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Jetson Nanoでストリーミング配信を行う

Last updated at Posted at 2019-07-06

はじめに

本記事はJetson Nanoに接続したカメラ映像をストリーミング配信する試みである。自分がJetson Nanoを使うとき、多くの場合リモートで操作を行っている。したがってカメラ映像もリモートで見られると楽だなぁと考えていたので重い腰を上げて実施することにした。

前提条件

デバイス/dev/video0で映像が取得できることを前提とする。

GstreamerとRTSP

一番最初に思いついたのはgstreamerRTSPを使うことだ。RTSPはReal Time Streaming Protocolのことで、gst-launch-1.0コマンドから直接使うことはできない。そのため

にあるtest-launch.cをダウンロードしてコンパイルする。

JetsonNanoで実行
sudo apt install libgstrtspserver-1.0-dev
gcc -o test-launch test-launch.c `pkg-config --cflags --libs gstreamer-rtsp-server-1.0`

そうするとtest-launchが作成されるので、下記のコマンドで起動する1

JetsonNanoで実行
./test-launch "v4l2src device=/dev/video0 ! video/x-raw,framerate=30/1,width=640,height=480 | x264enc ! queue ! rtph264pay name=pay0 pt=96"

こうして立ち上げた後、別の端末からVLCを使ってrtsp://jetson-nano:8554/testへアクセスするとカメラ映像を見ることができる。なおjetons-nanoの部分は私のサーバ名なので、適宜ホスト名やIPアドレスに変更する必要がある。

Macで実行
open -a vlc rtsp://jetson-nano:8554/test

vlc_rtsp_access.png

面白い点はVLCでアクセスすると初めてカメラが有効になる点。切断するとカメラもOFFになり、再接続するとまたONになる。

mjpg-streamer

次に試したのがmjpg-stramer。これはオープンソースのMotion JPEGをHTTPでストリーミングするタイプ。

mjpeg-streamer+ipcam-viewでRaspberry Piのカメラの映像をAndroidへ配信する
を参考にセットアップする。

webサーバの起動のところだけ変更するため、下記のようなスクリプトを作成した。

run_mjpg-streamer.sh
#!/bin/sh

input=/usr/local/lib/mjpg-streamer/input_uvc.so
output=/usr/local/lib/mjpg-streamer/output_http.so
port=8080
device=/dev/video0
webroot=/usr/local/share/mjpg-streamer/www

mjpg_streamer -i "$input -d $device -r 640x480 -f 1" -o "$output -p $port -w $webroot"

これを実行したのち、http://jetson-nano:8080/でアクセスすると次のようなページが表示される。

mjpg_streamer_access.png

なるほど、これはこれで便利そうだ。ブラウザがあればアクセスできるというのは素晴らしい。

自前で作る

Jetson Nanoを使ってGPUで処理した映像はどうやってmjpg-streamerに渡せば良いのだろう?
/dev/video0でデバイス指定されているので、処理した映像を仮想的に作ったデバイスに紐づけるのが良さそうだ。

しかし今更CやC++で書くのがとても面倒に思えた。慣れというのは恐ろしい。できればPythonとOpenCVを使って処理したいのでPythonとのインターフェイスが欲しい。

いろいろ考えた結果、Motion JPEGをHTTPでストリーミングする部分をPythonで書けば良いんじゃなかろうかという結論に達した。作ったものは

に置いた。なんだかんだで3時間以上掛かった。こんなことなら初めからCやC++で/dev/video周辺を作るべきだったと後悔しつつ、せっかく作ったので公開することにした。

JetsonNanoで実行
git clone https://github.com/yamamo-to/jetson_nano.git
cd jetson_nano/mjpeg_http

ディレクトリhtml/にindex.htmlがあるのでこれを編集する。自分の場合はjetson-nanoというホスト名があるので

<img src="http://127.0.0.1:8080/camera.mjpg" />

<img src="http://jetson-nano:8080/camera.mjpg" />

に変更した。最後に起動する。安全を考慮してデフォルトでは127.0.0.1でバインドするので、リモートから接続するためにはbindオプションをつけて起動する。

JetsonNanoで実行
python3 -m mjpeg_http.server --bind 0.0.0.0

Google Chromeであればhttp://jetson-nano:8080/camera.mjpgに直接アクセスできる。
chrome_access.png

Safariの場合は一度index.htmlを通す必要があるためhttp://jetson-nano:8080/にアクセスする。
safari.png

これでPythonとも連携可能なMJPEG Streaming環境ができた。ただし使っているモジュールはhttp.serverで製品には適さないらしい。

Warning http.server is not recommended for production. It only implements basic security checks.

まとめ

リモートでカメラ映像を映す方法として次の3種類を試した。

  • GstreamerとRTSPによる配信
  • mjpg-streamerによる配信
  • 自作のMotion JPEG serverによる配信

今後のことを考えると/dev/video以下に仮装デバイスを実装した方が良さそうだ。

  1. v4l2srcを使っているのはnvarguscamerasrcnvcamerasrcがUSB接続のC920ではハングアップするため。

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