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運用から見る逆引きRDS for PostgreSQL

Last updated at Posted at 2018-12-04

本記事は PostgreSQL Advent Calendar 2018 の5日目の記事です。

記事を書いた背景

  • 理由
    • AWS RDS for PostgreSQLがリリースされてから数年が経ち、PostgreSQLのクラウド運用が増えているため
    • クラウドは便利で多機能だが、やりたいことの情報にたどり着くのが大変なため
  • 上記のことから(自分含め)逆引き辞典があれば便利かもと思った次第です

前提条件

  • 本記事の情報は執筆日(2018/12/01)現在のものです
  • PostgreSQL以外の汎用的な話もあります

運用逆引き索引

PostgreSQLをデプロイしたい

PostgreSQLをデプロイするにはCreateDBInstance APIを発行します。この時Engineパラメータをpostgresにしてください。
またAWSコンソールからポチポチするだけで簡単にデプロイできます。(以降のAPI操作も大体コンソールからできます)

冗長構成を組みたい

CreateDBInstanceMultiAZパラメータをTrueにすることで冗長構成にできます。
MultiAZにすることでZoneレベル(データセンターレベル)の完全冗長性が担保されます。
また、障害時に待機系が昇格してきた時はエンドポイント(CNAME)が自動で切り替わります。
そのため、アプリケーションからCNAMEにアクセスすることで障害時も自動復旧できます。

既にあるPostgreSQLから移行したい

以下のような手段があります。

  • PostgreSQLの機能を使って移行する
    • pg_dump -> pg_restore
    • \copy to -> \copy from
  • AWSの機能を使って移行する
    • AWS DMS
      • 最近某社が実運用に基づいたスライドを公開していたので興味がある方は調べてみてください

詳細はAWSのページにも紹介されています
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/PostgreSQL.Procedural.Importing.html

PostgreSQLのデータインポート時は以下の点に注意してください。

  • DBインスタンスのバックアップを無効にしてください。
  • MultiAZFales(無効)にしてください。

これはインポート速度の向上=不要なお金をかけないためだと思います。
インポートの高速化の要因は

  • バックアップを無効=WALの書き出しがなくなるため
  • MultiAZを止めると書き出し量が1/2になるため

大量データの高速投入は以下の記事が参考になります。
https://lets.postgresql.jp/documents/technical/bulkload/1

バージョンを指定したい

CreateDBInstanceEngineVersionパラメータを指定します。
執筆日現在の最新サポートバージョンはv10.5です。(v11もプレビュー版があるので時間の問題だと思います)
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/CHAP_PostgreSQL.html#PostgreSQL.Concepts

アクセス制限をしたい

SecurityGroupを利用してCIDRIPかSecurityGroupを指定して制限をかけます。
PostgreSQL自身はpg_hba.confファイルで制限をかけますが、RDSはOSにアクセスできないのでSecurityGroupを利用します。

バックアップを取りたい

バックアップはDBMS運用の宿命であると言えます。
PostgreSQLでは以下のようなバックアップ手法がとられます。

RDSでもpg_dumpなどを用いてバックアップを取得できます。
しかし、RDSはバックアップも強力にサポートしています。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/USER_WorkingWithAutomatedBackups.html

自動でバックアップをとりたい

CreateDBInstanceBackupRetentionPeriodパラメータを1以上にしてください。
これでパラメータ日数分のバックアップを自動で取ります。
自動バックアップには以下のような特徴があります。

  • 通常5分以内までのバックアップが常に取得されます。
  • 1日に1度DBインスタンス全体のバックアップを取得します。
    • MultiAZ構成をとっていないとI/Oの瞬断があるのでPreferredBackupWindowでバックアップの時間を調整できます。
  • 指定した日数を過ぎるとバックアップは順次削除されてしまうことに注意してください。

リストア方法は後述します。

手動でバックアップをとりたい

CreateDBSnapshot、またはpg_dump or pg_dumpallを使用してください。
OSにアクセスできないため、物理バックアップは手動で取得できません。

バックアップからリストアしたい

バックアップを取得するだけでは運用としては不十分です。
リストアができて初めてバックアップができていると言えます。
PostgreSQLでは以下のようなリストア方法があります。

  • pg_restore
  • 物理バックアップからのリストア
    • recovery.confを利用したPoint In Time Recovery(PITR)

RDSで取得したバックアップは簡単にリストアができます。
リストアすることで新しいDBInstanceが生成されることに注意してください。

自動バックアップからリストアしたい

RestoreDBInstanceToPointInTimeを利用します。
自動バックアップ元はSourceDBInstanceIdentifierパラメータでDBInstanceのIDで指定し、RestoreTimeパラメータで任意の時間の状態にリストアできます。

