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Amazon LeoとStarlink、衛星インターネット戦争の中間報告(2026年8月版)

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AWSのニュースを追っていたら「Project Kuiper」がいつの間にか「Amazon Leo」に改名されていた。
しかもエンタープライズβが始まっているらしい。
Starlinkとの差はどれくらい詰まったのか、数字で確認してみた。

結論から言うと、まだ全然詰まっていない。
それどころかAmazon LeoはFCCの締切をすっぽかしている。
この記事はその「詰まってなさ」を根拠となるソースつきで整理したものである。

まず数字で並べてみる

項目 Amazon Leo Starlink
稼働衛星数 約345〜400機(2026年8月) 約10,020機(2026年4月)
契約者数 未提供(エンタープライズβのみ) 1,000万人以上
提供国 2026年中盤〜後半に5カ国で開始予定 150カ国以上
消費者向け料金 未定(未提供) 月$50〜120(Residential)
端末価格 未定(小型・低価格化を志向) $499(標準)、$199(Mini)
打ち上げ手段 Atlas V/Falcon 9/Ariane 6(他社委託) Falcon 9(自社・再使用)
FCC状況 2026/7/30の50%目標を未達、猶予に周波数優先権喪失のペナルティ 該当なし

数字の時点がそれぞれ違う(Starlinkは4月、Amazon Leoは8月)点は差し引いて見てほしいが、それでも桁が違うことは分かる。

衛星の数がそもそも桁違い

Starlinkの衛星数は2026年4月時点で10,020機。対するAmazon Leoは同時期で241機、その後の打ち上げを経ても2026年8月時点で345〜400機程度

比率にすると20〜30倍の開きがある。
契約者数で見るとさらに露骨で、Starlinkは150カ国以上で1,000万契約者を抱えているのに対し、Amazon Leoはまだ一般提供すら始まっていない
エンタープライズβが2026年4月8日に始まったばかりの段階。

FCCの締切、普通に落としてる

これが今回いちばん驚いた話。

AmazonはFCCから「2026年7月30日までに計画3,236機のうち50%(1,616機)を打ち上げること」という条件付きで認可を得ていた。
ところが実際に打ち上がっていたのは331機
目標の2割程度で、普通に締切オーバーしている。

FCCは猶予(ウェーバー)自体は出したが、タダでは済ませなかった。
条件つきの猶予で、7月30日以降に打ち上げるGen1衛星は2028年3月30日まで(または50%達成まで)周波数の優先ステータスを失うというペナルティがついている。
電波の「早い者勝ち」争いで一時的に列の後ろに回されたようなものらしい。

宇宙開発の世界でも「締切に間に合わなかったので怒られたけど、猶予はもらえた」というのが起きるのが人間味があって面白い。

なぜ差がついたか。答えは「自前のロケットがあるかないか」

Starlinkを運営するSpaceXは、自社の再使用ロケット「Falcon 9」で自分の衛星を打ち上げている。
打ち上げ屋と衛星屋が同じ会社なので、コストも頻度も自分たちでコントロールできる。
この垂直統合がStarlinkの強さの根本である。

一方Amazon Leoは自前のロケットを持たない。
Atlas V、Falcon 9、Ariane 6と複数の打ち上げ業者に発注する形で、他社のスケジュールに依存している。
今後Vulcan CentaurやBlue Origin(Amazon創業者ベゾス系列だが別会社)のNew Glennも投入予定で2026年に20回超、2027年に30回超のミッションを目指しているものの、Starlinkの打ち上げ頻度にはまだ及ばない。

同じベゾスがらみでも、SpaceXのイーロン・マスクみたいに「自社ロケット×自社衛星」を最初から一体で作れなかったのが、今回のビハインドの構造的な原因に見える。

それでもAmazon Leoに勝ち筋があるとすれば

唯一にして最大の武器がAWSとの統合であろう。
企業がすでにAWS上に基盤を持っているなら、衛星回線からAWSリージョンまでを一貫した構成で提供できる。
Starlinkにはクラウド事業がないので、この訴求はできない。

技術仕様を見ても後発なりの工夫がある。
衛星間光通信リンクと自社開発のベースバンドチップ「Prometheus」を搭載し、軌道傾斜角は30〜51度とStarlinkより低めで、人口の多い中緯度帯に絞ってカバーする設計になっている。
極軌道までカバーするStarlinkとは思想が違う。

コンシューマー向けは米国・カナダ・英国・フランス・ドイツの5カ国から2026年中盤〜後半に開始予定
ここでもう一段ペースを上げられるかが正念場になりそう。

Starlink側の近況もついでにメモ

料金はResidentialが月$50〜120、Roamが$50〜165、Miniが$30〜(端末$199)、Businessが$250〜
標準端末は$499で価格は据え置き中。

個人的に一番おもしろいと思ったのはT-Mobileと組んだ「T-Satellite」。月$10(上位プランなら無料)で60機種以上のスマホがキャリア不問で衛星通信を使える
圏外での命綱として、じわじわ生活に馴染んできている感じがある。
ちなみに軍事関係者割引などは今のところない

おわりに

数字で見ると「まだ勝負になっていない」というのが正直な感想である。
ただしAmazon側は投資額だけは100億ドル超とStarlinkに引けを取らない規模を積んでいるので、打ち上げペースさえ追いつけばAWS統合という武器が生きてくる場面が来るかもしれない。

2026年後半のコンシューマー版ローンチと、次のFCC報告のタイミングでもう一回数字を確認してみようと思う。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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