SE向け高可用性ソリューションStandard Edition High Availabilityがリリース
2020年3月にSE/SE2向け高可用性ソリューションの記事を書いたけれど、ついにリリースされたようだ。
こちらが今回のニュースリリースブログ
こちらが以前わたしが書いた記事
Standard Edition High Availabilityとは
おそらく「オラクルエンジニア通信」に邦訳が出ると思うけれど、要点をかいつまんで紹介しよう。
- Oracle Grid Infrastructureを利用したactive/passiveフェイルオーバーソリューション
- Oracle Database 19c release update (RU) 19.7以降で対応
- 10日間フェイルオーバールールが適用。待機系ライセンスは不要だが、使っていいのは年間10日まで
- 今回Linux x86-64版がリリースされ、Windows版とSolaris版は今後リリース予定
基本はこんなところ。もう少し掘り下げると、↓このくらいだろうか。
- 2台のサーバーと1台のストレージ(iSCSI, SCSI, SAN)が必要
- Release Update 19.7 以降の機能なので(パッチで提供)、セットアップは「19.3をインストール」「Release Updateを適用」の順で実施
- 新規インストールか既存のシングルインスタンスに追加設定する。SE RACから直接移行する方法はない
- データファイルはOracle ASMかOracle ACFSに配置
- RAC One Nodeとの違いは、オンライン・リロケートやローリング・アップグレード、アプリケーション・コンティニュイティなどの可用性を高める機能が無いこと
おわりに
Standard Edition High Availabilityのリリースは、SE2で高可用性を組むときの新たな選択肢が増えたと言える。サードパーティー製品が不要になるのも、サーバー構成によってはメリットと感じる人もいるだろう。
しかし、SE/SE2 RACから直接アップグレードできないのは既存ユーザーにはつらいところ。SE/SE2 RACは18cまでしかサポートされない。そのため19cに移行するには、もう1セットサーバーを用意する必要がある。また同じOracle Grid Infrastructureを使っているとは言え、運用手順の見直しも必要だ。
日本では、パッチをあまり適用しないことが多い。そのことを考えると、サポートの問題はあっても既存のSE2 RACはシステム更改まで使い、次期システムでStandard Edition High Availabilityに移行するならば移行コストは無視できるかもしれない。
まあシステム更改となると、いつまでOracle Databaseを使うのかとか、クラウドに移行するのかなど、もっと選択肢は増えるだろうが。
またWindowsにおける高可用性ソリューションOracle Fail Safeは19c以降は非推奨(deprecated)なので、その代替ソリューションになるだろう。