はじめに
Microsoft 365 Copilotを導入したものの、なかなか利用が広がらない。
そこで、次のような施策を検討する方は多いのではないでしょうか。
- プロンプト集を作る
- 活用事例を社内ポータルに掲載する
- Copilotの操作研修を開催する
- 部門別のユースケースを紹介する
どれも有効な施策です。
しかし、その前に立ちはだかる壁があります。
そもそもCopilotを開いてもらえない。
そこで活用できるのが、リンクを開いて送信するだけでプロンプトを実行できる「2クリックプロンプト」です。
この記事では、2クリックプロンプトの作り方と、Work IQを最大限に生かしてCopilotの活用推進に取り入れるためのポイントを紹介します。
「2クリックプロンプト」はMicrosoftの正式な機能名称ではありません。
「プロンプト リンクのコピー」機能を活用した導線を表す、この記事独自の呼び方です。
2026年7月時点での情報です。特にWork IQは現在も機能拡張が続いている領域のため、今後のアップデートにより名称・仕様が変更される可能性があります。
記載の内容に誤りがある場合、早急に修正しますのでXのDMよりご連絡いただければ幸いです。
2クリックプロンプトとは
Microsoft 365 Copilotでは、実行したプロンプトをリンクとしてほかのユーザーに共有できます。
共有したいプロンプトを一度実行し、表示されたメニューから「プロンプト リンクのコピー」を選択します。
コピーしたリンクをMicrosoft Teamsなどに貼り付けると、次のように表示されます。
リンクを押すと、プロンプトが入力された状態のCopilot画面に遷移します。
- 共有されたプロンプトリンクをクリックする
- 内容を確認して送信ボタンをクリックする
これが、この記事でいう「2クリックプロンプト」です。
従来のプロンプト共有方法との違い
プロンプトを共有する方法として、
例えばTeamsや社内ポータルにプロンプト本文を掲載し、利用者にコピー&ペーストしてもらう方法があります。
次のような案内です。
オススメの業務効率化プロンプト
次のプロンプトをコピーして、Microsoft 365 Copilotでお試しください。
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先週のメール、会議、チャットを確認し、
今週対応する必要があるタスクを一覧化してください。
============
この方法でもプロンプトは共有できます。
ただし、利用者が実行するまでには、次の操作が必要です。
1. 共有されたプロンプトを探す
2. プロンプト本文を選択してコピーする
3. Microsoft 365 Copilotを開く
4. 入力欄へ貼り付ける
5. 内容を確認して送信する
一つひとつは難しい操作ではありません。
しかし、Copilotをまだ日常的に使っていない人には、こうしたひと手間も離脱の原因になり得ます。
2クリックプロンプトの価値は、名前の通り2回のクリックで完結するという
小さな手間を既存機能で減らすことにあります。
もう一つの価値は「Work IQ」との組み合わせ
小さな手間を減らすことに加え、もう一つ
この記事で特にお伝えしたいポイントがWork IQとの組み合わせです。
2クリックプロンプトが他のAIサービスの「プロンプト共有URL」と決定的に違うのは、
リンクを開いた"その人"の業務データに基づいて回答が生成されるという点で
これを支えているのが、Copilotの背後で動くWork IQです。
1つのリンク × Work IQ = 全社員分の個別回答
たとえば、次のようなプロンプトを全社に配布したとします。
先週の私のメール、会議、チャットを確認し、
今週対応が必要なタスクを整理してください。
Microsoft 365 Copilotライセンスがない環境では、
メール、会議、チャット、ファイルなどの業務データを横断して参照ができません。
そのため、Web情報や一般的なタスク整理方法を中心とした回答になります。
一方、Work IQが有効なMicrosoft 365 Copilotで実行すると、
- Aさんには、Aさんが受信したメールと参加した会議に基づくタスク一覧
- Bさんには、Bさんのチャネルで議論されたトピックに基づくタスク一覧
- Cさんには、Cさんが担当する案件のファイル更新を踏まえたタスク一覧
が、それぞれ返ります。
配る側は1つのリンクを作って共有するだけ。
受け取る側は、自分の仕事の文脈で回答を得られます。
しかし、リンクを配るだけでは使われない
2クリックプロンプトを使えば、すべて解決するわけではありません。
操作の手間を減らしても、利用者にリンクをクリックする理由がなければ実行されません。
重要なのは、プロンプトを必要なタイミングで届けることです。
「機能」ではなく「今の仕事」を主語にする
例えば、次の案内では利用者にとってのメリットが伝わりにくいかもしれません。
タスクを一覧化する便利なプロンプトを作りました。
ここをクリックするだけで実行できるので、押して使ってみてください。
代わりに、利用者が今抱えている仕事を主語にします。
【休暇明けの方向け】
たまったメールを1件ずつ確認する前に、対応が必要なタスクの候補を一気に整理できます。
ここをクリックするだけで実行できるので、押して使ってみてください。
