追記:この機能は2020年5月にリリースされた。詳細はこちら。
SE2 RAC非サポートの衝撃
19cがリリースされたとき
「19cからSE2 RACが非サポート」
と聞いて椅子から転げ落ちそうになったヒトは少なくないはずだ。
なぜならば、19cはターミナルリリースで、現時点ではもっとも長いサポート期間が保証されているからだ。
当然SE2 RACユーザーにとっては寝耳に水で
「これからどうすればいいのか? 18cは、いつまで使い続けられるのか?」
と考えたであろうことは想像に難くない。
19cと聞くと、ずいぶん新しい印象を持つかもしれない。しかし、
12cR2(12.2.0.1)
18c(12.2.0.2)
19c(12.2.0.3)→ターミナルリリース
なので、19cまでは同じ12cファミリーである。
SE2向け高可用性ソリューションのアナウンス
このような状況のなか、2020年3月にSE2向けの高可用性ソリューションがアナウンスされた。
詳しくはブログを読んでもらうとして、Oracle Clusterwareを使ったHAクラスタ・ソリューションのようだ。
日本でOracleデータベース用のHAクラスタというと、NEC CLUSTERPROやサイオスLifeKeeperが有名だ。新しいソリューションでは、これらが無くてもHAクラスタを組めるらしい。
ちなみにアメリカのOracleデータベース用HAクラスタでは、少し前まではVeritas Cluster Serverのシェアが高く、近年ではRAC One Nodeが一番使われているらしい(2018年のOOW San Franciscoで聞いた)。日本ではマイナーなRAC One Nodeなのに。
Oracleデータベース以外もHAの対象にできる
ブログを読み進めると、Oracleデータベース以外もHAの対象にできるらしい。
さらに、Oracle Clusterware用のOracle Grid Infrastructure Standalone AgentsをStandard Edition High Availabilityと併用して、Oracle WebLogicやApacheなどの特定のアプリケーションの完全なアプリケーションスタックのフェイルオーバーを管理できます。
実は、ずいぶん前からOracle Clusterwareで、いろいろなミドルウエアのHAクラスタが組めた。知る人ぞ知る機能だったのだけれど、作り込みが大変だった。知人でもOracleデータベースのHAクラスタを組んだという話を聞いたことがある。
また、その以前Oracle社のイベントで
- Oracle Linuxのサポート契約を結ぶとOracle Clusterwareが使える
- Oracle Clusterwareを使って、リーズナブルにOracle DB以外のクラスタを組んだ
という講演を聴いたことがある。
そして現在はいくつかのミドルウエアをサポートしている「Oracle Grid Infrastructure Standalone Agents for Oracle Clusterware」がリリースされている。知らなかった!
サポート対象アプリケーションはこちら。今後Oracleデータベースが追加されるのだろう。
Supported applications: Oracle GoldenGate, Siebel, Apache, PeopleSoft, MySQL, JD Edwards, WebLogic and Oracle E-Business Suite
リリース時期は?
Standard Edition High Availability will be made available as part of a Release Update (RU) with Oracle Database 20c as well as Oracle Database 19c later this calendar year. More details will follow soon.
19c用は2020年末までにはリリースされるようだ。
とはいえ、不安なのはマイグレーション方法。Data Pump Exportしないで移行できるならばいいけれど、すべて再構築&Export/Importだとつらいものがある。これから導入するヒトはいいけれど。