消費電力を基準に冷却能力を決定することをお勧めします。
なお、調査時に出てくる用語は以下の意味となります。
通常時の消費電力を指す用語
- 基本 TDP、定格 TDP、または単に TDP (Thermal Design Power/熱設計電力)
- PL1 (Power Limit 1) ※ Intel CPU で利用
- PBP (Processor Base Power/プロセッサーのベース パワー) ※ 12 世代以降の Intel CPU で利用
ブースト時の消費電力を示す用語
- 最大 TDP
- PL2 (Power Limit 2) ※ Intel CPU で利用
- MTP (Maximum Turbo Power/最大ターボ パワー) ※ 12 世代以降の Intel CPU で利用
- PPT (Platform Power Threshold) ※ AMD CPU で利用
冷却能力の指針
上記を踏まえ、おおむねイメージでクーラーの冷却能力を選択するとよいと思います。(個人の見解です)
- MTP/PPT ~100W: クーラーがついていればなんでもいい
- MTP/PPT 100~150W: ファン 1 基のサイドフロー型 or 簡易水冷 120mm
- MTP/PPT 150~220W: ファン 2 基のサイドフロー型 or 簡易水冷 240mm
- MTP/PPT 220W~: 簡易水冷 360mm (ファン 3 基)
Q2: 冷却方式の選択
空冷・簡易水冷のどちらが良いのか、正直これは判断に悩みますが、それぞれ考察してみました。
空冷の特徴
ケースのど真ん中にファンがつくので、結構圧迫感があります。ケーブルと接触して異音の原因になったりしますので、うまく避けてください。
また、CPU の熱をケース内に吐き出すため、ケース ファンなどを使用し効率よく熱を逃がす方法を考える必要があります。グラボなどその他の熱源とケースの廃熱能力を取り合うことになるので、他の機器の影響も考慮しないといけないです。
簡易水冷と比較するとポンプが不要になるためノイズ発生源がひとつ減ります。が、前述のとおりエアフローのために PC ケースにファンを取り付ける必要があるため、結局のところどちらも同程度のノイズは発生するかもしれませんね。
ケース内部のエア フローが混乱していると当然冷却性に問題が出ます。例えば底面から取り入れた空気を前からも後ろからも天面からも抜くとせっかく取り入れた空気が熱源を通らず抜けて行ってしまい、無駄になってしまうこともあります。
逆にケース全体のエア フローが適切なら確実に冷やせます。前面から入れるなら背面から、底面からなら天面からといった感じで、ファンの向きをそろえて空気を動かすのが重要です。なお、底面から天面に空気を抜く場合、GPU の温まった熱を CPU のラジエーターにあてることになります。その点も考慮すると前面から背面に空気を流すほうがより無難でしょう。昔からの伝統的なファン設置にはちゃんと意味があるのでしょうね。
ケース全体のエア フローが適切ならファンレス ラジエーターで静粛性を上げることもできると思います。さらに、温まった空気の密度が下がり上昇する特性を活かして完全ファンレスにしながら空気の流れを生み出し冷やすことも不可能ではないと思います。このあたりは、まさに自作 er の腕の見せ所ですね。
簡易水冷の特徴
とりあえずポン付けすればそこそこ冷えてくれるので初心者には間違いなくおすすめです。
CPU の熱は (外に吐き出すようにすれば) ケース内に籠らないので、ケース自体の冷却はグラボや VRM のために専念させてよいです。もちろん廃熱のために冷えた空気は取り入れる必要がありますので、その点は注意してください。
ポンプの音がうるさい場合もあるそうです。(あまり実感はありません。)
配管ホースが結構固いものもあります。もし硬くてうまく配管できない場合は、ラジエーターを固定する前に水枕を CPU ヘッドに取り付けると力を加えやすくなるのでよいと思います。
LED のロマンがありますが、配線はかなり複雑になります。冷却性は初心者向けですが、配線部分でそれなりに難易度上がりますので注意してください。うまくいかないときは ARGB コネクターを刺すことをあきらめてもよいです。美しい配線って難しいですよね。
NZXT の簡易水冷は上位グレードだと複数のファンが初めから 1 ユニットで構成されているものもあり、これは配線の観点では非常に有利です。
DeepCool の LED ファンは独自コネクターで LED と回転を一本で制御できるようになっており、しかもケーブルをうまくデイジーチェーンできるため、配線がそこまで増えないよう工夫されています。
Arctic の場合、水枕から 1 本だけケーブルをつなげば、ラジエーター側含めたすべてのファンをコントロールできるようになっています。ラジエーター側には配管に埋設されたケーブルを伝ってるようです。非常にすっきりした構成になりますので、間違いなくお勧めです。もちろん、個別に制御するため 3 つの FAN 端子に個別接続することもできます。詳しく知りたい人は Web サイトからマニュアルを見てみてください。
おまけ 1: CPU クーラーの静粛性
