0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

宇宙用プロトコル:DTN(Delay / Disruption Tolerant Networking)と Bundle について

Last updated at Posted at 2025-12-23

以前の記事で、TCP/IP は「常時接続」と「低遅延」を前提としているため、宇宙空間では実用的ではないという記載をしました。

その解決策の一つとして実装されているのが、
DTN (Delay/Disruption Tolerant Networking)
というアーキテクチャです。

今回は、この技術の仕組みについて調べてみました。

1. Store-and-Forward (蓄積交換)

DTN の基本的な考え方は、「Store-and-Forward(蓄積交換)」です。

インターネット(TCP/IP)の世界では、ルーターはパケットを受け取ると、基本的にはすぐに次のルーターへ転送します(Forward)。
宛先が見つからなかったり、バッファが溢れたりすると、パケットは破棄(Drop)されます。「届かなければ再送すればいい」という考え方ですね。

一方、DTN では「次の通信相手が見つかるまで、データをストレージに保存して待つ(Store)」という動作をします。

バケツリレーのような通信

イメージとしては、バケツリレーに近いです。

  1. 探査機:データを送信したいが、地球とは通信できない
  2. 中継衛星:探査機の近くに来たタイミングでデータを受け取る
  3. 中継衛星 (Store):地球と通信できる位置に来るまで、受け取ったデータを HDD/SSD に保存して移動する
  4. 中継衛星 (Forward):地球が見えたタイミングで、保存しておいたデータを送信する

このように、エンドツーエンド(端から端まで)が同時に繋がっていなくても、時間をかけて運んでいく仕組みです。

2. IP パケットから Bundle へ

この通信において、データの配送単位となるのが「Bundle (バンドル)」です。

TCP/IP では、大きなデータを小さな「パケット」に分割して送りますが、宇宙では一つ欠けた時の再送コストが非常に高いです。

Bundle Protocol (BP) では、アプリケーションが送りたいデータと、それを届けるために必要なメタデータ(宛先、寿命など)をひとまとめ(Bundle)にします。
そして、この Bundle を単位として、ストア&フォワードを行います。

Bundle Protocol は、IP などの下位層を問わない「オーバーレイネットワーク」として動作します。

  • 地上区間は TCP/IP で運ぶ
  • 宇宙区間は宇宙用の通信方式で運ぶ

これらを、Bundle という共通の形式で乗り継いでいくイメージです。

3. 寿命 (TTL) は「時間」

地球上のWebシステムでは、TTL (Time To Live) の単位として「秒」が使われますが、ここでもTTLは秒のようです。ただし、設定値として、数時間から、場合によっては数日という長期間が想定されているようです。(TCP/IPのTTLというのは別の意味合いがあるようですが、ここでは割愛)

「このデータは重要だから、火星から地球に届くまで 1 週間は中継ノードで保持し続けてほしい」
といった指定をするイメージです。

まとめ

DTN と Bundle Protocol は、
「通信はいつでも切れる」「遅延は避けられない」
という前提を受け入れた上で設計されています。

Web 開発の世界では「リアルタイム性」が重視されがちですが、宇宙のプロトコルは逆に「非同期処理」を実現するものでした。
環境が変われば、最適なアーキテクチャも変わるという良い例ですね。

次回は、これらの技術が目指す「惑星間インターネット構想」について触れたいと思います。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?