はじめに
前回作成した、ドムドーラ探索の動画を小4の娘に見せながら、「最後に手に入る鎧は"ロトのよろい"って名前にしたかったんだけどね…」などとぼやいたところ、「金床でアイテムの名前変えられるよ!」と、わが子からまさかのレビュー指摘事項をいただきまして、さっそく検証と検討に入ろうと思ったわけです。お父さん、コマンドで変えられないから、あきらめてたよ…
ロト装備検討
名前
金床…これまでのプレイで使ってなかったんです…というのは言い訳ですが、実際に調べてみると確かに、金床を使うことによりアイテムの名称を変えられることがわかりました。1
金床をもちいたアイテム名変更を活用すれば、ロト装備に限らず、ドラゴンクエスト内に登場する各種アイテムをマインクラフト内に登場させることができそうです。「雨と太陽が合わさる時、虹の橋ができる」という古い言い伝えに関わるアイテムを再現するときにも使えそうですね。
見た目
せっかくなので、名前以外の部分もなるべく原作に近づけていこうと思います。単品の性能でみれば、ネザライト装備が最も強いのですが、見た目がグレーになってしまうので、青と金を基調としたロト装備としては難点があります。
今回は、Ver1.20から登場した鍛冶テンプレートを使って、最もロトの鎧に近い見た目となる装備を考えます。鍛冶テンプレートを使うと、もともとの装備の色に対して、テンプレートの種類に応じた模様を追加できます。模様の色は、模様を追加する際に使用する鉱石の種類によって決まります。ロトのよろいは青と金の組み合わせなので、以下の2パターンで検証してみます。
- ダイヤモンド装備に金で模様を追加する(青系ベースの装備に金の模様を追加)
- 金装備にラピスラズリで模様を追加する(金ベースの装備に青の模様を追加)
ダイヤモンド装備+金模様
このパターンの場合、金色で描かれる模様が、ロトのよろいの紋章のようなデザインになることが理想的です。模様のパターンは鍛冶テンプレートごとに違いますが、比較的近いデザインとして今回は「要塞風」を選択します。
ベース装備のダイヤモンドの色が淡いため、青基調のロトのよろいとは少し印象が異なってしまいました。
金装備+青模様
このパターンの場合、青の模様部分のカバー範囲が広くなる鍛冶テンプレートを選ぶ必要があります。既存のテンプレートの中でもっとも模様の範囲が広い「静寂」を用いて、金装備にラピスラズリで模様を入れてみました。
ラピスラズリの青が広い範囲に模様として入ることで、ロトのよろいに近い色調が表現されているように思えます。
というわけで、金装備+青(ラピスラズリ)+静寂のテンプレートという組み合わせで、ロトのよろいを作ることにします。
性能
ロト装備にふさわしい性能を実現させます。
ロトのよろい
ロトのよろいの特徴としては、以下のようなものがあります2。
- 高い守備力
- 魔法や炎のダメージ軽減
- バリアや毒の沼地のダメージ無効
- 移動によるHP回復
今回はベースを金装備としたため、装備そのものの性能としては、ダイヤモンド装備やネザライト装備よりは格段に劣ります。そこで、性能を補うためにエンチャントを付与します。
「防護」のエンチャントは各パーツに付与することで、被ダメージを半分以下に抑えられます。防護のエンチャントは1つの防具あたり最大4レベル付与できますが、全装備の合計レベルは10が上限となります。今回つくるロトのよろいは、チェストプレート・レギンズ・ブーツという3つの防具から成り立ちます。すべてに防護レベル4をつけると、合計レベルが12で上限の10を超過してしまうため、少しもったいないことになります。
そこで、2つの防具に防護レベル4、残りの防具には別のダメージ軽減系エンチャントのレベル4をつけることで、エンチャント合計レベル超過を回避し、より高い防御性能を持たせることにします3。今回は、炎ダメージの軽減を強めるため、残り一つの防具には防火のエンチャントを付与します。合計レベルを考慮しつつ、防護と防火を組みあわせることにより、高い守備力と魔法や炎のダメージ軽減を実現させます。
バリアや毒の沼地のダメージ無効については、マインクラフト上にバリアや毒の沼地に相当する床トラップがないので、実装のしようがありません。が、しいて言えば、マグマブロックの上を歩いた時のダメージを受けないように、ロトのよろいを装備している間、gameruleコマンドでfiredamageをfalseにしておくようなことはできそうです。
移動による回復については、scoreboardで頑張って歩数計を実装して、歩数に応じた回復ができるようにするという方法もありそうですが、時間経過に応じた回復とする方が、シンプルな実装になりそうです。
装備をしている間効果を発するコマンドを実装するためには、ロトのよろい一式を装備しているかどうかの判定ロジックが必要となります。ロトのよろいを構成する各装備を装備しているかどうかは、以下の3つのコマンドで判定できます。
/testfor @s[hasitem={item=golden_chestplate,location=slot.armor.chest}]
/testfor @s[hasitem={item=golden_leggings,location=slot.armor.legs}]
/testfor @s[hasitem={item=golden_boots,location=slot.armor.feet}]
このコマンドをリピートのコマンドブロックで実行し、各装備の装備判定を行い、全てTrueの場合に動作するレッドストーン回路から、一定の時間間隔ごとに体力を回復させるコマンドを実行すれば、時間経過で体力を回復する効果を実装できそうです。
また、防御力とは直接関係しませんが、装備そのものの耐久値を上げる意味で、「耐久」と「修繕」のエンチャントもつけておくことにします。この節で上げた4つのエンチャント「防護」「防火」「耐久」「修繕」を、手持ちのアイテムに付与するコマンドは以下の通りです。付与するエンチャントによって、設定可能な最大レベルが異なります。