手動バックアップからリストアしたい

RestoreDBInstanceFromDBSnapshotを利用します。
DBSnapshotIdentifierパラメータでDBSnapshotのIDを指定します。

バージョンアップしたい

運用中に悩まされるのがPostgreSQLのバージョンアップです。
簡単にはできないですし、pg_upgradeなどの様々な検証が必要です。
RDSはメジャー/マイナーバージョンアップグレードをサポートしています。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/USER_UpgradeDBInstance.PostgreSQL.html

メジャーバージョアップしたい

APIを使って手動でメジャーバージョンを上げます。
ModifyDBInstanceEngineVersionパラメータを変更します。
この時パラメータグループに互換性のないパラメータがあるとDBInstanceが起動しないため、十分な検証をしてください。

マイナーバージョンアップしたい

マイナーバージョンはRDSで試験されており、自動でアップグレードできます。
CreateDBInstanceAutoMinorVersionUpgradeTrueにしてください。

死活監視をしたい

RDSサービスが死活監視をするのでユーザで監視する必要はありません。
一般的にはZabbixmackerelなどの監視ソフトウェアで監視したり、SELECT 1を打ったりなど...その手間がありません。

性能監視をしたい

PostgreSQLの性能監視は様々な手法があります。

マシンリソース情報を取りたい

RDSはCloudWatchを使って自動的に収集します。
コンソールから簡単に確認できます。
また、CloudWatchで閾値を設定することでアラートを飛ばせます。

Slow Queryを知りたい

一般的なPostgreSQL運用と同様にlog_min_duration_statementをパラメータグループで設定します。
遅いクエリはコンソールのログから確認できます。

性能を上げたい

RDBMSの性能が足りなくなった場合、スケールアップやチューニングやクエリの改善などで対応します。
RDSはクラウドサービスのため、スケールアップの選択肢を簡単に取れます。

CPU & メモリを増設したい

ModifyDBInstanceDBInstanceClassパラメータを変更します。
DBInstanceの性能は幅広く揃えられています。
しかし、執筆時は最新のdb.m5世代にPostgreSQLが対応していません。
(個人の見解ですが、MySQL, MariaDB, Oracleが最初に対応されるイメージがあります。)

IO性能をあげたい & ディスク容量を増やしたい

ディスク性能はディスクの大きさに比例します。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/CHAP_Storage.html#Concepts.Storage.GeneralSSD

ボリュームが 100 GiB のベースラインパフォーマンスは 300 IOPS、ボリュームが 1 TiB の場合は 3000 IOPS となります。3.34 TiB 以上のボリュームのベースラインパフォーマンスは 10,000 IOPS です。

ただし、一時的な負荷の場合はバーストして性能を担保する機能があります。

1 TiB 未満のボリュームサイズでも、長期間にわたって 3000 IOPS をバーストする性能があります

変更する場合はModifyDBInstanceAllocatedStorageパラメータを設定します。

また、それ以上の性能を担保したい場合はPorvisionedIOPSを利用してください。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/CHAP_Storage.html#USER_PIOPS
変更する場合はModifyDBInstanceStorageTypeパラメータをio1にしてIopsパラメータを設定します。

パラメータをチューニングしたい

PostgreSQLのパラメータチューニングはパラメータグループで設定できます。
DBInstanceとParameterGroupはN:Mで紐づくので、作成したパラメータグループModifyDBInstanceDBParameterGroupNameで設定します。
実際のpostgresql.confの値はModifyDBParameterGroupでパラメータグループに設定します。

拡張機能を使いたい

PostgreSQLには多くの拡張機能があります。
残念ながらマネージドサービスであるRDSでは制限がかかります。
また、OSにログインできないのでユーザによる拡張もできません。

手続き言語を使いたい

手続き言語は各種対応しています。
https://aws.amazon.com/jp/rds/postgresql/

PostgreSQL には 4 つの言語拡張が含まれており、Perl、pgSQL、Tcl、および JavaScript (V8 JavaScript エンジンにより) がサポートされます。

純正のPostgreSQLとは少し品揃えが違うことに注意してください。
https://www.postgresql.jp/document/10/html/server-programming.html

拡張機能を使いたい

RDSは様々な拡張機能をサポートしています。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/CHAP_PostgreSQL.html#PostgreSQL.Concepts.General.FeaturesExtensions
PostGISをサポートしていますが、contrib全てはサポートしていません。
利用するDBInstance内でコマンドを打つと対応拡張機能のリストが出てきます。

SHOW rds.extensions; 

レプリケーション構成(参照分散)をとりたい

CreateDBInstanceReadReplicaを発行することで冗長化とは別に参照分散用のリードレプリカを作成できます。

最後に

  • 間違っていたり、もっとよい方法があれば教えて欲しいです👏
  • 明日は @kaigai さんの担当になります🙏
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