空冷・簡易水冷のどちらも静粛性を追求するとファンが重要になってきます。
付属のファンによっては特定周波数でビビりだしたり異音が出たりするため、どんな騒音特性なのかしっかりと調査することをお勧めします。
これまで DeepCool LS520 (ファンは同社の FC120 だそうです)、MSI MAG CORELIQUID 240R V2 といった簡易水冷クーラーを使用しましたが、どちらのファンも 900~1,300 rpm あたりで瓶底笛を吹いたような耳障りな音が出ました。DeepCool は使用者多い印象ですが、あの音みんな平気なのでしょうか?とにかく温度に応じて回転数をコントロールしたかったのですが一番使いそうな回転数での騒音は致命的です。
幸い、付属ファンはただの 12 cm ファンなので、後述の PC ケース用ファンの紹介動画などを参考に、静粛性の高いファンに交換すれば解決はできます。ただし、水冷クーラーの取り付け位置は限られますので、特にケース天板に取り付ける場合は、厚さを 25mm でそろえたほうが得策です。
結局のところ私は MSI MAG CORELIQUID 240R V2 のファンを Arctic P12 Max に交換して使用しています。最大回転数が 3,000 rpm のためここまで回すと非常にうるさいですが、回転数を抑えて使えば問題ありません。もちろん、特定回転数での瓶底笛のような音は消えました。こんなことなら初めから Arctic の簡易水冷を買えばよかったです。
Noctua のファンは価格設定の問題もあり試していないのですが、いずれ使ってみたいですね。
おまけ 2: 簡易水冷クーラーの製造元
いくつかの簡易水冷のイメージ図を見ていると、結構似たような形をしているものがあります。
例えば、MSI MAG CORELIQUID 240R V2 と Flactal Design Lumen S24 RGB V2 の簡易水冷はポンプがラジエーターに埋め込まれており、ラジエター側面の処理も水冷ヘッドや取付金具の形状も同じ形をしているように見えます。おそらく同一メーカーの OEM でしょう。
よくよく調べてみると、かなりのメーカーの簡易水冷が Asetek 社の OEM のようです。丸味を帯びたラジエターの側面や、CPU 取付金具、キャップのカスタマイズ性などが特徴のようです。Asetek は簡易水冷クーラーに関する特許を所有していることから、OEM 提供元として覇権を握っているようです。Flactal Design も NZXT も LED とファンが違うだけなんで、もうデザインや値段で好きなものを選べばよいですよ。
というか Asetek の OEM じゃないメーカーを調べたほうがわかりやすいかも。今確認できている範囲では、DeepCool (少なくとも LS520、もしかしたら EKWB の OEM かも…) と CoolerMaster (少なくとも ML240L)、Arctic は Asetek の OEM ではないようです。
OEM であることを大々的にうたっている商品もありますね。ASUS ROG Ryujin III は Asetek の簡易水冷に Noctua のファンがついていることを売りにしてます。
まとめサイトもあるようなのでそちらもどうぞ。
マザーボードの選択
Q1: VRM フェーズの選択
ざっくりと VRM ひとつあたり 20W の CPU 消費電力を支えられる前提としましょう。
VRM フェーズ数 (XX-Y-Z の XX の数値) を掛け算した結果、PPT (AMD)/最大ターボ パワー (Intel) が収まっているものを選択すればよいです。(あくまで個人の見解)
目安としてはこんな感じで、これより少ない場合は CPU に十分な電力が提供できず性能が著しく降下します。
- 120W なら 6 フェーズ
- 240W なら 12 フェーズ
- 360W なら 18 フェーズ
なお、下の動画にもあるように、フェーズ数が増えれば性能も微増していきますので、高級マザーボードを選択することは無意味ではありません。
ちなみに、Micro ATX は概ね 12 フェーズが上限なので、それ以上必要な場合は ATX にするか CPU の最大 PPT がそれに収まる程度のものを選びましょう。
Q2: USB ポート数の選択
バックパネルの USB ポート数はもちろん重要ですが、ケースのフロントにつく USB 端子や、FAN/RGB HUB なども考慮しておき、必要な端子が賄えるだけのポートを用意しましょう。
ケースのフロントや FAN/RGB HUB 用の USB ポートは通常とは端子が異なりますのでご注意ください。
Q3: 有線 LAN 接続の選択
最近だと 2.5 Gbps や 10 Gbps を利用できるものも多いです。
自宅の LAN 環境に合わせて必要なものを選択してください。
有線 LAN 用のチップセットには Intel のものと Realtek のものがありますが、昔は Intel のほうが安定していた感じがしますが、最近は正直どちらでもよいと思っています。
Q4: 無線 LAN 接続の選択
無線 LAN Wi-Fi7/Wi-Fi6/Bluetooth 使う?