# 防護 レベル4
/enchant @s protection 4
# 防火 レベル4
/enchant @s fire_protection 4
# 耐久 レベル3
/enchant @s unbreaking 3
# 修繕 レベル1
/enchant @s mending 1
ロトのかぶと
ドラゴンクエスト1には、頭装備は登場しません。ので、ドラゴンクエスト1を再現する上では、作る必要はないのですが、せっかくなので一緒に検討します。
ドラゴンクエスト3では、ロト装備の元となった装備として、王者の剣、光の鎧、勇者の盾が出てきますが、兜については特別な装備がありません。私は鉄仮面でクリアしたので、「これ(鉄仮面)がロトのかぶと」になったのかなぁ…と、思ったものでした。それはさておき。
前節のロトのよろいと同じ考え方で、兜を用意するのであれば、金装備にラピスラズリで装飾を入れて、鎧と同様のエンチャントをつける形でロトのかぶとを作れそうです。防護のエンチャントは鎧の方で限界近くまで付与しているので、かぶとでは防火のエンチャントを積み増すことにします。
ロトのたて
ロトのたても、ドラゴンクエスト1には登場しませんが、一式そろえる意味で、検討してみることにします。マインクラフトでは、兜や鎧と違い、盾は1種類しかなく、鍛冶テンプレートを適用することもできません。その代わり、盾には装飾した旗をつけることで文様を描くことができます。そこで今回は、ロトのたてに近い文様の旗から、ロトのたてを作ることにします。
ロトのたては、青を基調としつつ、中央には金色に大きく施された「ロトの紋章」があり、金の縁取りがなされているという見た目です。青色の旗をベースとして、赤色の円形・黄色の縁取り・黄色の花模様を重ねることで、それっぽいデザインを作ることができました。
この旗を盾に張り付けることで、ロトのたての見た目が完成します。盾に付与できるエンチャントは「耐久」と「修繕」のみなので、この二つをつけておくことにします。盾に他のエンチャントも付与できれば、防火と合わせて「みかがみのたて」を作ることもできたのですが…今後の機能拡張に期待しましょう。
ロトのつるぎ
武器は見た目を変えることができないので、ベースとなる武器と付与するエンチャントを検討します。
刀身の色味的には鉄の剣が最も近そうですが、今後作るかもしれない「はがねのつるぎ」や「ほのおのつるぎ」との差別化を考慮して、ダイヤモンドの剣をベースにすることとします。
また、エンチャントは「鋭さ」による攻撃力増加と、「ノックバック」による吹き飛ばし効果、防具同様の「耐久」「修繕」を付与することとします。
# 鋭さ レベル5
/enchant @s sharpness 5
# ノックバック レベル2
/enchant @s knockback 2
完成形
前節に記載した内容を実際に作ってみた結果が以下の画像です。自身のキャラクターに装備させた場合と、防具立てに装着した場合とを掲載します。防具立てには盾を持たせることができなかったので、盾は外れています。
各装備に付与するエンチャントをまとめると以下のようになります。
装備 | エンチャント |
---|---|
ロトのつるぎ | 耐久 レベル4 修繕 レベル2 鋭さ レベル5 ノックバック レベル2 |
ロトのよろい(胴) | 耐久 レベル4 修繕 レベル2 防護 レベル4 |
ロトのよろい(脚) | 耐久 レベル4 修繕 レベル2 防護 レベル4 |
ロトのよろい(靴) | 耐久 レベル4 修繕 レベル2 防火 レベル4 |
ロトのかぶと | 耐久 レベル4 修繕 レベル2 防火 レベル4 |
ロトのたて | 耐久 レベル4 修繕 レベル2 |
おわりに
今回は、娘からの指摘事項をきっかけに、少し真面目にマインクラフト上でのロト装備の作り方を検討しました。鉄の剣に火属性のエンチャントをつければ、「ほのおのつるぎ」も作れそうですし、金床をつかったアイテム名変更は、今後ドラゴンクエストのキーアイテムを実装していく上でも、重要になりそうです。
おまけ
これまでの投稿をまとめておきます。
No. | 内容 |
---|---|
Part1 | マインクラフトでの地形生成 |
Part2 | 町の再現① |
Part3 | メルキド as Code |
Part4 | 住民との会話システム |
Part5 | 海と森の生成 |
Part6 | 森の生成方法の改良 |
Part7 | ドムドーラ地方の生成 |
Part8 | ドムドーラの町づくり |
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https://minecraft.fandom.com/ja/wiki/%E9%87%91%E5%BA%8A%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF ↩
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https://wikiwiki.jp/dqdic3rd/%E3%80%90%E3%83%AD%E3%83%88%E3%81%AE%E3%82%88%E3%82%8D%E3%81%84%E3%80%91 ↩
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残り一つの防具に、防護レベル2もつけられれば良いのですが、防護のエンチャントと、その他のダメージ軽減系のエンチャントは互いに競合する関係にあり、同時に付与することはできないので、防護レベル2をつけずに、他の軽減系エンチャントを最大レベルで付与することを選択しました。 ↩