2026年8月17日、AWS Security BlogにVaibhav ChowlaさんとElla Seguraさんの連名でサインイン画面とセッション選択画面のリニューアルが告知されました。
中身のほとんどは地味なUX改善で、正直「へえ」で流してしまいそうな内容です。
ただ記事の中盤に、AWSコンソールにスクリプトでログインしたことがある人向けの一文が挟まっていて、そこだけ妙に引っかかりました。
ルート/IAMの二択が、メール入力ひとつに変わる
今のAWSサインイン画面は、最初に「ルートユーザーか、IAMユーザーか」を選ぶところから始まります。
選び間違えるとやり直しです。
リニューアル後は、ルートユーザーと、新しいサインアップ体験で作られたアカウントについてはこの分岐がなくなり、メールアドレスを入力してContinueを押すだけになります。
IAMユーザーは従来どおり「IAM User」を選んでから、アカウントIDまたはエイリアス・ユーザー名・パスワードを入力する流れのままです。
認証情報そのものは変わらず、その手前の画面構成だけが変わる形になります。
新しいサインアップ体験で作られたアカウントには、もうひとつ選択肢が増えます。
そのアカウントの作成時に使った方法であれば、Google・GitHub・Apple・Amazon.comアカウントでのサインインも選べるようになります。
既存アカウントに後付けでSSOが乗るわけではなく、あくまで新しく作られたアカウント向けの話です。
IAM Identity CenterやIAMフェデレーションを使っている組織はこの変更の影響を受けません。
従来どおり
「組織のアクセスポータルやフェデレーションURLからサインインすれば大丈夫」
とAWSは明記しています。
セッション切り替え画面は普通に便利になった
個人的にはこちらのほうが実用性が高いと感じました。
複数のAWSアカウント・ロールを行き来していると、サインインし直すたびに「あれ、さっきどのアカウントで作業してたっけ」となりがちです。
新しいセッション選択画面では、有効なアカウント・ロールセッションが直近のサインイン情報付きで一覧表示され、そこから切り替えたり、セッションを追加したり、個別または一括でサインアウトしたりできます。
ブラウザのタブを何枚も並べてアカウントを覚えておく作業から、多少は解放されそうです。
自動化してる人はここだけ読む
引っかかった一文はこれです。組織がブラウザ自動化やスクリプトによるワークフローで現在のサインイン画面に依存している場合は
「今回の更新が自分たちの構成にどう影響するか確認してほしい」
とAWSは書いています。
普通に読めばただのUI変更の注意書きです。
ただ、コンソールをクリックして回るエージェントやSeleniumスクリプトを書いたことがある側から読むと、これは
「サインイン画面のDOM構造(入力欄の並び順やボタンのラベル)に依存したツールは、AWSがいつでも作り直していい対象に依存している」
という宣告に見えてきます。
人間にとっては見た目の変更でも、パスワード欄の位置を覚え込んだ自動化スクリプトにとっては普通に破壊的変更となります。
これ自体は今に始まった話ではありません。
ログイン画面をスクレイピングする実装は、もともとAWSがサポートする連携方法ではなく
IAMロールやCLI、SDK、SSOといった正式な手段を使うべき
というのは以前からの話です。
今回新しいのは、AWSがそれをわざわざUIリニューアルの告知文の中で名指ししたことのほうで、裏を返せば
「変わるはずのないログイン画面」
に依存した自動化がそれだけ世の中に転がっている、ということの裏返しでもある気がします。
結局、何をすればいいか
ほとんどの人は何もしなくて大丈夫です。
既存ユーザーは今までと同じ認証情報・同じサインイン方法を使い続けられるとAWSは明言していますし、ロールアウト自体もまだ一部の顧客向けに段階的に行われている段階です。
今のサインイン画面に出るバナーから「Change to new experience」を選べば先行して試せて、気に入らなければCookieを消せば元に戻せます。
宿題があるとすれば、CIやテストスイート、エージェントフレームワークがAPI経由ではなくAWSコンソールのUIを直接操作している人です。
心当たりがあるなら、AWS側のロールアウトに見つけられる前に自分でそのスクリプトを見つけておくタイミングとしてはちょうどいいと思います。
ついでに、画面が変わっても影響を受けない作りに置き換えてしまうのがいちばん確実です。
参考: AWS Security Blog — "Updates to your AWS Sign-In experience"(Vaibhav Chowla, Ella Segura, 2026年8月17日)