Q5: PCU クーラーや PC ファン用コネクタ数の選択
簡易水冷を選択している場合
→ PMUP PIN があるものを選択 (またはペリフェラルなどからの分岐を検討)
PC ファンを増設したい場合
→ FAN PIN が必要数あるものを選択 (または FAN HUB からの分岐を検討)
Q6: LED コネクタ数の選択
LED 簡易水冷や LED ファンを選択している場合は LED 制御に必要
端子は ARGB で問題なし (それ以外のものはほぼなし)
光りっぱなしでいいならつながなくても問題なし
Q7: メーカーの選択
好き嫌いで判断してよい
Q8: その他の選択
バックパネルは一体型必須 (分離型より一体型のほうが取付ミスによる事故が少ない)
VRM 回路のヒートシンクは Ryzen 7 or Core i7 以上で必須
メモリは DDR5 必須 (今更 DDR4 はないわ)
PCI Express は 5 を選択 (RTX 50 シリーズに換装できる)
CPU のクロックアップは検討しない (自分で勉強してください)
S-ATA 接続は検討しない (必要に応じて数量計算してください)
Q9: サイズの選択
最後に選択できるサイズを確認してください。
条件 (特に USB ポート数や VRM フェーズ数) によっては Micro ATX 以下は選択できない場合があります。
選択肢の中から自分にあった大きさのものを選びましょう。
その他周辺装置の選択
Q1: SSD の選択
M.2 2280 SSD を必要容量 (最低 512 GB 以上) 購入する
Q2: メモリの選択
DDR5 メモリを必要容量 (最低 16 GB 以上) 購入する
Q3: グラボの選択
クリエイティブ/AI/マイニング/最高のパフォーマンス重視なら Nvidia 一択
それ以外なら Radeon でも由
Intel はゲームに期待できない
- そんな装備で大丈夫か → 内蔵グラフィックス (0 円) RTX 3050 6GB の 1/5 の性能
- 市民権なし安価モデル → RTX 3050 6GB (2.4 万円) これは無いよりマシ程度
- 市民権あり安価モデル → RTX 4060 (4 万円) FHD/60FPS を目指したい
- コスパが良く高性能 → RTX 4070 Super (10 万円) 4K/60FPS を目指したい
- 極上のロマン → RTX 4090 (30 万円) 4K/3 画面/60FPS で MSFS ができるっぽい
ケースの選択
Q1: 寸法の選択
これまでに選択したマザーボード、グラボ、CPU クーラーなどのサイズを確認し、それらが収まるものを選びましょう。
Q2: 形状の選択
一般的な形状のものはやはり組み立てやすいです。特に天板が開くものは組み立て安いです。ただそこは自作 PC なので、奇抜なものや小型ケースで冒険するのも悪くはないと思います。
他にもこういった選択肢がありますので、いろいろ探してみてください。
- 横幅を広げて高さを抑えたい → デュアル チャンバー
- LED やフィギュアで飾りたい → ピラーレス
- いつでもメンテナンスしたい → オープン フレーム
- 組み立てしやすくしたい → フル モジュラー or トップ パネル分離
- 省スペース → 煙突型などいろいろあり
なお、Micro ATX で安価なものをお探しなら DeepCool MACUBE110、Thermaltake Versa H17/H18 などがおすすめです。特に MACUBE110 はドスパラ専売で様々なカラーバリエーションのものが販売されています。色で個性を出したい場合は最初に検討するとよいでしょう。
かっこいいデザインのケースをお探しなら NZXT、Flactal Design、LIAN-LI なども検討してください。
Q3: ファンの選択
空冷クーラーの節でもお伝えしましたが、空冷クーラーを利用する場合はケース ファンも空冷クーラーの一部ととらえて検討してください。
簡易水冷を利用する場合でも、グラボや VRM の廃熱を処理するために最低 1 個以上のリヤ ファンを取り付けるようにすることをお勧めします。
コスパ重視なら Arctic P12 Max (@1,100) はやはり非常にお勧めできます。また、静粛性重視なら Noctua NF-A12x25 (@4,200) はブランド力があります。お高い商品なので十分に吟味してから購入するとよいでしょう。
