はじめに
AWSの認定試験一覧を確認していたところ、見慣れない試験が追加されていました。
「AWS Certified AI Business Strategist」(認定コード: AIB-C01)です。
現在はベータ試験の受付期間中で、正式な合格者もまだいない状態です。
この記事は公式ページと試験ガイドを読んだ時点の速報としてまとめます。
ベータ試験は内容が確定版に変わることもあるので、続報が出るようなら別記事で追記します。
- 紹介ページ: https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-ai-business-strategist/
- 試験ガイド: https://docs.aws.amazon.com/aws-certification/latest/ai-business-strategist-01/ai-business-strategist-01.html
どのカテゴリの試験なのか
AWS認定はFoundational・Associate・Professional・Specialtyの4段階で語られることが多いのですが、この試験はどれにも属していません。
AWSの認定体系の中で「Business」という独立したカテゴリに位置づけられていて、今回が実質の第1弾にあたります。
対象者と前提知識
試験ガイドを読むと、想定している受験者像がかなりはっきり書かれています。
- AI投資の評価、ビジネスケースの構築、ガバナンス設計、組織展開に関わるビジネス職
- 具体的にはプロダクト/プログラムマネージャー、営業・事業開発、事業部門リーダー、コンサルタント、ビジネスアナリスト、マーケター
- コーディングやAWSの実装経験は不要
- AI導入に関わった経験が6か月程度あることが推奨
技術試験ではなく、AI導入を横で支えたり意思決定したりする側の試験として設計されています。裏を返すと、モデル開発やパイプライン構築、ハイパーパラメータ調整、AWSサービスの構築・運用といったタスクは明確に対象外と書かれていました。
試験の形式
試験ガイドと紹介ページから拾える範囲の情報です。
- 出題数は85問(択一選択・複数選択)
- 合否判定で、スコアは100〜1000のスケール、合格ラインは700
- ドメインごとの足切りはなく、総合点だけで合否が決まるコンペンセイトリー方式
- 受験料はベータ期間中50USD、正式版になると100USD
- 対応言語は英語と日本語
- Pearson VUEのテストセンターまたはオンライン監督付き試験を選択可能
- 2027年2月15日までにベータ試験に合格すると、アーリーアダプター向けのデジタルバッジがもらえる
一点だけ、日本語紹介ページには試験時間170分と書かれている一方、公式の試験ガイドには130分と書かれていて、ソースによって記載が割れています。
ベータ試験特有の未採点問題を含むぶん長めに取ってある可能性がありますが、確定情報ではないので参考程度に見てください。
ドメイン構成
試験ガイドには4つのドメインと配点比率が明記されています。
- Domain 1: AI Fundamentals and Literacy(24%) — AI・ML・生成AIの違い、データ品質、AIソリューション種別の選び方、プロンプトエンジニアリングやRAG・ファインチューニングといった生成AIの基礎
- Domain 2: AI Strategy and Business Value Creation(28%) — ユースケースの選定、Build/Buy/Partnerの判断、KPI・ROIの測定、競争優位性の構築
- Domain 3: AI Governance and Responsible AI Leadership(24%) — 責任あるAIの原則、ガバナンス体制の構築、規制対応、バイアスやハルシネーションといったリスクの識別と緩和
- Domain 4: Business Readiness, Leadership, and AI Transformation(24%) — 組織の成熟度評価、データ基盤の整備、チェンジマネジメント、パイロットから全社展開へのスケーリング
配点が一番大きいのはDomain 2で、ROIや競争優位性といった「AIをどう事業成果に結びつけるか」に一番重心が置かれている構成です。
技術寄りの試験だとFundamentalsが最重量になりがちですが、この試験は逆で、戦略・価値創出に一番厚く配点されています。
推奨される前提知識として、Amazon Bedrock・Amazon SageMaker AI・Amazon Quickをビジネスレベルで理解していることや、AWS Cloud Adoption Framework、AWS共有責任モデル、Well-Architected FrameworkのResponsible AI Lensに触れておくことが挙げられていました。
あわせて、AWS Pricing CalculatorやCost Explorerを使ったコスト試算、AWS Marketplaceを使ったBuild/Buy/Partner判断も推奨知識に含まれています。
対象外のタスク
試験ガイドには「受験者に求めないタスク」もはっきり列挙されていて、これが逆にこの試験の立ち位置をよく表していました。
- AIモデルやアルゴリズムの開発・実装
- データエンジニアリング・特徴量エンジニアリング
- ハイパーパラメータ調整やモデル最適化
- AI/MLパイプラインやインフラの構築・デプロイ
- AIモデルの数理統計的な分析
- AI/MLシステムのセキュリティ・コンプライアンス実装
- AWSサービスやクラウドインフラの構築・運用・管理
- アルゴリズムや技術アーキテクチャの選定・チューニング
- データの前処理・クレンジング・ラベリング
- 本番AIシステムの技術的な運用(監視、パイプラインのデバッグ、性能トラブルシューティングなど)
つまり「作る人」ではなく「作る人の隣で、何を作るべきか・どう評価するか・どう広げるかを判断する人」に向けた試験ということです。
今後の展開
まだベータ試験の段階なので、この記事の内容は現時点で確認できた範囲の速報です。
試験時間の記載が割れている点も含め、確定情報が出たら続報を出します。
あわせて、AWS Certified Generative AI Developer – Professional (AIP-C01) のときに1000問のWeb問題集を自作したのと同じ要領で、この試験向けの問題集アプリも作る予定です。
試験ガイドの各ドメイン・タスクをベースに問題を組み立てていくので、進捗があれば別記事にします。