「使ってください」ではなく、「今の仕事を楽にできます」と伝えるのがポイントです。
2クリックプロンプト×Work IQが活きるタイミング
Work IQが利用者ごとに異なる業務データを引き当ててくれるため、
「多くの人が同じ時期に、それぞれ別の相手・別の案件について、似た作業を行う」場面と
特に相性がよいと考えられます。
例えば、次のような時期には、多くの社員が共通のタスクを行います。
-
長期休暇明け
→たまったメール・チャットの消化、不在中に動いた案件のキャッチアップ -
四半期の振り返り、評価面談の前
→実績の根拠集め、来期目標の下書き -
新入社員の配属後、人事異動の直後
→部署のキーパーソンと役割の把握、進行中案件の背景キャッチアップ -
年度計画や予算の策定時期
→今年度の実績・費用の振り返り、来年度の施策案出し、根拠資料の収集
このような「その時期ならではの整理作業」は、そのままプロンプトにできます。
こうした作業をプロンプトにしたものを、3つ例として紹介します。
ユースケース① 長期休暇明けのタスク整理
私が不在だった期間のメール、会議、チャットを確認し、
対応が必要なタスクの候補を整理してください。
各タスクについて、次の項目を記載してください。
- 依頼内容
- 依頼者
- 期限
- 関係者
- 根拠となる情報(メール件名、会議名、チャネル名など)
- 推奨する次のアクション
不明な情報は推測せず、「要確認」と記載してください。
ユースケース② 評価面談前の実績整理
指定した期間のメール、会議、チャット、ファイルを確認し、
私が関与した業務や成果の候補を整理してください。
次の観点で分類してください。
- 担当した案件やプロジェクト
- 具体的な成果
- 周囲への貢献
- 解決した課題
- 継続中または未完了の事項
可能な範囲で、根拠となる情報(ファイル名、会議名など)を示してください。
この結果は評価の確定には使用せず、
振り返りの材料として扱える形で整理してください。
ユースケース③ 新入社員の配属後
私が現在の部署に配属されてからのメール、会議、チャット、ファイルを確認し、
上長や同僚から私に向けられている期待の候補を整理してください。
次の観点で分類してください。
- 担当することを期待されている業務
- 発揮することを期待されているスキルや強み
- 周囲との連携において期待されている役割
- 今後、成長を期待されている点
- 明示的に伝えられた期待
- やり取りから読み取れるものの、確認が必要な期待
それぞれについて、可能な範囲で根拠となるメール、会議、
チャット、ファイルを示してください。
明確な根拠がない内容は事実として断定せず、
「確認が必要な期待の候補」として記載してください。
いずれのユースケースも、参照先のデータが利用者ごとに異なることが前提です。
だからこそ、1本のリンクを配るだけで、全員分の「自分のための整理」が実行できます。
利用時の注意点
Microsoft 365 Copilotライセンスの有無で体験がまったく異なる
2クリックプロンプトを共有する際は、利用者にMicrosoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているかを必ず確認してください。
- ライセンスがある場合:Work IQを通じて、そのユーザーがアクセスできるメール、会議、チャット、ファイルなどの業務データを踏まえた回答が得られます。2クリックプロンプトの真価が発揮されるのはこちらです。
- ライセンスがない場合(Copilot Basicなど):Work IQによる業務データの参照範囲が大きく限定され、同じプロンプトを実行しても一般的な回答しか得られません。
同じリンクを配っても、ライセンスの有無で「業務効率化ツール」にも「ただのチャットボット」にもなり得ます。
社内で展開する前に、対象範囲のライセンス割り当て状況を確認しておくことをおすすめします。
プロンプトに機密情報を含めない
顧客名、個人情報、社外秘の案件名などを固定で記載したプロンプトを、広い範囲へ共有する運用は避けます。
固有名詞が必要な場合は、利用者が送信前に書き換えられる形式にするのがオススメです。
対象プロジェクト:
[ここにプロジェクト名を入力してください]
なお、Work IQが参照するのはあくまで利用者本人がアクセス権を持つデータです。
他人のメールや、権限のないSharePointサイトの情報が回答に混ざることはありません。
プロンプトを共有する側は、この前提を利用者にも伝えると安心して使ってもらえます。
まとめ
「2クリックプロンプト」は、「プロンプト リンクのコピー」機能でプロンプト実行までの手間を減らす方法です。
そしてその真価は、
Work IQによって、1本のリンクが利用者ごとに違う仕事をしてくれることにあります。
だからこそ、大切なのはリンクを配ること自体ではなく、導線の設計です。
- 多くの人が同じ時期に行う業務を1つ選ぶ
- 「機能」ではなく「楽になる仕事」を伝える
まずは1本、作って配ってみてください。
「1本のリンクで、全員分の個別作業が動き出す」体験が、Copilot活用の入り口になるはずです。
「うちではこんなプロンプトを配ってみた」など、コメントで教えてもらえると嬉しいです。
ついでに...
この2クリックプロンプトを題材に
「なんでもCopilot」でLTに登壇した際のスライドもありますので、あわせてご覧ください。