私は DeepCool FK120 を使っていたのですが、これも 900~1,300 rpm あたりで瓶底笛を吹いたような耳障りな音が出ました。ぶっちゃけ FC120 と同じ症状です。ケース、簡易水冷クーラー、ケース ファンと一通り使いましたが、残念ながらファンに関しては使い勝手悪いです。ですが、もったいないので吸気ファンとして 600 rpm 固定で使っています。こういった限定的な用途で使いましょう。
ちなみに LED ファンは正直よくわからないですが、簡易水冷クーラーやケースとメーカーをそろえると統一感があってよさそうです。(特に NZXT、Flactal Design、LIAN-LI、DeepCool など)
NZXT でまとめた動画を紹介しますが、このように非常に美しいです。もちろんお値段もそれなりで、この見た目のためにざっと見繕って 4~5 万程度は追加の出費が必要になるようです。どんな感じの騒音特性なんでしょうね。
Q4: フロント USB 端子の選択
正直私は USB メモリをたまに使用する程度なので、USB 3.x 系がおまけ程度についていればよいと思っていますが、人によっては Type-C ポートがないと困る、といったリクエストもあるかと思いますので、自分の使い方については十分にイメージしておいてください。
電源の選択
Q1: 種類の選択
電源には大きくわけて ATX、SFX の二種類があります。
ATX は昔からある規格の電源で、PC ケースにちょうど収まるような程よい大きさの電源です。SFX は小型化ブームに合わせて Mini-ITX マザーボードと同時期に流行りだした、ATX よりも小さな電源です。
SFX は価格も高めで出力も ATX と比較し小さめなので、無難に済ませるなら ATX でよいと思いますが、選択したケースが SFX にしか対応していない場合はそちらを選ぶようにしてください。
Q2: 容量の選択
必要な出力が何ワットなのかを計算します。
様々なサイトで容量を計算するためのツールが公開されています。Google で "PC 電源 計算" といったキーワードで検索すると多数出てきますので、活用してみてください。
搭載パーツを細かく指定できるサイトもありますが、比較的ドスパラのツールが初心者向けだと思いますので、困った場合はそちらを使ってみてください。
必要容量は多少前後したところで気にしなくていいですが、将来の拡張 (CPU や GPU のアップグレード、HDD の増設などいろいろ考えられると思います) に備えて多少余裕を持たせておくほうがよいと思います。
Q3: EPS コネクタ数の選択
EPS コネクタが 2 つ用意されている電源を選択すれば、どのマザーボードでも利用できるのでお勧めです。4+4 ピンの EPS コネクタなら下位互換性が維持されるため、マザーボード側が EPS コネクタではなく 4 ピンの ATX コネクタ (このコネクタは古いマザーボードに使われています) の場合でも接続できます。ほぼすべての電源に 4+4 ピンの EPS コネクタがひとつ以上用意されています。
マザーボードによっては複数の EPS コネクタが離れた場所に用意されている場合もあります。その場合二股ケーブルでは接続できないので、個別にケーブルが伸びているものを選択するのが良いでしょう。ただし、二股なのか個別のケーブルなのかは Web サイトで仕様をしっかりと確認しないと判断できません。難しい場合はショップ店員に相談することをお勧めします。
ざっと見た感じ安価な電源は 4+4 ピンの EPS コネクタがひとつだけだったり二股だったりすることが多いようです。予算をケチってミスしないよう注意してください。
厳密に検討する場合は、まずマザーボードに用意されている EPS コネクタの数を確認するとよいでしょう。8 ピンの EPS コネクタがふたつ搭載されているモデルが多いですが、廉価なマザーボード (特に VRM フェーズ数の少ないもの) はひとつだけのものもあります。
マザーボードに EPS コネクタがふたつついていたとしても、ひとつだけ接続すれば動作はするようです。ただし、EPS コネクタひとつあたりの CPU への供給可能電力量は 384W が上限となります。VRM の変換効率にもよりますが最大 TDP の高い CPU は性能を生かせない可能性が高いです。
Q4: PCIe コネクタ数の選択
購入予定のグラボが必要な PCIe コネクタの形状・数を確認してください。
低スペックのものは PCIe コネクタが 1 つだけでよいものもありますが、ハイスペックなものは 3 つ必要だったり、最新規格の 12V-2x6 (12VHPWR と書かれている場合もありますが、その場合は規格が少し古いかもしれないので注意してください) を必要とするケースもあります。もし 12V-2x6 コネクタが必要な場合は ATX 3.1/PCIe 5.1 に対応した電源を購入してください。
