初めに
証券アナリストのテキストって日本語がたくさんあって読むのが難しいな、と思っています。なので、なるべく定式化して暗記少なく理解しようというモチベから書いています。自分で立式してなるほど~となっただけなので、誤りが結構あるかもしれないです。
消費者の視点
消費者は所持している所得を元に財を購入する。なので、財の価格$p$が安いほど需要量は多くなる。市場に参加している消費者の需要量の合計を$x$と置くと、次の式が成立する。
x = D(p)\ \ \ \ \frac{\partial D}{\partial p} < 0
※$\frac{\partial D}{\partial p} > 0$となる財をギッフェン財と呼ぶ。以降はギッフェン財でない、通常の財を考える。
企業の視点
市場に$n$個の企業が参加しており、各企業$i$の財の生産量を$x_i$とする。また、各企業は$x_i$個の財を生産するとき$TC_i(x_i)$の費用を要するとする (これを費用関数と呼ぶ) 。この時、企業の利潤は以下のようにかける。
\pi_i(x_i) = p(x)x_i-TC_i(x_i)\ \ \ (TC: total\ cost)
なお、$\sum_i x_i = x$とする。これが最大化されるように企業は活動する。$\frac{\partial p}{\partial x_i}=\frac{\partial p}{\partial x}\frac{\partial x}{\partial x_i} = \frac{\partial p}{\partial x}$に注意しつつ、$\frac{\partial \pi_i}{\partial x_i}=0$として
x_i \frac{\partial p}{\partial x} + p(x) = MC_i(x_i)\ \ \ \left(MC: margin\ cost,\ MC_i=\frac{\partial TC_i}{\partial x_i}\right)
が満たされれば良い(極小値になるケースは考えないものとする)。
なお、一般的に生産量が増えるほど費用は増加するので、$MC_i(x_i) > 0$であるとする。
ここまでのまとめ
企業の生産量および財の価格は
\displaylines{
x = D(p)\\
\sum_i x_i = x\\
x_i \frac{\partial p}{\partial x} + p(x) = MC_i(x_i)\ \ (i=1, ..., n)
}
の連立方程式の解として与えられる。
市場の種類
$n$の値に応じて、以下のように市場が分類される。
- $n=1$: 独占市場
- $n=2, 3, ...$: 寡占市場
- $n\to\infty$: 完全競争市場
独占市場、寡占市場では上の連立方程式の解を解くことになる。完全競争市場の場合、近似を入れることでより簡単な書き方にすることが出来る。
完全競争市場
完全競争市場では、$n\to\infty$であり、$x, \frac{\partial p}{\partial x}$が有限値であることから、$x_i\frac{\partial p}{\partial x}\to 0$となる。これにより、連立方程式は以下のようになる。
\displaylines{
x = D(p)\\
\sum_i x_i = x\\
p(x) = MC_i(x_i)\ \ (i=1, ..., n)
}
これを変形すると、次のように書くことが出来る。
\displaylines{
x = D(p)\\
x = \sum_ix_i = \sum_i MC_i^{-1}(p)
}
第1式を需要曲線、第2式を供給曲線と呼ぶ。この$x-p$平面上での交点が完全競争市場における均衡価格$p$、均衡取引量$x$である。
寡占市場の例
以下のような2つの企業によって成り立つ寡占市場を考える。
- 需要曲線: $x = 25 - 2p$
- 企業1の費用関数: $TC_1(x_1) = \frac{1}{2}x_1^2 + 2$
- 企業2の費用関数: $TC_2(x_2) = \frac{1}{4}x_2^2 + 3$
この時、企業の利潤最適化条件である$x_i\frac{\partial p}{\partial x} + p = MC_i(x_i)$は、$x = x_1 + x_2$に注意すると次のようになる。
\displaylines{
-\frac{1}{2}x_1 + \frac{25}{2} - \frac{1}{2}(x_1 + x_2) = x_1\\
-\frac{1}{2}x_2 + \frac{25}{2} - \frac{1}{2}(x_1 + x_2) = \frac{1}{2}x_2
}
これを整理して解くと
(x_1, x_2) = \left(\frac{50}{11}, \frac{75}{11}\right)
と求まる(雑に数値設定したら中途半端な値になってしまった......)。
補足1: 操業停止
上の議論は、すべての企業$i$が市場に参加する前提で考えていた。しかし場合によっては企業$i$にとっては市場に参加せず、その財の産出を取りやめたほうが良いケースがある。
それは$\frac{\partial \pi_i}{\partial x_i}=0$となる点が極値であって最大値でない場合、つまり以下の式が成立する場合である。
\forall x_i> 0, \ \ \pi_i(x_i) \leq \pi_i(0)
この時は$x=0$、つまり生産しないことが利潤を最大化させる方法となるため、企業$i$はそもそも市場に参加しない。この状態を操業停止とよぶ。上の市場における競争は、操業停止せず市場に参加した企業の中でのみ行われる。
補足2: 用語について
- 限界○○というと、○○を需要量/生産量で微分した値を表す。○○には利潤、費用、収入などが入る。それぞれ$\pi_i(x_i),\ TC_i(x_i),\ p(x) x_i$を$x_i$で微分した値を計算して入れればよい。
- 平均○○というと、○○を生産量で割った値を表す。○○には費用、変動費用などが入る。固定費用が$TC_i(0)$であることを念頭に置いて解けばよい。
感想
claudeとお喋りしながら式変形をしていましたが、上の理解で過去問中の計算問題は全て合ったので、たぶん合ってます。間違っていたら自分は試験に落ちるでしょう。何はともあれ教科書のごちゃごちゃした記述をすっきりさせて理解できて良かったです。