PCIe コネクタも二股ケーブルで提供される場合がありますが、供給できる電力量が不足するかもしれません。二股ケーブルでの接続は避けましょう。
Q5: 静音に向けた選択
セミファンレス・日本製コンデンサ
安価な電源はカチカチとリレーが切り替わるような音が鳴ったりファンが回りっぱなしだったりと結構うるさいです。静音を目指すならセミファンレス・日本製コンデンサ搭載 (1 次、2 次の両方) は必須と考えてください。
私はしばらくの間玄人志向 KRPW-BK750W/85+ を使用していましたが、カチカチ音が鳴り続け本当にひどかったです。きちんとしたモデルの半額くらいで買えるので、安くはありますし動作上の問題もないので、そういう意味では良い製品なのだと思いますが、私には合いませんでした。ようやく Corsair のものに交換できたので後で窓から投げ捨ててきます。
Cybenetics Labs の PSU Performance Database
電源の静音性は規格が存在します。Cybenetics Labs という組織がまとめたものがあるので、そちらを確認してください。
Noise Rating が A+ のものは本当に音が静かでお勧めですが、出力がおおきいものは比較的うるさくなる傾向にあるようです。どうしても A+ に収めたい場合は搭載パーツを考え直す必要があるかもしれません。
Q6: ケーブリングのしやすさ
高価な電源はケーブルの柔らかさや取り回しやすさを特徴にしているものもあります。
代表的なものでは Flactal Design の UltraFlex (ケーブルがものすごく柔らかくて取り回ししやすい) や Corsair の RMx Shift シリーズ (配線用のコネクタが側面から出るため、大型ケースでの配線がしやすい) といったものがあります。頻繁にケーブルの抜き差しをする場合はこれらを選択するのもよいでしょう。
おまけ: 独断と偏見のお勧め ATX 電源
カタログ スペックなどを参考に、個人的にお勧めできそうな電源の一覧をまとめてみました。
- Corsair RMx 2024 シリーズ: 750W のものを実際に使用していますが、Cybenetics A+ の静音性は見事で本当に静かです。ケーブルも十分に柔らかいため取り回しも楽です。セミファンレス機能はスイッチではなくボリュームつまみで提供されており、手動で回転数を上げることもできます。欠点と思わしき欠点が見つからないです。ちなみに 2021 年モデルは多少安価に販売されているようですが、ATX 3.1 未対応で Cybenetics A- ですのでそこまでお勧めできません。
- Corsair RMx Shift シリーズ: ケース側面から配線できるため、電源を取り付けたまま作業できます。少し大きめの一般的なデザインのケースを使用しており、内部機器の増減のたびに電源を取り外す手間から解放されたい場合はお勧め、というかこれ一択です。こちらも 750W モデルなら Cybenetics の静音性評価が A+ です。ケースの幅によっては使用できないので注意してください。最小 210mm とありますが、実際には 230~240mm くらいないと厳しいでしょう。
- Fractal Design Ion+ 2 シリーズ: 前モデル (ATX 3.1 未対応モデル) となる Ion+ 660W モデルは Cybenetics A++ 評価を受けており、その後継機となるためきっと静かなはずなんですが、評価結果が見当たらないんですよね…。UltraFlex も強みですし、Flactal Design で統一感を出したいときはお勧めできると思います。ただし、私は二股の PCIe ケーブルしかないこと、セミファンレスのスイッチがケース内部になるため気軽に押せない点が欠点に見えたため敬遠することにしました。
- FSP Hydro Ti PRO 1000W: 電源メーカーとしては老舗といわれており評判もよいようです。同社の電源はほとんどすべてのモデルで PCIe ケーブルに二股のものが使われていますが、このモデルだけはストレート コネクタも提供されています。この出力で Cybenetics A++ 評価で ATX 3.1 対応 (ここはちょっと怪しい、ATX 3.0 かもしれない) で国内購入可能といった条件で探すとこれしか選択肢がないと思います。残念ながら 1,000W モデルのみの提供となり、お値段もかなり高価です。
終わりに
ここで紹介した YouTube 動画の製作者さま各位、素晴らしい動画をありがとうございます。